2015/02/25

大人の修学旅行2015 in 土佐の一本釣り(その12)

『風工房』を後にして、ショートケーキで補給した余分なカロリーを消費するため、海岸線を漁港のほうに歩きます。「大正町市場」に程近いところまで戻ってくると「久礼八幡宮」というちょっと由緒正しそうな立派な神社があります。

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ここ久礼八幡宮で毎年旧暦の8月14日(前夜祭)~15日(本祭)に開催される秋の例大祭「久礼八幡宮大祭」は、土佐の三大祭りの一つにも数えられ、県内外から多くの観光客が訪れる祭りです。この祭りでは、大小の松明(たいまつ)を掲げた男衆が深夜から明け方にかけて町内を練り歩く「おみこくさん」に始まり 、太鼓と太鼓をぶつけ合って競う漁師町らしい勇壮な「けんか太鼓」など見所が多く、漫画『土佐の一本釣り』でもその祭りの様子が活き活きと描かれています。漫画の中で主人公の純平と八千代が結婚の祝言を挙げたのもこの久礼八幡宮だったように記憶しています。

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その久礼八幡宮の目の前の浜には、その漫画『土佐の一本釣り』を描いた漫画家・青柳裕介さんの功績を讃える石像が建っています。青柳裕介さんは高知県香美郡野市町出身の漫画家で、地元・高知を舞台にした作品を数多く発表しました。その代表作が、ここ土佐久礼を舞台として、雑誌「ビッグコミック」に長期連載された『土佐の一本釣り』でした。青柳さんは2001年、癌によりお亡くなりになりました。享年56歳。もっと作品を読ませていただきたかった漫画家さんでした。青柳裕介さんの石像が建っている前には海が広がっていて、土佐久礼漁港を出港していくほとんど全ての漁船は石像のすぐ目の前を通り過ぎていきます。石像はそうした漁港を出入りする漁船の様子を石に腰掛けてスケッチしている青柳裕介さんの姿を模しています。また、青柳裕介さんの石像の隣には、カツオを感謝し、供養する石像も建っています。あわせて、合掌………(^人^)

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青柳裕介さんの石像の裏には、これまで見掛けたものと比べかなり規模の大きな立派な構造の津波避難タワーが建っています。久礼湾の一番奥深いところに位置しているこのあたりは、南海トラフで巨大地震が発生して、ひとたび津波が襲来してくると、地形的に近隣の地域よりも高い津波になる危険性が高いですからね。また、漁業で生計を立てている住民が多いため、民家が海岸沿いの標高の低い土地に集中していることから、タワーに避難させなければならない住民の数も多く、これだけ一時に大人数を収容できる規模のタワーが必要になってくるのでしょう。

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堤防に沿った漁港付近の道端では、魚を開いて天日に干して干物を作っている光景が多く見られます。トロ箱で獲れた魚を運ぶおかみさんの姿や、網などの漁具を繕う漁師さんの姿にも出逢います。あっちこっちに可愛い猫がのぉ~んびりと日向ぼっこをしています。このあたりは昔ながらの漁師町の風景が今も残っています。ちなみに、「大正町市場」を含む中土佐町久礼の久礼港区域は、平成23年2月に漁師町としては全国初の「文化的景観」に選定されています。

青柳裕介さんの銅像をお参りした後、向かった先は『中土佐町立美術館』。ここも事前にロケハンしてくれたノリコのお薦めのスポットでした。

白壁の土蔵造りの田舎の小さな小さな美術館ですが、「中土佐町立美術館」という表札の文字や石碑の言葉は、なんと「竜馬がゆく」の作家、司馬遼太郎先生によるもの。パンフレットによると、山本芳翆や黒田清隆、竹久夢二、林武、小磯良平、棟方志巧など日本を代表する芸術家の作品約600点が収蔵されているとのこと。こりゃあ是非見ないといけない!…ということで、入場料を払って中に入ったのですが、あいにくこの日、館内では地元のアマチュアの画家の作品展をやっているとのことで、前述の明治時代を代表する日本の洋画家・山本芳翆の絵をはじめとした常設の展示物は蔵にしまっているとのことでした。残念! 「詐欺だ!入場料を返せ!」という声も聞かれましたが(実は私もそう思う)、仕方ないですわね。大人の事情ってやつです。

「中土佐町立美術館」を出て、再び「大正町市場」に戻って昼食。前述の市場内で買ってきたものを持ち込んで食べられる「浜ちゃん食堂」がとても魅力的だったのですが、ちょうどお昼時で店内は混雑しているので、二手に分かれることにしました。私はロケハンをしてくれたノリコお薦めの「なぶらカレー(海鮮カレー)」を食するために、「大正町市場」の入口のすぐ目の前にある「市場食堂ど久礼もん」という食堂へ。もちろん「なぶらカレー」を注文。「なぶらカレー」とはカレーの具にカツオの身が入ったもの。生臭さもなくて、なかなか美味しかったです。ちなみに、「なぶら」とは、カツオやシイラなどの大型魚がイワシなどの小魚の群れ補食のために追い回しているうちに、小魚の群全体が浮上してきて逃げ場を失って水面でバシャバシャやっている場所のことです。この「なぶら」を見つけると、そこには必ず大型魚がいるってわけですから、大物狙いの漁師にとってはスイートスポットってことなんです。

昼食後は列車まで少し時間があったので、またまた腹ごなしに土佐久礼の街を散策しました。向かった先は西岡酒造店。ここは酒どころ高知県にあって、県内に現存する酒蔵としては最古の酒蔵で、創業は江戸時代中期の天明元年(1781年)。230年以上の歴史を有するなかなか由緒正しい酒蔵です。以前は「雪柳」という銘柄の日本酒を出荷していたのですが、最近では漫画『土佐の一本釣り』にあやかって「純平」、「一本釣り」という銘柄の日本酒を出荷しています。店内の一部はギャラリーになっていて、銘柄にもなっている青柳裕介さんの漫画『土佐の一本釣り』の原画や酒造りの古い道具類が展示されています。私も試飲してみたところとても美味しかったので、大吟醸『純平』の“粗しぼり”というお酒を1本、お土産に購入しました。

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まもなく14時になる頃だったので、そのまま急ぎ足で土佐久礼駅に向かいました。私達が乗る特急「あしずり6号」は14時17分の発車。ちょうどいい時間です。

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土佐久礼駅のホームに立って程なくして特急「あしずり6号」が入線してきました。前日の特急「あしずり6号」の使用車両はパワーアップ型のN2000系ディーゼル特急車両の3両編成だったのですが、この日の使用車両は通常型の2000系ディーゼル特急車両の3両編成です。私以外のメンバーは事前に指定席を予約していたので、最後尾の1号車に固まって乗車しましたが、私は自由席しか使えない割引き切符だったので、1人寂しく隣の2号車に乗り込みました。ガラガラだった前日と違って、この日は乗客も多く、車内は結構混んでいます。そう言えば、前日も始発の中村駅を出た時にはガラガラだったのですが、土佐入野、土佐佐賀と停車するうちに徐々に乗客が増えていったので、窪川を出たあたりからはもしかしたらこんな感じだったのかもしれません。前日はオネエの不時着に備えないといけないため、気持ちに余裕がなくて、車内に関心を示していなかっただけのことかもしれません。と言うか、運よく“鉄ちゃんシート”に座れて、前方ばかりを見ていましたからね(^^;

須崎駅を発車してしばらくして、イッカクが私を迎えに来ました。1号車にも自由席があって、自分達のすぐ目の前の席が空いたって。エッ!? イッカクの後に続いて1号車に移ると、確かに1号車にも自由席があります。1号車は車内が指定席部分と自由席部分とで半分ずつに二分されていて、シートカバーの色が違っているだけです。こりゃあ知らなんだ(+_+) 再び皆の話の輪の中に戻ってこれました。

しかし、それもほんの束の間。特急「あしずり6号」は定刻の15時04分に高知駅に到着しました。「あしずり6号」は高知が終点なので、全員ひとまず高知で下車。ここで東京へ帰る関東組のユウテンとイッカクと私がリムジンバスに乗り換えて高知空港に向かい、残りの10名の本隊は向かいのホームに停車中の高知駅15時13分発の岡山行き特急「南風20号」に乗り換えて、丸亀へ、高松へ、そして大阪へ向かいます。

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いよいよお別れです。楽しかった2日間もアッという間に過ぎていってしまいました。夢の世界からまた現実世界の連続線上に戻らねばなりません。本隊の10名が特急「南風20号」に乗り込んだ後も、別れが惜しくてホームから去りがたく、窓ガラス越しに会話をしてしまいました。お互い声は届かなくても、何を言っているのかはあらかた分かります。また、来年、『大人の修学旅行2016 in (たぶん)但馬・城崎温泉』で逢いましょう! それまでお元気で!

発車のベルが鳴り、本隊の10名を乗せた特急「南風20号」は岡山へ向け動き出しました。徐々に速度を上げて遠ざかっていく列車をホームで見送り、さらには高知空港16時50分発のJAL便で先に東京に帰るユウテンともJR高知駅で別れました。なぁ~んか昨日からハイテンションだった心の糸がブツッと切れちゃったみたいな感じです。あ~~~ぁ、終わっちゃった……(._.)


……(その13)に続きます。いよいよ次回が『大人の修学旅行2015』の最終回です。

執筆者

株式会社ハレックス代表取締役社長 越智正昭

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越智正昭

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