2014/10/03

どてかぼちゃカーニバル

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父の米寿を祝うために家族で四国松山市に帰省したついでに、松山市近郊(隣接する市)の東温市見奈良にある「レスパス・シティ(温泉を中心としたレジャー施設)」駐車場で開催された『第30回 どてかぼちゃカーニバル』なるイベントに立ち寄ってみました。

どてかぼちゃカーニバル

この「どてかぼちゃ」とは「どでカボチャ」、「ジャンボかぼちゃ」とも言われていて、その名から連想されるイメージの通り、巨大なカボチャのこと。我々日本人がふつうに食する品種のカボチャとは異なり、直径が1メートル近くにも育つアメリカ原産の飼料用の巨大カボチャ「アトランティックジャイアント」という品種の実を特別に肥大化させて栽培したカボチャのことです。

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この「アトランティックジャイアント」、とにかく巨大な実をつけることで知られ、2011年にカナダのオンタリオ州では、収穫時の重量として824.9kgを記録したこともあるのだとか。824.9kgなんて言うと、軽自動車1台ほどの重量と大きさです。スッゲェー!(@_@)

この「アトランティックジャイアント」、生育環境によっては、必ずしも巨大にはならない場合もあり、そこには作り手の腕が試されることになります。このカボチャが生育可能な気候の地域で、ツルや葉を広げるのに十分な土地を用意して、1つの株に1つの実だけに剪定して育てる(1つの実だけに養分を集中させる)こと…等、様々に手をかけることで、巨大なカボチャ「アトランティックジャイアント」が出現するのだそうです。このように育て方によって実の大きさが大きく左右されるため、農家の腕が試されるようなところがあり、アメリカやカナダ等ではどのくらいの大きさにまで育てられたかを競い合うイベントが盛んに開催されているそうです。

この巨大カボチャの大きさを競う大会は世界大会まで開催される国際的な農業の祭典で、日本でもこのところ“地域おこし”の一環で全国各地で行われるようになってきています。アメリカを本部とした国際カボチャ協会という組織公認の国内最大の大会として『日本一どでカボチャ大会』と称する大会もあって、毎年香川県の小豆島で開催されています。国際組織公認だけに、その大会の優勝者は、副賞としてなんとアメリカ西海岸で開催されるその年の世界一のジャンボ野菜を決める世界大会に招待されるのだとか。

この巨大カボチャの大きさを競うイベントについてはこれまでにも何度かテレビのニュース等で目にしたことがあり、そういうイベントがあることは知ってはいたのですが、実際にそれを見るのは初めてのことでした。私もテンションが上がったのですが、それ以上にテンションが上がったのが我が家の女性陣。妻も娘も息子の嫁も「わぁ~、スッゴーイ!」と大はしゃぎ(^O^) 連れて行った私も鼻が高かったです。

東温市というと農業生産法人ジェイ・ウイングファームの牧社長(愛媛県農業法人協会会長)の地元。東温市長をはじめ、5月に行われたジェイ・ウイングファームの収穫祭「麦うらし」でもご一緒した牧さんのお仲間の方々のお姿を何人もお見掛けしました。その中のお一人Aさんに声をかけると、「あれっ!?越智さん、どうしてここにいるの?」(笑)

私「誘われたから来てみたのに、牧さんの姿が見えないんだけど…」

Aさん「午後から来るんじゃないんすか。そもそもこのイベントを始めたのは牧さんなんだから」

私「エッ!そうなの!? 初めて聞いた!」

上記の『どてかぼちゃカーニバル』HPの概要の先頭に書かれている「東温市青年農業者協議会のメンバーの一人」とは、なんとなんとジェイ・ウイングファームの牧社長のことなんだそうです。牧さんは若い頃に2年間アメリカに留学して大規模営農を学んできたことは知っていたのですが、留学から帰国する際にこの巨大カボチャ「アトランティックジャイアント」の種を持ち帰ってきたのだそうです。

と同時に、アメリカの田舎で毎年行われていた農業のイベントであるこの巨大カボチャの大きさを競う『どてかぼちゃカーニバル』も文化として持ち帰り、四国の愛媛県東温市(当時は温泉郡重信町)で始めたのだとか。今から30年前のことです。

さっそく牧さんに電話してそのことを聞くと、

「ほおや、儂が日本で初めてその種を持ち帰って、始めたんや。面白かろう?」…と実にアッサリと言われてしまいました。それがかえってビックリしちゃいます。農業界での“伝説”がいろいろと出てきます。いったいどういう方なんでしょう!?(@_@)

生産したカボチャの実の重量を競うという単純なルールなので分かりやすく、競うことで農業従事者の方々が面白がって腕を磨くので、生産技術の向上にちょうどいいと思ったのと、農業という産業が尊敬され、一般市民との垣根が低く、活発に交流が図られているというアメリカのような文化を日本にも広めたいと思ったのが、そもそものきっかけなんだそうです。素晴らしい!

まずは自分で育てて種を増やすことから始め、増えた種を地元の仲間達に分けて栽培方法を指導・普及し、ついに30年前に地元東温市(当時は温泉郡重信町)で第1回の『どてかぼちゃカーニバル』を開催してみたのだとか。いったいどのくらいの集客があるのか分からないままに、自分達が楽しめればいいや…くらいの軽い気持ちでやってみたところ、なんと3日間で5,000人ものお客さんを集め大成功。新聞やテレビといったマスコミにも“地域おこし”の好例として大きく取り上げられ、一気にこのイベントが日本全国の農村に広まっていったのだそうです。

最初は仲間内だけで開催した『どてかぼちゃカーニバル』も、重信町主催のイベントに変わり、重信町が周辺町村と合併して東温市になってからは東温市主催のイベントになっています。そう言えば、東温市のイメージキャラクター(ゆるキャラ)である『いのとん』。この『いのとん』は東温市のすぐ南に聳える皿ヶ峯という山に住むと言われている白いイノシシがモチーフになっていますが、何故かオレンジ色をしたカボチャのパンツを穿いています。東温市が昔からカボチャの名産地であったなんて聞いたことがありませんし、このオレンジ色をした品種は明らかに「アトランティックジャイアント」。また、ハダカ麦の麦わらで作ったお気に入りの「麦わら帽子」を被り、飾りに桜の花、ハナミズキの花、麦の穂先をつけています。「アトランティックジャイアント」にハダカ麦…、このゆるキャラのきっかけを作ったのも牧さんか…(笑)

東温市HP

現在投票を受け付けている今年の『ゆるキャラグランプリ2014』にもエントリーしているようです。気に入った方は是非投票してあげてください。

ゆるキャラグランプリ2014HP いのとん

『ゆるキャラグランプリ2014』には愛媛県のイメージアップキャラクター『みきゃん』もエントリーしていて、現在6位で健闘中です。こちらへの応援もよろしくお願いいたします。

みきゃん

そうそう、香川県の小豆島で毎年開催される『日本一どでカボチャ大会』も、30年前の『第1回 どてかぼちゃカーニバル』の成功のニュースをテレビで見て牧さんのところを訪ねてきた小豆島の若い農業従事者の方に「アトランティックジャイアント」の種を分けてあげて、栽培方法の指導もしてあげたことが発端となって始まったのだとか。小豆島のイベントのほうが国際カボチャ協会という世界組織の公認を取るのと、大会名称に『日本一』の文字を使うことに関しては牧さんのところに事前に了解を取りに来て、牧さんも「ええよ」って快く快諾したのだそうです。お付き合いしているのでよく分かりますが、そういう方です、牧さんって方は(^^)d

なので、知る人ぞ知るって感じではありますが、この愛媛県東温市、巨大カボチャのサイズを競うイベントの日本での発祥の地なんだとか。そう言えば、東温市の『どてかぼちゃカーニバル』が今年30回目なのに対して、香川県の小豆島で開催される『日本一どでカボチャ大会』のほうは今年が28回目の開催です。

それにしても、東温市で毎年開催される『どてかぼちゃカーニバル』における過去最大のカボチャの大きさは、なんとなんとの361.2kgなんだそうです(平成22年の大会)。年をおうごとに参加者のカボチャ栽培の腕が向上してきて、最近は200kgを超えないと賞が獲れないくらいにハイレベルな大会になってきているとのこと。今年も笑っちゃうくらいにデッカイかぼちゃが幾つも並んでいました。後でHPで確認してみると、今年の『どてかぼちゃカーニバル』の出品数は276個で、優勝した最大重量のカボチャの重さは220kgだったそうです。

ちなみに、東温市で『第30回 どてかぼちゃカーニバル』が開催された1週間後の9月21日(日)に香川県の小豆島で開催された「第28回 日本一どでカボチャ大会」では、初出場の千葉県鴨川市の農業、宮本庸治さん(75歳)がなんとなんとの458.1kgの記録で初優勝を飾ったそうです。大きさは胴回り4.13メートル、高さ82センチだったのだとか。写真を見ると、信じがたい大きさのカボチャですね。運ぶだけでも大変そうです。

四国新聞HP


【追記】
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毎年10月31日に行われるハロウィン。最近では日本でも広く知られるようになってきましたが、元は古代ケルト人が起源と考えられている西洋の祭りです。元々は秋の収穫を祝い、悪霊などを追い出す宗教的な意味合いのある行事であったのですが、現代では、アメリカなんかでもクリスマス同様に民間行事として定着してしまい、祝祭本来の宗教的な意味合いはほとんどなくなってきています。子供達が魔女やお化けに仮装して、近くの家々を訪れてお菓子をもらったりする風習が有名です。

で、ハロウィンと言えば、カボチャ。オレンジ色のカボチャをくり抜き、ナイフで目、鼻、口をつけ、内側に火のついた蝋燭を立てるものが、ハロウィンを象徴するシンボルのようなものとなっています。ハロウィンを祝う家庭では、カボチャを刻んで怖い顔や滑稽な顔を作り、悪い霊を怖がらせて追い払うため、家の戸口の上り段にこのカボチャを飾るのが一般的です。

このカボチャの装飾、「ジャック・オー・ランタン」と言うのだそうです。“ランタン持ちの男”という意味で、アイルランドやスコットランドに伝わる(日本で言うならば)“鬼火”のような存在のようです。生前に堕落した人生を送ったまま死んだ者の魂が死後の世界への立ち入りを拒否され、悪魔からもらった石炭を火種にして、萎びて転がっていたカブをくりぬき、その火種を入れたランタンを片手に持って彷徨っている姿だとされ、どういうわけか善霊を引き寄せ、悪霊達を遠ざける効果があると言われています。この話がアメリカに伝わった後、カブのランタンは、移民したアイルランド人によりアメリカでの生産が多かったカボチャのランタンに変化したのだそうです。

直径が1メートルを超えるような巨大なカボチャ「アトランティックジャイアント」でこの「ジャック・オー・ランタン」を作ったならば、メチャメチャ凄いことになるでしょうね(^O^)