2015/03/13

自然との調和

3年前にベトナム出張のためJALの国際線に乗った時、JALの機内誌『SKYWARD』にジャーナリスト近藤紘一さんが第10回大宅壮一ノンフィクション賞を受賞した作品『サイゴンから来た妻と娘』のことが取り上げられていました。ベトナムの特集のようで、ちょうどベトナムに出張する途中だったので興味深く読ませていただきました。その中で近藤紘一さんの著書『サイゴンから来た妻と娘』からの引用として、次のような一文が載っていました。

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西洋人は自然を征服し、日本人は自然と調和しながらこれを利用する、と言われる。(中略)少なくとも農耕民族である日本人にとっては、自然対人間の力関係は圧倒的に自然に有利であった。邪魔な木なら切り倒せ、という積極的発想は長い間生まれなかった。むしろ、その木の姿を歌に織り込んで、風流に転じた。
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そうなんですよね。日本人にとって元々自然とはそういう存在だった筈なんです。ところが明治維新以降、経済の急成長が進むうちに、日本人の間で近代化と言う名の西洋化が過度に進み、この日本人古来の“自然観”というものが徐々に失われてきてしまっているように私は感じています。そこに4年前の3月11日に起きた東日本大震災をはじめ記録的大雨や大型台風の直撃といった圧倒的な破壊力を持つ“自然の脅威”が襲ってきたわけです。

広く使われている言葉に『防災』という言葉あります。よくよく考えてみると、この『防災』という言葉は西洋的な発想から来る言葉だと言っていいのではないか…と私は思っています。

『災害』とは“災い”が“害”になると書きます。“災い”とはこの場合自然の脅威のことです。で、どんなに大きな“災い”が襲ってきてもそれが“害”にならなければ、人々からは注目されません。“害”とは人々の生命や財産に関係するような事象のことです。たとえば、地震や集中豪雨にとって人里離れた山の中で地形が変わるような崖崩れや浸水が起きたとしても、それは『災害』とは呼びません。また同様に、人がまったく住んでいないサハラ砂漠のど真ん中でマグニチュード9の地震が発生したとしても、『災害』とは呼びません。人々の生命が奪われたり、家屋が倒壊するような事象が起きてはじめて『災害』と呼ぶのではないでしょうか。

文字通りの解釈からすると、『防災』とは“災い”を“防ごう”ということです。すなわち襲ってくる自然の脅威を人間の力で完全に防ごうということ。ですが、自然の脅威は我々人間が考えている以上に圧倒的な破壊力を持ち、人間が作り上げた人工物など簡単になぎ倒してしまうほどの猛烈な破壊力を持っているということは、4年前の東日本大震災において誰の目にもハッキリとわかるほど証明されました。

農耕民族であると同時に、幾つもの大陸プレートが合わさった地殻的に不安定なところに位置し、四方を海で囲まれて緯度経度的にも台風のちょうど通り道にあり、冬は大雪にも見舞われると言う自然条件においては非常に厳しいところに住む我々日本人は常に自然の脅威に対して畏怖の念をもって接せねばなりません。これを『防災』の名の下に西洋人の考え方のように「自然を征服」しようなどと勘違いを犯したことで、反対に大きな災害を産んでしまった…と考えることもできようかと思えます。

私が言うまでもなく、日本は、周囲を海で囲まれ、37万平方キロメートルという南北に細長い狭い島国の国土の中で、地震や津波、火山の噴火、台風、集中豪雨など、ありとあらゆる自然の脅威が襲ってくる、世界有数の「災害大国」です。その反面、長い年月に渡ってその自然の脅威が作り出してきた国土は美しく、季節も四季がはっきりと分かれており風光明媚、海や土から多くの恵みを受けてきました。このように日本人は自然と調和しながらこれを利用してきたのです。

そして、自然の“脅威”の側面よりも“恵み”の側面のほうが大きかったから、こんなに自然災害の多い国でありながら先進国の仲間入りをすることができている…と、私は思っています。

こういう日本という国に暮らし、“気象”という自然と向き合う仕事を生業(なりわい)としていることを私達はもっともっと自覚すべきだと私は思っています。

市民生活も企業活動においても気象に関係することは多く、私達がその気になって探すと私達がお役に立てることはもっともっと沢山ある筈です。さらに自然の脅威の来襲に対しても、私達がやるべきことはもっともっといっぱい残っていると思っています。その意味で、自然は私達にさらなる“恵み”を与えてくれる存在だと私は思っています。

自然は偉大です。その力は人間の力を遥かに凌ぎ、まだまだ人間の知恵では解明できてないことのほうが圧倒的に多くあります。そうした自然に尊敬と畏敬の念を抱き、“自然との調和”を図ること、これが気象に関わる者の基本的な姿勢として求められるのではないか…と私は思っています。

美しいものには“力”があります。日本の自然もそうです(^^)d

明日3月14日(土)から18日(火)の5日間の会期で、東日本大震災の被災地である宮城県仙台市で国連の『第3回防災世界会議』が開催されます。この『世界防災会議』は国際的な防災戦略について議論する国連主催(開催事務局は国連国際防災戦略事務局:UNISDR)の会議で、第1回(1994年:横浜)、第2回(2005年:神戸)の会議とも、日本で開催されています。2005年に神戸で開催された第2回会議では、2005年から2015年までの国際的な防災の取組指針である「兵庫行動枠組」が策定されるなど、大きな成果を挙げています。今回の第3回国連防災世界会議では、兵庫行動枠組の後継枠組の策定が行われる予定です。

東日本大震災の被災地である仙台市で第3回の国連防災世界会議を開催することは、被災地の復興を世界に発信するとともに、防災に関する我が国の経験と知見を国際社会と共有し、国際貢献を行う重要な機会となると大いに期待されています。

弊社ハレックスもNTTグループ唯一の気象情報会社として、NTTグループのブースに出展します。

また、14日に行われるパブリックフォーラムの場でNTTデータの山下徹相談役が、『ICT×防災(仮題)』と題して講演なさることになっているのですが、その講演の中でも防災におけるNTTデータの取り組みの1つとして、弊社ハレックスの取り組みを幾つかご紹介いただけることになっています。

「株式会社地球防衛軍」ハレックス、世界に向けて発進(発信)です!(^-^)v

執筆者

株式会社ハレックス代表取締役社長 越智正昭

株式会社ハレックス
代表取締役社長

越智正昭

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