2015/10/23

北のカナリアたちに逢いに最北限の島へ(その12・完結)

旅行4日目(9月8日)最終日、この日は午後、14時30分利尻空港発のANA便で、新千歳空港経由、東京に戻ります。それまで午前中は時間があるので自由行動ということになったのですが、自然が最大の見処というか、自然以外に主たる見処がない狭い利尻島なので(その自然があまりに素晴らしすぎるのですが…)、もう一度レンタカーで島を一周してみることにしました。

一昨日、利尻島を一周したのですが、途中で眠くなって仮眠をとったので、特に島の西側についてはほとんど観ていませんでしたからね。一昨日、利尻山に登ったハレックス山の会の連中も、オタトマリ沼や姫沼等に行ってみたいということになって、レンタカーをもう1台借りて、島1周のドライブをすることにしたので、私達夫婦も彼等に同行して、もう1回、美しい利尻島を回ることにしたのです。

ただ、ハレックス山の会でも馬場社員と津田社員は別行動。なんと、せっかく最北限の島にやってきたので、海で泳いできたいのだとか。ビックリです(@_@) 場所はペシ岬の北側の断崖の下の入り江。私達夫婦がペシ岬の尖端を目指して急な遊歩道を登っていた時、中学生とおぼしき一団が水遊びしていたところです。彼等2人も、一昨日、日本海に沈む夕陽を見るため、夕方にペシ岬に行ったのですが、どうもその時に水遊びに適したこの入り江を発見したようなのです。まぁ、あそこなら波も静かだし、崖の上から見下ろすと底が見えるほど海水も澄んで綺麗だし、岩場も綺麗だし…で、泳ぎたくもなりますわね(^.^)

ベースキャンプとしたキャンプ場の周囲の木々は、3日前に来た時と比べると、明らかに紅葉が進んでいます。ナナカマドの赤い実も、赤い色がさらに濃く、鮮やかさが増した感じです。このあたりは、一気に季節が秋に向かって進んでいるようです。既にほとんどの客が撤収し、テントの数も数えられるほどに少なくなりました。

朝食は、昨日同様、全員で揃って、鴛泊港フェリーターミナル前の佐藤食堂で摂りました。今日の私は焼き魚(ホッケ)定食。最近、漁獲量が激減して、ホッケは首都圏ではなかなかお目にかからない高級魚になりつつありますからねぇ~。ホッケも水揚げされる港町でないと手軽には食せないような魚になってきました。でも、地元で食するホッケは、肉厚で独特の甘味もあって、とても美味しかったです。

ホッケ定食

レンタカーをもう1台借りて、5人がクルマ2台に分乗して鴛泊港を出発しました。一昨日に“下見”をしている私達夫婦が案内役です。鴛泊から時計回りに島を一周することにし、まずは鴛泊からすぐ近くにある景勝地・姫沼に向かいました。この日も晴れてはいるのですが、これまで2日間と比べ雲が多く、姫沼から見える利尻山は山頂付近を含め七合目から上のあたりは雲に隠れています。

姫沼(9月8日)1

姫沼(9月8日)2


姫沼を周回する遊歩道を歩き、駐車場のところに戻ろうとすると、黒い少し大きめの鳥が飛んできて、近くのエゾマツの木にとまりました。この最北限の島では気温が低かったり、日照が弱かったり、風が強かったりで、木はさほど高くなりません。近くの一番高い木で10メートルほどでしょうか。その木のテッペンあたりにとまって、木の幹をクチバシでつついています。あの鳥はもしかしてクマゲラ(@_@) 。日本に棲息するキツツキの仲間の中では一番身体の大きな鳥です。北海道の原生林にいるのですが、数が少ないため、1965年に国の天然記念物に指定されています。そのクマゲラをこんなに近くで見ちゃいました。一昨日はオタトマリ沼でアカゲラを間近で見ました。感激です。今回のブログ、「北のカナリアたちに逢いに最北限の島へ」と題していますが、実際に私が最北限の島で逢ったのは“カナリア”ではなく“キツツキ”でした(^^)d

姫沼(9月8日)3

姫沼に続いてはオタトマリ沼、そしてそこから見た利尻山の風景が北海道銘菓の定番「白い恋人」の箱に描かれている沼浦展望台に案内しました。この日のオタトマリ沼は若干風があって湖面は鏡のように穏やかとは言えず、逆さ富士は見えませんでした。先ほどから少しは雲が少なくなったものの、オタトマリ沼から見える利尻山も、沼浦展望台から見える利尻山も、残念ながら九合目から上に真っ白い雲がかかり、山頂付近はまったく見えず、銘菓「白い恋人」の箱に描かれた、ヨーロッパのアルプスを連想させる険しく複雑な山の稜線は確認できませんでした。

オタトマリ沼(9月8日)

白い恋人の丘(9月8日)


沼浦展望台から次にむかったのは沓形。沓形はほぼ円形をした利尻島の中でも西側に位置します(鴛泊は北側、オタトマリ沼は南側にあたります)。沓形の地名はアイヌ語のクッツカンタ。岩が多いところという意味で、その言葉のとおり、利尻山から流れ出た溶岩流が冷えて固まって、岩だらけのゴツゴツした地形をしています。沓形には港の横に入り江を形成するように岬が飛び出していて、そこが公園(沓形岬公園)になっています。

沓形岬1

沓形岬2
沓形岬3




沓形岬の先端からは、礼文水道を挟んで礼文島を間近に望めます。沓形港と礼文島の香深港の間には、夏期の間だけ1日1往復、ハートランドフェリーが結んでいて、ちょうど沓形港から香深港にむけての11時25分発のその便がボォ~ッ!という大きな汽笛を残して出港していくのが見えました。

沓形岬からは幅約19kmの礼文水道を挟んで礼文島の南側が見えます。目を凝らして見ると、白地に赤い線が横に2本入った小さい灯台と、赤い屋根の小さな建物が見えます。沓形岬公園の展望台には無料で利用できる高性能の固定双眼鏡が備え付けられていて、それを覗いてみると、その赤い屋根の建物が昨日訪れた「北のカナリアパーク」にある「麗端小学校岬分校(映画『北のカナリアたち』の舞台)」であることが分かります。ということは、昨日、「北のカナリアパーク」から見えた利尻島は、この沓形あたりなんですね。

ということは、この沓形から見える利尻山(利尻富士)は礼文島の「北のカナリアパーク」から見たのと同じ利尻山。独立峰で山頂の標高が1,721メートルと高い利尻山は、利尻島のどこからでも見えるのですが、同じ利尻山と言っても東西南北でまるで見え方が違ってきます。人それぞれ好みはあると思いますが、私は島の西側のこの沓形あたりから眺める利尻山の風景が一番好きです。左右になだらかな裾野が広がっていて、成層火山のまさに富士の名に相応しい形をしています。雄大な眺めです。しかも、この西側からだけは山頂付近に雲もなく、尖った山頂が確認できます。先ほどの展望台の固定双眼鏡を利尻山の山頂付近に向けてみたところ、小さく登山客の姿が見えました。

沓形岬公園には、キャンプ場や展望台、ミニビジターセンターのある公園になっています。6月から7月にかけてはチシマフウロやクロユリなどが咲き乱れ、西側に広がる日本海に沈む夕陽が大変に美しいところです。海岸べりにハマナスが群生しています。花の盛りは終わっていて、既に赤い実が幾つもなっているのですが、まだ少し花も残っています。一昨日、焼きウニをいただいたのと同じオタトマリ沼の売店で、先ほどハマナスのソフトクリームをいただきました。きっとこの実を絞った果汁が入っているのでしょう(珍しくはあるのですが、正直、ちょっと微妙でした)。周囲はススキが生い茂っていて、既に秋の風情です。

沓形岬4

沓形岬5


12時を少し回ったので、散策を切り上げ、さらに時計回りに島の外周道路を進んで、鴛泊港に戻ることにしました。港の手前で馬場社員と津田社員とも落ち合い、全員で揃って昼食。鴛泊港のフェリーターミナル前にある幾つかの食堂のうち、佐藤食堂とは異なる磯焼亭という食堂に入り、海鮮ラーメンをいただきました。利尻島のラーメンは醤油ベースのスープで、ラーメンというより中華ソバって感じですが、どの店のスープもとても優しい味がして、なにげに美味しいんです。単純に豚骨や鶏ガラだけでとったスープというわけではなく、利尻昆布でも使っているのでしょうか。出汁になにか秘伝がありそうです。一度食べると、ちょっと病みつきになります。とにかく利尻島、礼文島という最北限の島はなにを食べてもメチャメチャ美味しいです(^^)d

おやぁ~、木村課長がミルピスを飲んでいます。甘いぞぉ~!(笑)

海鮮ラーメン

ミルピス


3泊4日の旅も終わり、14時30分利尻空港発のANA4930便で、帰途につきました。利尻島、礼文島という最北限の島は当初予想していた以上に素晴らしいところでした。大自然に包まれて…という表現がピッタリのところで、日常を離れ、思いっきりリフレッシュすることができました。こんなところがまだ日本に残っていたのか…と思えるくらいのところでした。お薦めです(^^)d

利尻空港(9月8日)

10月に入ると、北緯45度にある最北限の島は既に長く厳しい冬期に入ります。最北限の島が再び我々遠来の旅行者を招き入れてくれるのは、来年の6月になります。それまで島は長い長い眠りに入ります。

翌日から日常の連続線上に戻るのか…と思うと、正直、身体と心が拒絶反応を示すようなところもあります。ですが、利尻空港のターミナルビルで久し振りに観たテレビのニュースによると、晴れていたのは北北海道のこのあたりだけで、台風17号と18号という2つの台風の接近により、首都圏をはじめ日本列島は広い範囲で雨。それも、ところにより激しい雨が降っているようです。特に台風18号は翌日(9月9日)、静岡県浜松市あたりに上陸するかもしれないコースをとっていて、全国的に大荒れの天気になりそうです。一気に現実に引き戻される感じがしました(^_^;)

さぁ~て、仕事だ仕事だ(^.^)


【追記】
ハートランドフェリーの船内の売店で購入した『サイプリア宗谷』のぺーバークラフトを、帰宅後1ヶ月ほど経って(このブログの原稿を書き上げて)、五反田重工業埼玉工場(自宅のことです)で“建造”しました。利尻山(利尻富士)の背景も付いていて、これを眺めていると、楽しかった最北限の島への旅、特に雄大な利尻山の風景と、礼文島の素晴らしい自然美のことが鮮明に思い出されます。また、行きたくなりました(^-^)v

ペーパークラフト

今日(10月23日)、弊社のオリジナル気象情報サービス『HalexDream!』で確認すると、10月も下旬になったこの日、礼文島のスコトン岬付近の最高気温は13℃、最低気温は12℃です。明日(24日)は夕方から天気が下り坂になり、20時前後には雨に変わりそうです。明日は夕方から気温が下がり、最低気温は4℃。明後日(25日)には最低気温が3℃まで下がり、雨は雪に変わる予報になっています。利尻山の標高の高いところでは、明日の夕方から最低気温は-8℃あたりまで下がり、雪の予報になっています。雄大な利尻山の景色も、既に白い雪化粧に変わっているのではないか…と、推察されます。既に北緯45度付近では、季節は既に晩秋を過ぎて長い冬に入っているようです。

執筆者

株式会社ハレックス前代表取締役社長 越智正昭

株式会社ハレックス
前代表取締役社長

越智正昭

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