2015/01/21

災害時における情報伝達手段の確保について(その3)

このように準備を行いまして、30日、31日に『DATA・INFOX』を設置しましたが、その時の写真(1枚目、2枚目、3枚目)をご覧ください。

これは、避難所の体育館のロビーですが、ここで思ったのが、ほとんどの体育館にテレビを受けられる設備が付いていないということです。我々は、30ヶ所のうち25ヶ所にテレビのアンテナを設置しました。建物があれだけ壊れている状況ですので、テレビのアンテナが無事だった所など無いのです。文字放送の場合、受診レベルが強くないと電波が受け取れませんから、かなりアンテナの指向性が要求されます。その中で、まともに使えたアンテナが5本だけという実態でした。

多くの避難所ではほとんどテレビが映らず、コードもなく、平均120~130メートル、コードを引っ張っています。ある所では、難視聴対策でCATVを使っていたのですが、これは全く無力で使いものにならない状態でした。ここを私共のスタッフが機転を効かせ、長田区のあたりだったのですが、JRの鷹取工場の引込線路の高架にアンテナを付け、そこから、400メートルを同軸ケーブルで飛ばしました。

これは、大阪ローカルの毎日新聞に2月4日号で出た記事です。聾唖ハウスのことが書かれていますが、ここが、先程言いましたように、400メートルの同軸ケーブルで飛ばしたという避難所です。一時的にここは断念しようと思ったのですが、ここに避難されている方々の強い要望で、何とか400メートル飛ばして期待に応えることができました。

自慢になりますが、我々が帰った後、2月9日になって橋本通産大臣から「文字放送をもっと充実させろ」というお言葉が出て各社いろいろスタートしましたが、我々は1月29日の段階で文字放送を飛ばし始めて、30,31日には端末の設置を完了していたということです。

そして、全日本聾唖者協会、全日本中途失聴者・難聴者協会、兵庫県の障害福祉課の皆様から感謝状を頂きました。その後、私も避難所の統廃合などで、神戸の方に入ったのですがその中でいろいろな声を聞いています。

例えば、マスコミを使ったことが非常に効果を発揮しました。毎日放送のご厚意で地上放送が終わった後、通常流すテストパターン画面ではなく、文字放送画面を縦につないで、朝まで連続して放送していただきましたが、それが効を秦し、「うちの店も開いているから載せてくれ」などと、放っておいても情報はどんどん充実していくということがありました。またある時には、「非常に元気づけられた」という言葉も一部の方から頂いております。


≪災害対策システムのポイントと課題≫

さて、災害対策システムを考えていくなかにおいて、時間フェイズで考えますと、災害発生の前後で、予防のフェイズと、その直後の短期のフェイズ、長期のフェイズに別れるのではないかと考えます。

予防のフェイズというのは、災害のシミュレーションの部分。そして回線、電力のバックアップ、指揮管制が短期のフェイズで、1週間ぐらいはこれが役に立ち、その後は他のライフラインの復旧とともに正常に戻ってくるのではないかと思います。忘れてはならないのが、生活関連の部分です。短期のフェイズでは、その対策の中味は、台風、地震といった災害の種類に左右されるものです。しかし、この生活関連の部分というのは後まで必ず残ってくるものです。これをどのように整備しておくか、これが災害対策システムにおいて非常に重要なポイントです。

その場合のポイントは3点あります。中でも「情報通信システムをはじめ防災システムは、突発的に発生する災害時においても正常に稼動すること」。つまり、平常時においても市民生活に活用されているということが、一番大事なポイントであるということです。

情報について考えた場合、これは1978年の通信白書からの引用ですが、情報メディアのエリアマップで、横軸は受け手の数ですが、1人、3人から4人、10人、100人、1000人、10000人というふうにあります。

これを見ますと、ここに空白地帯があります。これが何を意味しているかというと10人から約10000人くらいに、24時間以内に情報伝達が出来るようなメディア、この部分が空白地帯なのです。今後我々は、この部分を埋めていくことが必要なのです。これに該当するメディアを準備していくことがこれからの災害対策に望まれることなのではないかと考えます。

震災が起こって以来、神戸方面に行く機会が多く、そこで震災対策をなさっているいろいろな方と知り合いになりました。これ(1枚目、2枚目)は元朝日新聞に勤められていた森本さんがまとめたアンケートの結果です。被災者にとって役に立ったメディアは、文字メディア、ラジオ、テレビ、電話となっていますが、結果としてより地元に密着したもの、例えば全国紙よりもチラシ、NHKラジオよりミニFM、これはFM神戸を指していますが、これらが非常に役立ったということです。

またテレビは震災1時間後ぐらいから機能したそうですが、NHKよりも神戸ローカルのサンテレビが役立ったようです。そのポイントは、「小さいほど有効」「有線より無線」「行政より個人」「マニュアルより機転」という4つのキーワードでまとめられておりました。一方、期待に背いたメディア、同じように森本さんの集めたデータからですが、1点目として、防災時には発電機が稼動しなかった。それは、水冷式が問題だったのではないか、空冷式か井戸水使用にしておく必要があったのではないかと言っておられます。

2点目として、これは私共も感じたのですが、CATVは、断線やアンテナの崩壊でほとんど無力でした。また、公衆電話が復旧してもカードを持っていなかったので使えない。これは神戸に行ったときに気づいたのですが、カード式公衆電話が空いているのです。先程ポケベルの話をしましたが、被災者によく話を聞いてみると、かけたいけれどカードが無いということでした。これは対策として打ち出す必要があるでのはないかと思います。そのほか、加入電話の異常輻輳がありました。断線の問題が解決しても、混線したり漏話といって隣の音が漏れてきたり使いにくかったことは事実です。また、神戸の被災者の方は、番組の内容にもよりますが、テレビに対する評価は低く受け取られています。

もう1つ(1枚目、2枚目)は、GK設計の方が調べられたものです。仮設情報といって、貼り紙や板切れなどの簡易な材料と手段による情報板で情報の処理がどう変わっていったか調べた結果です。これは、ある道路で調べられたものです。すなわち、避難されている方が真に必要な情報が、ここに現れてくるのではないかということで調べた結果です。

このように、誘導系、記名系という形で調査しており、もう一度その時に集めたデータをもとに、災害時にどういった情報が真に必要になっているかということをまとめようという動きがあります。私共で流した2~3万件の情報を今から分類し、今後も役立てていきたいと考えております。

私共の経験からざっとこのような話になってしまいましたが、何かの参考になればと思っています。

ご清聴どうもありがとうございました。

執筆者

株式会社ハレックス代表取締役社長 越智正昭

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越智正昭

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