2014/07/09

緯度と経度(『HalexDream!』体験コーナー開設にあたって)

地球が球体の形状をしていて、その地球上での位置を表すのに緯度と経度という座標軸上の数字が用いられるということは、現代では一般に広く知られていることです。この南北方向の位置を表す座標が緯度で、それと直交する東西方向の位置を表す座標が経度です。

緯度は赤道を0度として各々南北に90度まで測り、それぞれ南緯、北緯といいます。いっぽう、経度は本初子午線と呼ばれる基準の線からの角度で東西それぞれ180度まで測り、それぞれ東経、西経といいます。

現在、自分がいる地球上の位置を測定するには、人工衛星が発する電波を活用していて、“超”が付くほど簡単になりました。カーナビ等で使われているGPS(Global Positioning System )がそれです。これは地 球を周回する幾つかの複数の衛星からの発せられる電波信号を捉えて、地球上の位置を知るものです。最近の進化したGPSでは二次元の緯度と経度だけでなく、三次元の高度まで実は知ることができるようになっています。その誤差精度はなんとなんと0.001海里、1.852メートルです(@_@)

GPSに用いられる最初の人工衛星ナブスター1は、1978年2月22日に打上げられたのですが、その後、順次打ち上げられて15年後の1993年12月8日に当初計画された24機の衛星が揃ったため初期サービスの運用が開始されました。また、1995年4月27日には、初期に打ち上げられて試験運用に使われていた衛星を代替機に置き換えることによって、同じく24機体制で正式なサービス運用が開始されました。僅か20年ほど前のことです。

このGPS、元々はアメリカ合衆国の開発した軍事用のもので、今もこのGPS衛星の運用はアメリカ空軍第50宇宙航空団で行われているのですが、最近はそのおこぼれを世界中で民間でも利用させて貰えるようになっています。ちなみに、アメリカ合衆国が今も軍事用に使っているGPSの誤差精度はもう1桁少ないそうです。驚きです(@_@)

そんなわけで今や緯度・経度を知ることは“超”が付くほど簡単になり、携帯電話やスマートフォン等のモバイル機器には標準搭載されるようになってきていて、最近ではGPS付きの腕時計まで市販されているようです。

ところで、この緯度と経度ですが、GPSが実用化されるまでは、いったいどうやって測っていたのでしょうか?

目印となる島影1つ見えない大海原の真っ只中を船で航海する場合にも、目的地に向かって間違いない航路をとるためには、まず、自分が今いる場所の位置を正確に知る必要があり、そのために、緯度と経度を正しく知ることは航海をする上で極めて重要な鍵を握っていました。

緯度と経度、このうちの緯度については昔から大雑把にではありますが簡単に測ることができました。それは北極星を利用していたのです。北極星はほとんど北極の真上(地球の自転軸の北側の延長線上)、すなわち真北に輝く星ですので、それを見上げる角度はとりもなおさずその見上げた位置の緯度を表すことになります。これは今や小学校の算数の時間に学ぶレベルのことを、ちょっと思い出せばわかります。

北の方角を示す北極星の存在は昔から船乗りや砂漠を行くキャラバン隊の間では広く知られていました。例えば、船に乗って北へ北へ進路を取り、北極星が真上にきたらそこは北極に来たということになるわけです(これが北緯90度ってことです)。反対に、南へ進路を取り、進んでいくと北極星の位置は徐々に低くなって、赤道の位置(すなわち北緯0度、南緯0度)では水平線上ぎりぎり見えるか見えないかのところに来るわけです。

ポリネシアの人々は北極星だけを頼りにカヌーに乗ってハワイ諸島~タヒチ島の間、約2,000海里(約3,700km)を往復することができるのだそうです。これは昔からそうだったみたいで、ちょっと想像がつきません。いくらハワイ諸島とタヒチ島の位置関係がほとんど南北の関係であるとはいえ、海流もあったり、東西方向に貿易風(亜熱帯高圧帯から赤道低圧帯へ恒常的に吹く東寄りの風のこと)も吹いていることですから、微妙に東西にずれたりするので、どうやって辿り着くことができるのでしょうね(^_^;)? 不思議です。

緯度は前述の北極星を用いる方法で大雑把ではありますが、ある程度把握することができました。問題はもう1つの経度。実は、経度を測ることは、昔から“超”が付くほどの難題とされてきました。結局は正確な時計が必要なことが分かり、それが出来たのはつい最近の18世紀になってからのことでした。それまではいくら帆船の船舶操縦術が発達しても、経度が判らないために、あるいは経度を誤ったための海難事故が絶えなかったようです。

経度の歴史(Wikipedia)

1714年、イギリス議会を次のような法案が通過しました。「経線を発見したる個人ないし法人に報償を与える。金2万ポンド也」。その時代は、月の動きを利用して経度を測ろうという無駄な、しかも間違った論理と努力がまかり通っていたのですが、イギリスのジョン・ハリソンという科学者が周囲から馬鹿にされながらも40年の歳月をかけ4台の試作器を作り、1761年に年間誤差僅か30秒というクロノメータと呼ばれる時計を完成させたのでした。それからというものは、緯度経度は正確な時計を利用して、六分儀を用いてかなり正確に(誤差1海里)測れるようになったのです。

六分儀というのはその名の通り360度の6分の1、すなわち60度の円弧を持った観測器械のことで、水平線とある天体のなす角度を測るための器械です。その使用方法(観測方法)に関しては概要がWikipediaに掲載されていますので、そちらをご覧ください。

天測航法(Wikipedia)

海図とこの六分儀、定規とコンパスを駆使して大海原の中で自分の位置を測定し、進むべき方向を割り出す特殊技能を持った職種が“航海士”と呼ばれる人達でした。

しかし、あくまでも目視による観測に基づいているため、大型船のベテラン航海士が測っても、最小で一辺1海里(約1.85km)程度の誤差がふつうに出ていたようです。この誤差は測定時間の誤差とか海面からの目の高さにも影響されます。1つの天体の位置の線を求めている間に船はある方向へあるスピードで進んでいますから、1つ目の天体の位置の線を2つ目の天体の位置の線までその方向と進んだ距離をずらして交点を求めてやる必要があります。3つ目の位置の線へも同じ様に1つ目と2つ目の位置の線をずらさなくてはなりません。なので、極めて複雑な計算式を必要とし、“航海士”は船においては船長に次ぐ重要なポジションを握る人達でした。

天体と水平線のなす角度を測定するといいましたが、真夜中は水平線がわからないので、実際には明け方か夕方、水平線が見える時間帯に、しかも天体が輝いている時間に観測しなければなりません。大きな船と違って小型のヨット等の場合は六分儀による観測はかなり困難です。なぜなら揺れ動く度合いが大きな船とはまったく違うからです。測定する眼の高さも大型船と違って低いので、誤差も大きくなります。従って、夜明けとか夕方の小さい星なんか観測していられません。

そこで考え出されたのが、太陽の正中高度(正午の高さ)を測る方法です。(明け方や夕方の太陽の日の出、日の入り時の太陽の位置を観測する方法もありましたが、そういう場合はたいてい水平線の近くには雲が多くて観測に支障をきたし、難しかったようです。)

位置の線の交点は実際にはその年の「天測歴」と「天測計算表」を用いて求めます。複雑な計算ではなく簡単な足し算と引き算で位置が求められるように作られたのが「天測計算表」です。この天測計算表の主たる部分である「高度方位角計算表」は「米村表」とも呼ばれ、1920年(大正9年)に日本の米村末喜海軍中佐の考案に基づいて、当時の海軍大学校第19期航海学生によって編集された世界に誇る日本の一大発明と呼ばれるものでした。

それからまだ100年も経っていません。GPSが実用化される前まで、いかに地球上で自分のいる位置を把握することが難しかったかが、お分かりいただけたでしょうか。

なので、GPSを実用化し、民間転用、それも世界中に開放してくれたアメリカ合衆国の心の広さには、感謝しないといけません(^人^) アメリカ合衆国が心変わりでもして、GPSの開放を止めるよ うなことが起きると、今や社会の様々なシステムがマヒし、大混乱を来してしまいます。なので各国とも自国のGPS衛星を打ち上げることに熱心で、我が国も2010年に測位衛星、準天頂衛星の初号機「みちびき」を打ち上げ、この衛星を活用した高精度の測位システム「準天頂衛星システム(QZSS)」の実証事業に着手しました。

このQZSSは、既に普及している米国の全地球測位システム(GPS)等を補強することで誤差数センチという世界最高精度の測位を可能にする日本版GPSです。準天頂衛星初号機の「みちびき」が打ち上げられて以来、国内での実証例はあるのですが、海外では十分な精度評価と利用実証が行われていないとして、NEDOが中心となって、今年度よりカーナビや自動運転システム、防災システムなどへの需要拡大が見込まれるASEAN地域で実証を行うようです。

ちなみに、緯度と経度を観測する上で革命的とも言える役割を果たしているGPSですが、その基本的な原理は上記の六分儀を用いた緯度・経度の観測方法となんら変わりません。天体との位置を六分儀を用いて目視で確認していたことに代わって、人工衛星から発せられる電波信号を用いること。位置割り出しのための複雑な計算を受信機器に搭載されたマイクロチップ内のプログラムで、瞬時に計算することが可能になっただけのことです。一番重要となるコア技術はクロノメータ以来変わらず“時計”で、セシウムやルビジウムという鉱石の結晶を用いた高精度の発振器をもとにした時計がGPS衛星には搭載されているようです。

GPSの実用化により、地球上で自分のいる位置を把握することが容易に行えるようになったおかげで、実に様々なサービスが可能になりました。

前述のカーナビがその代表ですが、気象情報サービスだってそうです。これまでは東京23区や千葉県北西部といった「予報細分」と呼ばれる主として行政区分に類似した単位での情報提供が主体でした。従来、気象の情報を得る手段と言えば、テレビやラジオといった広くあまねく公平にが原則のマスメディアによるものが中心でした。そうしたマスメディアでは限られた時間(放送用語で“尺”と言います)で情報を提供する必要があったこともありますが、情報を受け取る側も、自分が気象情報を知りたいと思う地点を特定するためには、その位置が属する行政区分に類似した予報細分という単位での情報提供が分かりやすかったということもあります。

しかし、これも携帯電話やスマートフォンといったモバイル通信機器が爆発的に普及し、しかも、それらの機器に自分のいる地点の緯度・経度を簡単に把握することができるGPS機能がほとんど標準的に搭載されるようになってきたことで、大きく様変わりしてきました。

気象情報を知りたいと思っている人のほとんどは、自分の頭の上、あるいはある特定の地点の天気に関する情報が知りたいだけのことです。その位置の情報の把握がいとも簡単に行うことができるようになったのですから、我々民間気象情報会社としても、そうした時代の変化、技術の進歩に合わせた形での新しい気象情報提供の仕組みを用意する必要があると弊社ハレックスは考えました。

そこで考え出したのが、ハレックス独自のオリジナル局地気象予報システム『HalexDream!』です。

お待たせいたしました! 7月1日からこのハレックス社HPの中で、『HalexDream!』の体験コーナーを開設しました。難しい理屈の説明等は抜きで、まずは『HalexDream!』の凄さを実感してみてください(^^)d

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この体験コーナーでは東京23区を中心とした首都圏中心部と、標高補正の効果を実感していただくために世界遺産である富士山の情報をご提供しています(もちろん、サービスは日本中をカバーしています)。提供している情報はその時点での最新の気象情報です。

予報する地点の粒度が細かくなると、予報の精度というものがこれまで以上に問題となります。しかも、最近は突然発生するいわゆる“ゲリラ豪雨”と呼ばれる局地的な集中豪雨も問題になっています。これらに対応するため、弊社は予報の精度以上に、予報を含む情報の“鮮度”というものにこだわり、最新のアメダスの観測データや、降雨レーダーの観測データを基にした降水短時間予報や降水ナウキャスト情報を活用することで、この問題を解決しました。

地図上で任意の緯度・経度を指定することにより取り出すことができる気象情報って、いかがでしょうか? これまでとは違った気象情報の新たな活用方法というものが浮かびま せんか?

実際、弊社の営業には、「こんな分野でこういう風に使いたいのだが…」という、弊社が当初想定もしていなかったような様々な『HalexDream!』の使い方についての声が寄せられています。

既にサービスの提供を開始した幾つかにつきましては、『導入事例』でご紹介しておりますが、このほかにもご紹介しきれていない事例もございます。また、現在、導入検討真っ最中の事例が幾つもあります。ご興味を持たれた方は、ぜひ弊社営業部へご連絡をいただくか、このHP内に幾つか設けております『問い合わせ』フォームを用いて、お問い合わせください。

導入事例一覧

GPSの爆発的な利用拡大によって、誰でも簡単に自分の居場所がわかるような時代にピッタリとマッチした、そして今まで「ありそうでなかった」、文字通り“夢”のような気象情報提供の仕組み、それが弊社が開発した『HalexDream!』です。

弊社ハレックス、そして私は、この『HalexDream!』が新しい時代の気象情報提供のデファクト・スタンダード(事実上の標準)になるのではないか…と、確信に近い感触を得ていて、普及促進に努めるとともに、ますますこの技術に磨きをかけていきたいと思っています。ご期待ください(^-^)v

執筆者

株式会社ハレックス代表取締役社長 越智正昭

株式会社ハレックス
代表取締役社長

越智正昭

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