2016/05/23

大人の修学旅行2016 in城崎温泉(その14:完結)

来た時と同じく、タクシーを分乗して城崎温泉に戻りました。次に訪れたのが『城崎文芸館』です。

白樺派の文人達に愛された城崎温泉。中でも志賀直哉は滞在中の体験をもとに小説『城の崎にて』を執筆するなど、生涯に十数回、城崎温泉を訪れています。この他にも有島武雄、島崎藤村、与謝野晶子、徳富蘇峰、白鳥省吾、田中冬二、山口誓子、吉井勇、徳富蘆花、斎藤茂吉、泉鏡花、柳田国男といった数多くの著名な文人の方々が来訪されています。そのような城崎温泉にゆかりのある文人墨客の方々の作品や、いにしえの城崎温泉の情緒を展示してあるのが『城崎文芸館』です。

中でも志賀直哉が書いた小説『城の崎にて』の原稿は見応えがありました。現代のようにワープロなどという便利なものがなかった時代、濃紺の万年筆で書かれた原稿は、何度も何度も手直しをした跡が残っています。なるほど、文豪と呼ばれる方はこうやって文章を書いていったんだ‥‥ということがよく分かる貴重な資料でした。私もこうやってブログや、新聞社のWebサイトのコラムを執筆させていただいている“草コラムニスト”ですので、多少はそのあたりは解るようになっています。これには大いに刺激を受けました。

きのさき温泉観光協会公式HP

次に訪れたのは『城崎文芸館』の近くにある『城崎麦わら細工伝承館』です。

鮮やかな色彩と光沢が美しい城崎の伝統工芸品「麦わら細工」。麦わら細工と言えば藁人形のようなものを想像しがちですが、この城崎の麦わら細工はそれとは一味も二味も違います。開いたハダカ麦の麦わらを染料で着色し、それを短冊状にカットして下絵の上に貼り付けていくのですが、とても麦わらを貼り付けたものとは思えない独特の風合いと芸術性があり、素晴らしいの一言です。まさに、職人の手仕事が生んだ芸術作品と言えるものです。300年近くの歴史をもつこの伝統工芸品は、日本中で城崎だけに伝わるものなのだそうです。

何故か日本ではあまり知られてはいませんが、幕末期の日本に西洋医学を伝えたドイツ人医師、フィリップ・フランツ・フォン・シーボルトが日本で収集して本国に持ち帰った約5,000点以上の文学的・民族学的コレクション、いわゆる「シーボルトコレクション」の中にも収められている1点でもあり、明治35年に行われたセントルイス万国博覧会では最高名誉賞牌を受賞したほどの伝統工芸品です。

『城崎麦わら細工伝承館』では、その城崎の麦わら細工の展示や実演が見られるほか、専門家の指導をうけながら、絵はがきなどを気軽に作ることができる体験コーナーもあります。多くの方がその体験コーナーで麦わら細工を楽しまれていましたが、残念ながら私達は滞在時間の関係で断念しました。

館内の展示では、この城崎の麦わら細工の技術が四国の香川県に伝えられた‥との記述がありました。他の地域の名前はいっさい出てこなくて、香川県だけが唯一伝承地として記述されています。はて? 香川県に麦わら細工の伝統工芸品ってあったっけ? 城崎の職人が何をどのように伝承したのかという具体的な記述がないので勝手に想像するしかありませんが、ある人は丸亀うちわの模様ではないか‥‥と言ってました。当たっているかもしれません。意外なところで、郷里・香川との繋がりを感じました。

きのさき温泉観光協会公式HP
麦わら細工 かみや民芸店HP

昼食は旬彩酒肴遊心「かど家」というお店でいただきました。このお店、城崎温泉の温泉街からちょっと入った路地裏のようなところにあり、城崎の隠れ家的お食事処といったところです。風情のある造りの店は、もともとは城崎温泉の芸者さんの置屋だったところのようです。山陰のブランド蟹「津居山ガニ」や全国的にも有名な銘牛「但馬牛」、津居山漁港で水揚げされる「獲れたて新鮮魚介類」、但馬の山で獲れる「山菜」や「野菜」など、城崎温泉ならではの四季折々の新鮮素材を使用した創作料理が楽しめる店で、幹事のバンタローがロケハンに来た時にたまたま入って気に入ったので、この日の昼食に使うことを決めたのだとか。城崎温泉には何度も来たことがあるという“影の絶対的幹事長”オネエもお薦めのお店だったそうで、バンタロー、good jobですd(^_^o)

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昼間っからこんなに美味しいお料理と地酒をいただけるなんて旅の醍醐味で、それをこうした気を許せる旧友たちと楽しめるのも『大人の修学旅行』ならではのことです。

城崎温泉のお土産はオネエお薦めの柔らかカリントウとカニ煎餅で決まりd( ̄  ̄) 店頭で試食させていただいたのですが、これはなかなかのものです。特に柔らかカリントウ。私はカリントウはあまり好きではないのですが、これはいけます。きっと孫娘も喜んでくれるだろうな‥‥と思い、息子夫婦のぶんも購入しました。

昼食が終わり、お土産も購入したので、そろそろ『大人の修学旅行』も終わりが近づいてきました。城崎温泉駅に向かう道もなぁ〜んとなく寂しさが募ってきます。

城崎温泉駅で解散。来年の『大人の修学旅行2017』での、いや7月の『大人のお泊まり遠足2016on京都祇園祭』での再会を約束して、それぞれの家路につきました(7月なんてすぐじゃん!)。

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クルマで岡山に帰るテッチャンは先に帰り、バンタロー、ヨシキ、トシエさん、ココさんの大阪在住組は14時14分発播但線経由大阪行きの特急「はまかぜ4号」で、また、ウスキ、シンショー、ノリコさん、キョウコさんの地元香川組は14時32分発の山陰本線下りの快速「山陰海岸ジオライナー」鳥取行きでそれぞれ城崎温泉駅を発ち、帰路につきました。残りのマサヤ、ユウテン、イッカク、ショーチャン、そして私の関東在住組、さらには京都に帰るオネエの6人は14時35分発の山陰本線(福知山線)上りの新大阪行き特急「こうのとり18号」で福知山へ、福知山で京都行きの特急「はしだて6号」に乗り換えて京都駅へ向かいました。さらに京都駅でオネエと別れて、残りは関東在住組の5名。その5名で東海道新幹線「のぞみ」で、東京に向かいました。

往きは城崎温泉に近づくに従って1人、また1人と同行者が増えていって気持ちが徐々に高まっていったのが、帰りは反対に1人、また1人と同行者が減っていき、徐々に寂しさが募ってきます。それとともに夢の世界から現実世界に引き戻されていくのを感じます。

私は帰路の車内では疲れがドッと出て、ほとんど爆睡していました。ほかの皆さんも私と同じような状態だったようで、往きにはあれほど飛び交っていたメールもまったくと言っていいほど届きません。届くメールは自宅の近くまで帰り着いたことを知らせるメール。

播但線経由で大阪に帰ったココさんからは「竹田城の石垣を下から見上げて、もうすぐ姫路です。楽しく美味しい時間をありがとうございました。また次回、お元気で」。

四国香川に帰っているウスキからは「瀬戸大橋線に乗り換えました。幹事さん、幹事のサブさん、総幹事さん、大変お世話になりました。ありがとうございました。そして次期幹事さん、どうぞよろしくお願いします。適度に準備を楽しんでいただければ幸いです。では、皆さん、またお会いいたしましょう」。

同じく四国香川に帰っているノリコさんからは「皆様、幹事様、城崎では大変お世話になりました。今からしおかぜ21号で四国に帰ります。またの再会を楽しみにしています」。同じくキョウコさんからも「皆様、楽しい時間をありがとうございました。幹事様、いろいろお世話になり、ありがとうございました。またお会いできる日を楽しみにしています」。

大阪に帰り着いたトシエさんからは「幹事様、皆さん、ありがとうございました。みんなの笑顔と美味しいものを食べられて、とてもリフレッシュできました(^-^) またお会いできる日を楽しみにしています♪ お元気で(^o^)」

それぞれのメールの文面からは、皆さん、次々と“非日常”から“日常”に戻っていっていることが読み取れます。

新横浜駅でイッカクが降り、ショーチャンとユウテンとは東京駅でわかれました。同じ埼玉方面に帰るマサヤと一緒に上野東京ラインで大宮まで行き、そこでマサヤともわかれました。

20時56分に私が出した以下のメールが、仲間達との間で交わしたこの日最後のメールになりました。

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14時35分に城崎温泉駅を出て6時間ちょっと、なんとか無事に自宅最寄のJR与野本町駅に到着しました(^_^;) 今回もメチャメチャ楽しい『大人の修学旅行』でした。幹事のヨシキ、バンタロー、そして絶対に忘れてはならない“影の絶対的幹事長”のオネエ、お疲れさまでした。本当にありがとうございました。

おそらく一番遠いところから参加したマサヤも、そろそろ自宅に到着する頃だと思います。城崎温泉で15名いた仲間達も1人また1人とわかれていき、先ほど大宮駅でマサヤとわかれ、ついに私1人になりました。この帰りの寂しさと次回への期待感が入り交じった心境というのも、この『大人の修学旅行』の大きな魅力の1つなのかもしれません。この心境をどのように表現すればいいのか、なかなかいい言葉が見つかりません。

オネエが用意してくださった『丸高トラベル』の旗は私達関東組が責任を持って持ち帰っております。次回はマサヤ、ショーチャンをはじめとした関東組が幹事を務めさせていただきますので、次回の再会を楽しみにしていてください。

それではこれで自宅の玄関をくぐり、いつもの日常の連続線上に戻ります。皆さん、ありがとうございました。メチャメチャ楽しかったです。感謝感謝(^人^)



         ――――――――〔完結〕――――――――

執筆者

株式会社ハレックス前代表取締役社長 越智正昭

株式会社ハレックス
前代表取締役社長

越智正昭

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