2015/12/14

“儲(ける)”とは信じる者と書く

「“儲(ける)”とは信じる者と書くんですわ。まず何より社員同士、会社同士の信頼という結び付きがなければ、儲けられんということでんな。」

この言葉は株式会社アオキの青木豊彦社長が何かの雑誌のインタビューの中で述べられていた言葉です。

株式会社アオキは中小企業が集まる町・東大阪市にある機械工作メーカーで、青木豊彦社長は東大阪市の中小企業が集まって開発し打ち上げた人工衛星“まいど1号”プロジェクトの中心メンバーのお一人です。現在は「まいど技術センター」の代表でもあります。

私はこの「“儲(ける)”とは信じる者と書く」という言葉を目にした時、そうだ!これだ!!……って思いました。(私は“信じられる者”とも読みました。)(^o^)

我々ハレックスが販売している商品である「情報」は、基本的に目に見えないものです。そして、それは“機能”でも“性能”でもなく、お客様の“課題解決”、すなわち何らかの“導入効果”に繋がるものです。これが我々の売っている商品の本質だと私は思っています。

また、“導入効果”を販売している以上、その商品の価値は、お客様のところに商品である情報をお届けした時点ではなく、お客様がその情報を実際にお使いになり始めたあとから実感される性質のものである……とも言えます。

当社ハレックスは基本的にBtoCのビジネスは行っておらず、BtoBのビジネスが主体です。このBtoBビジネスの場合、気象情報に限らずどんなものを販売するにしても、営業の活動には次の5つのプロセス、すなわち

「5つの“不”の克服」というプロセスがあると思っています。

ここで言う「5つの“不”」とは、以下の通りです。

①[不信] ……まずはお客様から信用していただかないとビジネスは始まらず、モノは売れません。同じものであっても、お客様は“どこ”から買うかを大事にされるものです。また、それ以上に“誰”から買うかも大事にされます。そしてそれは、高価なもの、重要度の高いものならなおのことです。まず、信用できない人から買うなんて危険なことはしないものです。

②[不要] ……お客様は課題を解決するために我々からモノを買うのであって、課題がなくてはモノを買いません。したがって、お客様の課題を把握することは極めて重要なことです。

③[不適] ……これは、そのモノはお客様の課題を解決するのに適しているのか?と言うことです。どんなに優れたモノであっても、お客様の課題にジャストフィットするものでないと、お客様は買っていただけません。

④[不急] ……お客様にも限られたリソースという壁があります。リソースが限られているということは、そこに優先順位というものが生まれます。どんなにいいモノであっても、時期尚早だと買ってはいただけません。タイミングって、極めて重要です。

⑤[不満] ……せっかく契約まで漕ぎ着け、そして納入させていただいても、その後のアフターフォロー、アフターケアが十分でないと、もう二度と買うかぁ~!ってことになっちゃいます。アフターフォロー、アフターケアって大事です。

この「5つの“不”の克服」のうち、目に見えない“導入効果”を販売している我々にとっては、特に①の[不信]の克服のプロセスがほかの商品を売る場合以上に重要になる(いやそれ以上に、ほとんどすべての鍵を握る)と思っています。

お客様は、信じられない人やモノには絶対にお金を出しません。「儲ける」とは信じる者を作ること、いや、「信じていただける人を作ること」……という意味でもあります。ですから、株式会社ハレックスという法人、そして“あなた”という個人を“信じる者(お客様等)”が何人いるかが極めて大事になります。すなわち、ハレックス社を、そして“あなた”を信用する人をどれだけ多く作るかが、多くの「儲け」に繋がるということなのだ…、と私は思っています。

このように、「儲け」は人と人との出会いの中で初めて生まれるものです。お客様のために額に汗を流し、身を粉にして精一杯努力してこそ、初めてお客様は応えて下ります。そうすることにより、お客様は私達のファンになっていただけて、そして感謝の笑顔を見せて下さるわけです。お客様から感謝されて、はじめて私達はその“お印”としてのお金(対価)をいただくことができるわけです。

「儲ける」という言葉、特に「金儲け」などと書くといささかダーティーな印象がある言葉なのですが、こういう風に考えてみると、もしかしたら「儲け」と言う言葉は、直接お金や利益を指し示す言葉などではなく、“にんべん”が付いているだけに、本来は人情から派生した心の言葉なのではないか……と思えてきます。

ビジネスは結局のところ、すべてが人と人との繋がりの中から生まれるものです。ですから、ビジネスで成功する秘訣は、人を大切にすること、特にお客様を心より大切にするということに尽きるのではないか……と、私は思っています。

そして、儲けるんじゃなくて、“儲けさせていただく”。お客様から儲けさせていただけて初めて会社が成り立ち、我々に給料も支払われるわけです。営業たるもの、そのことへの感謝の気持ちを絶対に絶対に忘れてはなりません。「儲ける」ためには、決して“信”を欠いてはならないということです。

お客様のパートナーになるということは、お客様から見て我々が“信じられる相手”になるということです。“信じられる相手(者)”、それはすなわち、“儲ける”ことができるということです。(^-^)v


【追記】
「“儲ける”とは信じる者と書く」の別の解釈としては、「“儲ける”とは、自分の仕事を信じきってしまうくらい、惚れこんだり、没頭したりする者のことだ」という解釈もあると思います。

例えば、お客様の業種・業界のことを面白い!と思ったり、自分はお客様のために最善を尽くすんだという強い“思い”をもって挑めば、お客様は間違いなくその“思い”に応えていただけるものだと思います。少なくとも、私はそう“信じる者”です。(^-^)v

さらに、漢字自体の解釈を変えて、「“儲ける”とは、“人”が“諸々”のことをした結果として得られるもの」というようにも読むこともできます。何事も諦めず、いろいろと工夫をしてみることが重要だ……ということです。

利益は改善・改革の努力の中から本来生まれてくるものです。ただ今まで通りのことを漠然とやっていただけでは、この先、大きな“儲け”は生まれっこありません。諦めず、諸々の工夫をやってみることです。なんらかの解決方法が見つかるかもしれませんよ。そしてそれが次の“儲け”に繋がります。(^^)d

それにしても、漢字ってそれがたった1字であっても先人の知恵がいっぱい詰まっていて、その字の意味に深く思いを馳せてみると、大変勉強になります。これが漢字2字になると、さらに意味が鮮明になったり、幅が広がったりします。

皆さんも何かに困った時には、キーワードとなる言葉の漢字が持つ本来の意味を考えてみるといいと思います。もしかしたら、その中から物事の本質が見えてきたり、進むべき先の道が見えてきたりするかもしれませんよ。(^^)d

執筆者

株式会社ハレックス前代表取締役社長 越智正昭

株式会社ハレックス
前代表取締役社長

越智正昭

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