2015/10/26

ハリケーン「パトリシア」

ハリケーン「パトリシア」1

ハリケーン「パトリシア」2


メキシコとアメリカの気象当局によりますと、メキシコの観測史上、最大級の勢力を持つと言われる大型のハリケーン「パトリシア」が日本時間の24日(土)午前8時すぎ、メキシコ西部のハリスコ州に上陸しました。

上陸直後の日本時間の24日(土)午前9時、中心の気圧は924ヘクトパスカル、最大風速はおよそ72メートル/秒で、メキシコ政府によりますと、太平洋沿岸の地域では浸水や土砂崩れが起きたという通報が入り始めているということです。

メキシコ政府は、「メキシコの西海岸に上陸するハリケーンとしては観測史上最大だ」として、太平洋沿岸の3つの州に非常事態宣言を出して警戒を呼びかけています。また、NOAA(アメリカ海洋大気局)も、北太平洋の東部で観測された最も勢力が強いハリケーンだとしていて、壊滅的な被害をもたらすおそれがあるとして、暴風や大雨、それに高潮に備えるよう呼びかけました。

アメリカを襲った大型のハリケーンというと、2005年にアメリカの南部を襲い、1,800人以上が犠牲になったハリケーン「カトリーナ」が有名ですが、今回のハリケーン「パトリシア」はそのハリケーン「カトリーナ」よりも勢力が強いハリケーンだったというアメリカのメディアの報道もあります。

パトリシアは一時、ハリケーンの強さを示す5つの段階のうち、最も強い「カテゴリー5」に発達し、メキシコ政府は「西海岸に上陸するハリケーンとしては観測史上最大だ」としていましたが、上陸後は急速に勢力を弱め、上陸から約10時間後の日本時間の24日午後6時には、中心の気圧は986ヘクトパスカル、最大風速はおよそ33メートル/秒で、ハリケーンの強さを示す5つの段階の等級も、最も低い「カテゴリー1」に変わりました。その後、25日の未明には熱帯低気圧に変わりました。

報道によりますと、メキシコ国内では降り始めからの雨量が多いところで300ミリに達したところがあるようで、大雨による浸水や洪水、それに地滑りによる土砂崩れが起きたという通報が地元当局に幾つか入っているということのようですが、死者や怪我人の数を含む被害の詳しい情報に関しては、まだ報道されておりません。大きな被害にならないことを祈るだけです。


【追記】
今回のハリケーン「パトリシア」が北太平洋の東部で過去最も強い勢力にまで発達したのは、南米・ペルー沖の海面水温が平年より高くなるエルニーニョ現象が続いている影響で、メキシコ周辺の北太平洋の海水の温度も高い状態が続いていることが関係している可能性もありますね。

海は繋がっているので、これは北東太平洋だけのことではなく、日本近海の北西太平洋でも、同じような状態になっていると思われ、条件が揃えば、これまで発生したことがない猛烈な勢力の台風が発生して、日本列島に接近・上陸する可能性もありえるということを意味します。なので、日本列島から遠く離れたメキシコで起きた事象であると他人事のように思わず、日本列島でも起こりうることだという認識をもって注意することが必要ですね。