2015/03/05

♪上野発の夜行列車…が絶滅(その3)

【追記2】
ブルートレインというと、中島みゆきさんが作詞作曲して歌った『ホームにて』という名曲があります。1977年に発売された中島みゆきさんの5枚目のシングルで100万枚を超える初のミリオンセラーとなった『わかれうた』、そのB面に収録されている楽曲がこの『ホームにて』です。この『ホームにて』が中島みゆきさんの“最高傑作”だという人もいるくらいで、中島みゆきさんの数ある作品の中でも名曲と呼ばれているものの1つです。

その『ホームにて』の歌詞の中に“空色の汽車”というフレーズが出てきます。その“空色の汽車”とは、もちろんブルートレインのこと。この楽曲は、東京での暮らしに疲れ、故郷に帰ろうかどうしようかと迷っている時の揺れ動く心情を描いたものです。一言で言うと、東京に対する未練や自分に対する虚飾を一切捨て去って、きっぱりと故郷に帰ろうと決心できる人は、“空色の汽車(ブルートレイン)”に乗りなさい。反対に、その決心がつかない人は、まだ“空色の汽車”に乗ってはダメですよ…って内容の歌詞です。YouTubeで『ホームにて 中島みゆき』で検索すると必ず出てきますから、一度聴いてみてください。地方出身者なら必ず共鳴できる歌詞ですので、泣けます(^^)d

ちなみに、中島みゆきさんは北海道の出身。なので、この楽曲の中で歌われる“空色の汽車”も“上野発の夜行列車(ブルートレイン)”だった筈です。『ホームにて』は1977年の発売ですので、まだ東北新幹線も青函トンネルも開通していなかったので、その“空色の汽車”は札幌行きの寝台特急「北斗星」ではなくて、青森行きの「あけぼの」あたりだったのかもしれません。そして、『津軽海峡・冬景色』のように青森で青函連絡船に乗り換えて故郷北海道を目指す…ってイメージなのかな?

私も四国の出身だからよく解りますが、昔は東京から故郷に帰るということは思っている以上に大変なことで、重大決心を必要とするようなところがありました。飛行機や新幹線でビューンと行けるようになった現代の感覚では、なかなか理解できないことではないか…と思います。

ブルートレインが絶滅することで、これから先、中島みゆきさんがこの名曲の歌詞に込めた思いもなかなか理解されなくなっていくのでしょうね、きっと。


【追記3】
さて、一つ気になるところとしては、同じ区間を走行する寝台特急「カシオペア」の今後です。「カシオペア」はブルートレインではない特殊編成の客車車両を使用していて、しかもその編成が1編成しかないため、北斗星とは異なり1日おきの運転となっております。そのため、登場当初から“定期列車”という扱いではなくずっと“臨時列車”としての扱いなので、運行を取り止めても“定期運行終了”と言われることはありません。

今回のブルートレイン「北斗星」の定期運行終了の理由の一つに「北海道新幹線開業に向けての工事や試験走行」とありますので、夜間帯の青函トンネルでの作業時間を確保したいという意向があるのかもしれません。もしそうであるならば、上りの「カシオペア」と「北斗星」はどちらも函館駅を21時台の発車(「カシオペア」21時12分、「北斗星」21時48分)なのであまり関係はなさそうですが、下りは「カシオペア」の函館到着が5時2分なのに対し、「北斗星」は6時35分なので、「北斗星」よりも「カシオペア」のほうが作業時間確保の点ではより障害となる筈です。

もしかしたら「もともと“臨時列車”扱いだから運行日を減らすだけでいいので、特に発表していない」…ということなのかもしれません。チケットの入手が困難な人気観光列車ですので、北海道新幹線開業後もすぐに廃止されることはないと思っていますが、同様に大阪~札幌間を日本海縦貫線経由で結んでいる観光列車の色彩の濃い臨時寝台特急列車「トワイライトエクスプレス」が、大阪発・札幌発とも3月12日を最終運転日として運行を終了させることをJR西日本が発表しているだけに、今後の動向がとても気になるところです。

ちなみに、JR西日本では「トワイライトエクスプレス」の運行を廃止する理由として、車両老朽化に加えて、北海道新幹線開業時に青函トンネルの電圧が新幹線に合わせて変更されることや、整備新幹線の並行在来線がJRから第三セクター鉄道へ移管されることも廃止理由に挙げています。これってJR西日本の「トワイライトエクスプレス」だけに当てはまるものではありませんからね。


【追記4】
最後の「♪上野発の夜行列車…」で、しかも最後のブルートレイン「北斗星」の最後の下りの定期運行は3月13日の19時03分、上野発です。同列車は翌日14日の11時15分に終点の札幌に到着し、前述のようにブルートレインは60年近い歴史に完全に幕を降ろします。(反対に、上りの「北斗星」は3月13日の17時12分、札幌発で、翌日14日の午前9時38分に終点の上野に到着します。)

当日の上野駅と札幌駅は“葬式鉄(そうしきてつ)”と呼ばれる過激派の鉄道マニアでごった返すことでしょうね。

“葬式鉄”とは、狭義では鉄道路線・系統や、今まで活躍してきた鉄道車両の最後の運転・取り扱い日(ダイヤ改正などでの廃止・引退、いわゆる「さよなら運転」や「貨物列車取扱い廃止」、線路の大規模付け替え・廃車・疎開回送日)などの“当日”に駅頭や沿線に詰めかける鉄道ファンのことです。広義ではこれに廃車や廃線、列車の廃止などが噂、示唆、そして廃止日や引退日のプレスリリースや確定がなされた途端にその沿線に繰り出す鉄道ファンや、その取り巻きなどのこと指します。

概して一般常識がいささか欠如したマナーの悪い連中が多く、穏健派のその他大勢の鉄道マニアからは「奴等と一緒にして欲しくない」と思われているようなところがあります。もっとも、自分が“葬式鉄”と呼ばれるジャンルに属している迷惑な存在であるってことを是認(自覚)している鉄道マニアはほぼいないと思われるので、“葬式鉄”と口述する場合には十分な注意が必要となる厄介な存在ではあります。

私は極めて穏健な“鉄ちゃん”であり、決して“葬式鉄”の連中と一緒にされて不快な思いをしたくないので、最終の「北斗星」が出る前日か前々日に、これまでも見掛けることの多かった赤羽駅あたりで、通過していく最後の勇姿をそっと見送りたいと思っています。そこが私にとってのブルートレイン「北斗星」の“定位置”ですから(^^)d

執筆者

株式会社ハレックス代表取締役社長 越智正昭

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