2015/08/07

「花燃ゆ」よりも山口線(^^)d

先週の7月27日(月)、28日(火)と山口大学の某教授等と防災関連の意見交換のため、山口県の山口市に出張してきました。山口への移動には東海道・山陽新幹線を利用したのですが、乗車した東京駅のホームで、東海道新幹線に乗るのは随分と久しぶりだなぁ~ってことに気づきました。おそらく1年、いや1年半ぶりくらいなのではないでしょうか。この間も地方への出張や旅行はたびたびあったのですが、移動に使うのはたいてい飛行機で、東海道新幹線を使うのは随分と久し振りであることに気づきました(この間も東北新幹線や上越新幹線、長野・北陸新幹線は利用していましたが…)。

この日の日本列島は台風12号から変わった低気圧が山陰沖の日本海を進んでいる関係で、ところどころで雨が降る不安定な天気でしたが、道中の天気は概ね晴れ。外は暑そうな陽射しが照りつけて、車窓には真夏の風景が広がっていました。

私の乗った博多行きののぞみ号は名古屋、京都、新大阪と通り過ぎて岡山に停車。岡山の到着間際に流れた「瀬戸大橋線、四国方面、松山行きの特急しおかぜ〇号は…」という乗り換え案内の車内放送は、妙に嬉しかったですね。思わず、岡山で乗り換えちゃおうかと思っちゃいました。岡山の次の停車駅は広島。広島は私が4年間の大学生活を過ごした街で、妙に馴染みのある光景が広がります。山陽新幹線はトンネル区間が多く、瀬戸内海沿いを走ると言ってもほとんどがトンネルなので、美しい瀬戸内海の光景はほとんど見えません。列車は青々と茂った田圃の中を猛スピードで駆け抜けていきます。

で、広島の次に停車するのが、山口線への目的地(乗換駅)、新山口です。この新山口駅は山口県の県庁所在地・山口市の玄関口となる駅で、2005年の合併までは旧・小郡町に位置し、2003年までは小郡駅(おごおりえき)と称していました。山陽新幹線の停車駅の1つで、在来線も山陽本線の上下線や山口線、宇部線と4方向に延びる交通の要衝とも言える比較的大規模な駅で、駅構内には、昔、蒸気機関車(SL)が骨を休めていた機関庫の跡地があり、放射線状に短い線路が伸びたターンテーブルがそのまま放置されていたりします。鉄道路線以外にも山口県の代表的な観光地である萩・秋芳洞方面や山口宇部空港へ直行バスが運行されていて、県中央地区における交通の要衝としての役割も担っています。

新山口駅1

新山口駅2
新山口駅3




実は、「新山口駅」と聞いて、私はいったいどこのことか?…と思ったくらいです。広島で学生生活を送り、このあたりにいささか土地勘がある者としては、「小郡」という駅名のほうが圧倒的に馴染みがあり、「新山口駅」は違和感がありありでした。

山口県の県庁所在地の中心駅(山口県庁の最寄駅)である山口駅へは、この新山口(旧・小郡)で在来線の山口線に乗り換えます(平成の大合併で小郡も山口市に編入されましたが…)。で、この山口線、単線非電化のローカル線で、列車の本数も1時間に1~2本と、さして多いわけではありません。駅の乗降客数で言うと、山口市の中心駅である山口駅よりも新山口駅(旧・小郡駅)のほうが遥かに上回ります。新山口駅から山口駅までは営業キロ12.7km。山口駅は中国地方の内陸部にあります。新山口駅から山口駅までの所要時間は特急「スーパーおき」で約12分、快速「通勤ライナー」で約17分、普通列車で約22分です。 (山口線には蒸気機関車が牽引する観光目玉列車の「SLやまぐち号」が走っています。)

新幹線の改札口を抜けて在来線のホームへ。ホームでは山口線のキハ47形ディーゼルカーが2両の短い編成で発車を待っていました。このキハ47型ディーゼルカー(気動車)は一般にキハ40系と呼ばれる車両で、1977年(昭和52年)から1982年(昭和57年)にかけて総合計で888両が製造され、日本全国の非電化路線に広く投入された車両です。製造年からお分かりのように、民営化前(JRになる前)の日本国有鉄道(国鉄)時代に製造された車両で、その使い勝手の良さから現在でもJR旅客鉄道各社に多数が在籍し、主にローカル線の普通列車用として広く用いられています。車内では天井に扇風機がいくつもぶら下がっているのが、レトロな昭和の時代の感じです。

キハ47形は明るい朱色一色に塗られているのですが、よく見ると、先頭の1両はその朱色が随分と色褪せ、老朽化が目立っています。そのうちに新型車両に置き換えられるのでしょうが、山口線ではまだまだ主役の座は揺るぎないようです。

山口線車内

山口線の隣のホームには山陽本線の115系電車が停車していました。2両の短い編成にするため、もともとは中間電動車であった車両を先頭車に改造したようで、前から見るといささか変な形をしています。最近は広島近郊のJRの電車は広島色と呼ばれる濃い黄色一色に塗装されているのですが、見慣れないだけに違和感がありありです。直前までのベージュ地に青帯の瀬戸内色と呼ばれる塗装が私は好きだったのですが…。(旧広島色では気動車は白と黄色のツートンカラーだったのですが、最近は朱色一色に塗装されています。どちらも馴染みがないせいか、違和感を感じてしまっていけません。)

新山口駅発15時24分の山口線山口行きの普通列車は、重低音のディーゼルエンジンの音を轟かせながら、定刻に新山口駅を発車しました。新山口駅を出るとすぐに車窓に田園風景が広がります。これです、これがローカル線の旅の魅力です。山口線は二級河川である椹野川(ふしのかわ)に沿って中国地方の内陸部へと分け入っていきます。新山口駅を出て6駅目、湯田温泉駅に到着しました。この日はこの湯田温泉にあるホテルに宿泊します。なので、山口駅の1駅手前にあるこの駅で下車しました。新山口駅からおよそ20分の短い列車旅でしたが、十分に堪能することが出来ました。不足がちだった“鉄分”の補給にはなったようです。

湯田温泉駅1

湯田温泉駅2
湯田温泉駅3

湯田温泉駅4


湯田温泉は山口県の県都・山口市の南西部に位置し、大型ホテルや旅館、ビジネスホテルなどがたくさん建っています。中国地方の瀬戸内海側、いわゆる“山陽路(広島県や岡山県)”にはあまり温泉街は存在していないのですが、そういう中で、山陽路随一の温泉街と言えるのがこの湯田温泉です。また山口市内の観光や萩・津和野という有名観光地を巡る際の宿泊拠点であり、バス路線網はJR山口駅ではなく、この湯田温泉を中心に各地を結んでいます。

また、湯田温泉は県都・山口市の繁華街・歓楽街という側面も持ち、飲食店なども数多く立ち並んでいます。県庁所在地の市街中心地に程近いところ湧出する比較的規模の大きな有名温泉地というと、山梨県甲府市の甲府温泉、鳥取県鳥取市の鳥取温泉、島根県松江市の松江宍道湖温泉、愛媛県松山市の道後温泉などが挙げられますが、中国四国地方に多いのが面白いところです。

こうした県庁所在地の市街中心地に程近いところ湧出する温泉地は、ビルやホテルが林立しているので、いわゆる“温泉街”特有の情緒とは一線を画すようなところがありますが、夜中まで宿泊客が散策できるようなスポットが多く、まぁ、これはこれでよろしいのではないか…と私は思います。

近年は“足湯”に力を入れているようで、温泉街を歩くと、幾つも足湯を見掛けます。JR湯田温泉駅の駅構内にも足湯があり、大勢の外国人(欧米人)観光客の団体が足を浸けて歓声をあげていました。まぁ~こういう文化、欧米にはなかなかないでしょうからね。

この湯田温泉、開湯は約600年前といわれ、白狐が毎夜温泉に浸かっていたところを権現山の麓のお寺のお師匠さんが発見したとされています。田圃の真ん中から金色のお地蔵さんや、源泉が湧出したことが「湯田」の名前の由来とされていて、江戸時代末期には、尊王攘夷派の藩士や公家が多数この地に滞在していたそうです。 特に松田屋ホテルは、かつて坂本竜馬や高杉晋作などの幕末の維新志士達が集って新しい日本の姿をさんざん議論したところとされ、このほかにも明治維新の史跡が多数現存しています。歴史好きにはたまらないところです。

また、湯田温泉は明治維新政府で数々の要職を歴任した井上馨や詩人・中原中也の出身地で、漂泊の俳人として知られる種田山頭火も一時ここで暮らし、この温泉を愛したとされています。

今年のNHKの大河ドラマは『花燃ゆ』。このドラマの中心的な舞台はこの山口。物語の主役は吉田松陰の末の妹で、後に久坂玄瑞の妻となる文(後の楫取美和子)。主演を務めるのは、井上真央さん。兄である松陰と久坂玄瑞、高杉晋作、伊藤俊輔(博文)、桂小五郎(木戸孝允)、品川弥二郎など松下村塾の弟子達の人間模様を織り交ぜながら、幕末から明治維新へ向けた激動の時代を描く作品です。

そうしたこともあって、山口の町の中にはいたるところに『花燃ゆ』や『維新』、『松下村塾』、『吉田松陰』、『文ちゃん』等とかかれた幟や看板、ポスターが溢れています。前述のように、欧米人観光客の姿も含め、多くの観光客の姿が見られ、日本の文明開化の夜明けが始まったところとして、注目されているようです。

今回の山口出張では18時間ほどの滞在の間にホテルの露天風呂に3回と、近所の足湯に1回、計4回も浸かってきました。日本海と瀬戸内海の両方の魚の味も堪能できましたし、なんと言っても山口線。ローカル線の旅も満喫できました。温泉と地場の美味しい食べ物とローカル線。こりゃあたまりません。また、もう一度やってきたいところです。

執筆者

株式会社ハレックス代表取締役社長 越智正昭

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