2016/04/08

もうひとつの真田の舞台~上州沼田~(その2)

開始前

(その1)で書きましたが、今回の沼田出張の目的は、沼田市の隣町である利根郡昭和村の本拠を構える株式会社野菜くらぶ様からご依頼を受けて、株主総会後に開催される同社の2016年度経営方針説明会の後半で講演するためです。

株式会社野菜くらぶ様は平成4年(1992年)10月に創業した農業生産法人です。弊社ハレックスはその半年後の平成5年(1993年)4月1日の創業ですから、ほぼ同じくらいの歴史を持つ会社さんです。

 (野菜くらぶ公式HP

詳しくは上記の同社公式HPを是非ご覧になっていただきたいのですが、株式会社野菜くらぶ様は蒟蒻(コンニャク)芋の栽培から始まり、野菜の企画販売や、産地開発、農産品加工、栽培管理システムの開発管理、最近では健康食品ブームに乗ってコンニャク製品の欧米への輸出や耕作放棄地を活用しての太陽光発電等、農業を基本として実に手広く事業を展開されています。特徴的なのは、新規就農者向けに独立支援プログラムを運営していることです。やはり事業の柱は人財(人材ではなく、“人財”)。将来ある農業人財の育成に多くの力を注いでいるのは立派!の一言です(^^)d

この日の野菜くらぶ社の株主総会と2016年度経営方針説明会は沼田市内随一(唯一?)とも言える立派なホテルで開催されたのですが、会場に一歩足を踏み入れてビックリしました。出席者が100人を超えようかという大人数さんで、しかも、出席者全員がパリッとしたスーツに身を包んでいるのです。おまけに若い人達が多く、何人もの女性の姿もあるではないですか!(@_@) それも、地元群馬県だけでなく、岡山県、静岡県、青森県といったところからも。野菜くらぶ社の独立支援プログラムを卒業した新規就農者の皆さん方です(^^)d 社員というよりも、独立したグループ会社という感じの人達だと受け取りました。

会場に入る前までは、農業生産法人の株主総会と経営方針説明会なので、いかにも農業者と思えるカッコウの人達ばかりが揃っているのかな…と勝手に思っていたのですが、その予想を思いっきり裏切られてしまいました。それもいい意味で(^.^)。そうなんですよね、農業生産法人といっても何も特別な会社ではなく、我々ハレックスと同じふつうの会社なんですよね。まぁ~、外で仕事する機会が多いので、陽に焼けた顔をされた筋肉質の体形の方が多いのが農業生産法人らしいとは思いましたが…(^.^)

今回、私が講演に招かれたのは、今年2月10日にアグリビジネス投資育成株式会社主催で東京・目黒で開催された「若手後継者・経営幹部向けセミナー」での私の講演を聴いていただいた方の中に野菜くらぶ社の元気で若い女性の社員さんがいらっしゃって、彼女が会社に戻って同社の澤浦彰治社長に私を推薦していただいたことがきっかけでした。この時期は決算時期なので、中小企業の社長としてはいろいろあって忙しい時期ではあったのですが、そういう経緯もあり、若い女性の方から依頼されたのであれば、お断りすることはできません。依頼されたのがあまりに嬉しかったので、二つ返事でお引き受けさせていただきました(^.^) なのでかどうかは分かりませんが、アグリビジネス投資育成株式会社の北原社長も野菜くらぶ社の経営方針説明会に顔を出しておいででした。

野菜くらぶ社の経営方針説明会の冒頭で同社の澤浦彰治社長が力説した2016年度事業方針の柱というのが「天候に左右されない農業を目指す」ということ。それをお聞きした時、今回、私が講演に招かれた理由というものが、ハッキリとわかりました。私と基本的な考え方がピッタリ一致しているのですね。こりゃあ澤浦社長の事業運営方針を受けて、それのヒントになるようなことや、後押しするようなことを講演の中で述べればいいんだよね…って思っちゃいました。

講演時間は事前に1時間30分とたっぷりといただいたので、澤浦社長の述べられた事業運営方針を意識しながら、また、いつも以上に何度も脇道にそれながら(笑)、しっかりとお話しさせていただきました。おかげで、結果として予定の時間をかなりオーバーしてしまい、なんとなんと1時間45分も講演させていただきました(基本1時間を予定した講演の内容でしたので、45分ぶんも脇道にそれた話をさせていただいたことになります)。その後の質疑応答では、何人もの方から質問を受け、終わったのは講演開始から2時間15分後。最初に事務局の方から「(講演は)座ってやられますか?」と聞かれたのに、「いや、大丈夫です。立ってやります」と意気がってしまった自分をさすがに途中で後悔しちゃいました(苦笑)。

私はこれまで様々なところで講演をさせていただいているのですが、2時間以上の講演なんて初めてのことです。この群馬県沼田市での野菜くらぶ様向けの講演が、私にとっての過去最長の講演になってしまいました。しかし、壇上からお見掛けした限り、聴いていただいた方々の反応もなかなかのものだったのではないか…と、私は勝手に確かな手応えを感じていました。聴いていただいた方々があまりに“聞き上手”だったのでしょうか、過去最長の講演だったにも関わらず、なんだか気持ちよくやらせていただきました。さすがに、帰りの新幹線の車内でドッと疲れが出ちゃいましたが…(笑)

生産者VIP選出

私の講演の後は懇親会でした。私は澤浦社長の隣の席でしたので、澤浦社長とじっくりと話をさせていただきました。さすがに28歳で会社を立ち上げ、一代でここまで成長させてこられた人物です。2008年に開催された第47回農林水産祭において蚕糸・地域特産部門で「天皇杯」を受賞されたほか、現在は群馬中小企業家同友会副代表理事、さらには日本オーガニック&ナチュラルフーズ協会の理事も務められています。1964年のお生まれなので私より8つもお若いのに、実にしっかりとしたお考えをお持ちの素晴らしい方でした。

澤浦社長はこれまで2冊の本を出されていて、そのうちの1冊『農業で利益を出し続ける7つのルール』(ダイヤモンド社)をいただきました。後日、読ませていただいたのですが、なるほどなぁ~と思えることがいっぱい書かれていて、大いに参考になりました。その7つのルールとは、


 〔ルール1〕 はじめての人が利益を出すために、成功者に共通するコツを学ぶ
 〔ルール2〕 作物を商品化することで、利益は生まれる
 〔ルール3〕 農家ならではの食品加工をすることで、利益率を高める
 〔ルール4〕 経営規模に合った自分のお客様を作る
 〔ルール5〕 できる農家は毎日欠かさず日記をつけている
 〔ルール6〕 手元資金があっても、設備投資は借金をする
 〔ルール7〕 個人と組織を活かす「方針管理手帳」で、利益を出し続ける

経営コンサルタントや経営学者が書いたウワベだけの内容の本と決定的に異なり、実際に現場最前線で事業をやられてきた人が、自分の経験から得たことを自分の言葉で書かれた本ですので、納得感がありますし、説得力もあります。しかも、明日から自分でもすぐにやれそうなことが満載です。農業に限らず、弊社のような気象情報会社はもちろんのこと、他の産業の会社経営においても十分に応用できるヒントがたくさん書かれているので、皆さんも是非お読みになることをお薦めいたします。Amazonからも購入できるようです(^^)d

農業本

それにしても、野菜くらぶ社には明るく元気そうな若い人達が揃っていて、懇親会ではそういう若い社員の方々ともお話しをさせていただきました。私が「何を担当しているの?」って訊くと、「静岡でレタスの栽培を担当しています!」とか「昭和村(群馬県)でホウレンソウを担当しています!」といった元気な声が返ってきました。皆さん明るく元気いっぱいで、そういう人達に囲まれていると、還暦を過ぎた私も元気を分けてもらえるような気分になってきます。こういう若く元気いっぱいの農業者の皆さんを見ていると、「農業は間違いなくこれからの成長産業だ! 日本の農業の未来は明るい!}と思えてきます。

懇親会

「農業は人類が暮らしていく限りにおいて絶対になくならない産業ですし、日本は古来、代えがたい豊かな自然の恵みに恵まれた国なので、やり方一つで大化けする可能性を十分に秘めている産業です。しかも、自然を相手にする産業だけに、その可能性を引き出す成功の鍵は当社が扱っている気象にある!」……これは農業に関わるようになってからずっと思っていることなのですが、野菜くらぶの若手社員の皆さん達に囲まれていると、その認識が絶対に間違ってはいないと思えてきました。

と言うことで、私にとっては2015年度を〆るに相応しい、思い出に残る講演になりました。新年度(2016年度)に向けて、ワクワクした気分になってきました。こういう素晴らしい場にお招きいただくきっかけを作っていただいた株式会社野菜くらぶ営業部の女性若手社員KKさんには感謝感謝です。

彼女からは、私がディズニーランドで書いた『オラフ』が「ディズニーで販売されていてもおかしくない仕上がりで、オラフ好きにはたまりません」と言っていただきました(笑)

   (ジイジのディズニーランド

懇親会2


【追記1】
講演前に澤浦社長の奥様とお話しさせていただいたのですが、奥様は静岡県浜松市の出身で、結婚するまで農業とはまったく無縁だったそうなのです。スキー好きが高じて沼田市に移り住み(たんばらスキーパークをはじめ、沼田市の周辺には魅力的なスキー場が幾つもありますから)、そこで澤浦社長と知り合い、結婚なさったのだそうですが、サラリーマンの娘で家庭菜園すらやったことがなかったのがいきなり農家の嫁になっちゃったわけで、その当時のカルチャーショックぶりをいろいろとお聞かせいただいたのですが、メチャメチャ面白かったですね。

旦那さんが会社(野菜くらぶ)を創立したのが結婚した翌年。そこからずっと澤浦社長に寄り添って、会社の成長を一番近くで見てきた方だけに、参考になることがいっぱいありました。ウォーミングアップのつもりで始めた奥様との会話で講演する前から気分が大いに盛り上がっていましたので、その勢いのままで講演しちゃいました。それで過去最長の講演になってしまったのだと思っています。そのぶん、帰りの新幹線の車内で、ドーンと疲れが出ちゃいましたが…(^_^;)


【追記2】
沼田市やみなかみ町周辺は赤城山や武尊山など日本百名山に挙げられる山々に四方を囲まれ、標高は250メートルから2,000メートル余りに及ぶ起伏に富んだ地形で、関東地方で唯一とも言える内陸性気候のところです(このあたり以外の関東地方はたいてい太平洋岸気候です)。内陸性気候の特徴は以下の通りです。

①季節風や海面水温の影響をあまり受けない。年間を通して降水量は少ないが、気温は低い。夏と冬、昼と夜の気温差(年較差・日較差)が大きい。

②気温の上昇・下降を和らげる水辺が少ない地域なので、比較的湿度が低い(空気が乾燥しやすい)。

③風が吹かない場合は放射冷却が起こりやすい。

④周囲と高低差の大きい盆地では冬季、“冷気湖”と呼ばれる現象により、突然気温が低下したり突風が吹いたりすることがある。

⑤フェーン現象の影響を受けやすい。

したがって、沼田市やみなかみ町周辺で農業を行おうとすると、こうした気候特性をよく知っておく必要があります。野菜くらぶ社のメインの農場は沼田市の中心部よりもさらに標高が高い(標高が600~800メートル)利根郡昭和村にあり、内陸性気候特有の冷涼な気候を利用してハクサイやレタス、セロリ、キャベツなどのいわゆる高原野菜の栽培には適しているのですが、標高差や地形の差があって、従来のような沼田市やみなかみ町の中心部を対象とした天気予報ではうまく農業の管理のためには適用できないという大きな問題がありました。さらにリスク管理のために標高の低い前橋市周辺にも農場を持っていたり、前述のように岡山や静岡、青森といった全国各地で栽培をやっているので、その圃場ごとの気象状況の管理は重要となります。そこは1kmメッシュで1時間毎に気象予報を更新する弊社オリジナルのオンラインリアルタイム気象ビッグデータ解析処理を用いた「HalexDream!」の導入効果が十分に期待できるところです。

しかしながら、この昭和村周辺の標高と地形では「HalexDream!」であってもいささかチャレンジャブルなところがあり、じっくりと実証を行ってみる必要があると感じました。ですが、反対に言うと、ここで十分に使えるものにまで「HalexDream!」の品質を高めていくと、ほぼ日本中どこに持っていっても使えるということを意味していますので、この実証は弊社としても是非ともやってみたいという思いにも駆られています。

野菜くらぶ社の澤浦彰治社長も同社の2016年度事業方針の柱よして「天候に左右されない農業を目指す」ということを掲げられていることもあり、細かいことは言わずともお互いに思惑が一致したようで、澤浦社長とは懇親会終了時、両者でガッチリと握手をさせていただきました。次は野菜くらぶ社のある昭和村にお邪魔して、現地の農場を見ながらさらに意見交換をさせていただくことにしました。次に訪問するのは昭和村に春がやって来てからということにしましたので、5月のGW明けでしょうか…。今から楽しみです。

がっちり握手


【追記3】
澤浦社長の著書『農業で利益を出し続ける7つのルール』に書かれている7番目のルールは『個人と組織を活かす「方針管理手帳」で、利益を出し続ける』ということでした。「経営理念→経営方針→部門方針→事業計画」に沿った方針管理、SWOT分析を使っての経営方針策定、財務計画と行動計画と経営方針をリンクさせる、年間計画から一目で月次・週次・日次管理の項目がチェックできる仕組みを用意する……そこに書かれていることは企業経営そのものの基本とも呼べるものです。野菜くらぶ社の『2016年度経営指針書』というものを特別に見させていただきましたが、まさにその基本通りのことが『経営指針書』には詳細に書かれていました。そうなんですよね、野菜くらぶ社さんのやっておられることは、経営の基本中の基本と呼べることを愚直なまでに着実にやられているということです。急成長の裏側を垣間見た感じがして、大いに刺激を受けちゃいました。

また、『2016年度 野菜くらぶ栽培自主基準』というものも見させていただきました。そこには「目指すビジョン」から始まって、農薬についての考え方や肥料についての考え方、品質や人財育成についての考え方といった「生産技術に関する基本的な考え方」が明記されていて、次にはこれらの考え方に基づくそれぞれの地域、それぞれの栽培品種ごとに作成された「具体的な栽培基準」が事細かく記載されていました。この『野菜くらぶ栽培自主基準』に基づいて、Plan(計画)→ Do(実行)→ Check(評価)→ Action(改善)といういわゆる『PDCAサイクル』を回しているということが、よぉ~く分かりました。これも企業経営の基本中の基本ですから。

これには本当に刺激を受けました。経営には奇策はなく、基本中の基本を着実にやっていけば、必ず結果は出せる!ということです。

執筆者

株式会社ハレックス代表取締役社長 越智正昭

株式会社ハレックス
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越智正昭

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