2016/06/10

広島平和祈念公園

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 先月末の5月27日(金)、アメリカ合衆国のバラク・オバマ大統領が、現職のアメリカ合衆国大統領として初めて世界最初の原子爆弾(原爆)よる被爆地・広島市を訪れ、爆心地にほど近い原爆ドームのある平和祈念公園(記念ではなく、敢えて“祈念”)で、我が国の安倍首相と並んで、犠牲者の慰霊碑に献花し、深く頭を下げて黙禱を捧げられました。オバマ大統領は献花に先立ち、原爆資料館を安倍首相らと約10分間視察。芳名録には「共に、平和を広め、核兵器のない世界を追求する勇気を持ちましょう」と記帳したのだそうです。

オバマ大統領は慰霊碑への献花後、慰霊碑前に招待した被爆者らを前に演説し、今回広島を訪問した理由について、「閃光と炎の壁が都市を破壊し、人類が自らを破滅させる手段を手にした。私達は、そう遠くない過去に解き放たれた恐ろしい力に思いを巡らせるために来た」と語られました。原爆により、日本人のみならず、朝鮮人や米国人捕虜も犠牲となったと指摘。過去の戦争を振り返り、「無数の罪なき人達が犠牲になってきた」と語り、戦争の悲惨さを訴えて、「外交を通じて紛争を回避し、既に始まった紛争の終結に尽力しなければならない」と述べられました。さらに、「1945年8月6日の記憶を薄れさせてはならない」と訴え、大統領就任直後の2009年にチェコのプラハで行った演説で訴えた「核なき世界」に向けて取り組む決意を改めて強調しました。また、「広島と長崎は『核戦争の夜明け』ではなく、私達が道徳的に目覚めることの始まり」であると述べ、原爆投下を教訓として、「核なき世界」をあくまでも追求すべきだとの考えを示しました。

その被爆地広島市にある広島大学で学び、あの広島の町がどういう町であるのか、あの町で今から71年前に何が起こったのかを幾分でも知る者としては、テレビのニュースで観たオバマ大統領広島訪問の光景はメチャメチャ嬉しかったですね。観ていて涙が出るくらいに‥‥。

翌日、新聞でオバマ大統領のこの演説の全文を読ませていただきましたが、私の中では、この演説は『ヒロシマ演説』として人類の歴史に残る名演説だったのではないかと思っています。特に、一番最後の「広島と長崎は『核戦争の夜明け』ではなく、私達が道徳的に目覚めることの始まりである」という“まとめ”。このあくまでも未来志向で締め括った短い一文がメチャメチャ素晴らしい! 最近は年齢のせいか涙腺が緩くなってきているので、読んでいる途中で本当に涙が溢れてきました。

皆さんも是非このオバマ大統領の広島での演説の全文を読んでみてください。それも原文(英文)のままで‥‥。日本の高校生以上だときっと辞書も必要ないくらいの簡単な単語の羅列だけで書かれています。難しい単語はほとんど使われてなくて、文法も極めて単純明快な文章ですので、まともに日本の中学校を卒業された方なら、間違いなくすぐに読めると思います。あまねく世界中の人々に向けてのメッセージなので、このように非常にわかりやすく、かつ聴いた人が違った意味に受け取ることがないような文章になっているのだと思いますが、その簡単な文章の中に“言霊”と表現してもいいくらいの力強いメッセージが込められています。実に素晴らしい名文です!

オバマ大統領がここまでの名演説をやっていただけるとは私は思ってもいませんでした。世間では事前には謝罪の言葉が云々‥‥というような声もありましたが、私はなんら余計な言葉は不要で、現職のアメリカ合衆国の大統領が、我が国の現職の首相と並んで、犠牲者の慰霊碑の前で頭を下げてくださるだけで十分だ‥‥と思っていました。それだけで伝わる人には伝わる明確なメッセージがあるからです。

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原爆ドームの前に建てられた原爆死没者慰霊碑に刻まれた主語が省かれた不思議な文章「安らかに眠って下さい 過ちは繰返しませぬから」。この「過ちは繰り返しませぬから」という文章の主語がいったい誰であるのかを、世界中の人達に明らかにするというメッセージが‥‥。 (ちなみに、この碑文の英訳は「Let all the souls here rest in peace ; For we shall not repeat the evil」で、主語は“We”になっていますが、この“We”もいったい誰のことを指すのか、これまで明確にはされてきませんでした。)

この碑文の主語は誰か特定の個人を指すものではありません。もちろん私達日本人だけのことでもありません。この碑文は戦争当事者である「日本」とか「アメリカ合衆国」といった特定の国の枠を超えて、世界中の全ての人類が再び核戦争をしないことを誓った文章なのです。あの戦争のもう一方の当事者で、原爆を投下した側であるアメリカ合衆国の現職大統領が、投下された側の我が国の現職の首相と並んであの碑の前で頭を下げることで、やっとこの碑文の主語が誰であるのかが世界中の誰の目にも明確になる‥‥と私は解釈していましたから。そうでなければ、日本語として極めて気持ちが悪い碑文のまま、この先もずっと残るところでした。

なので、このオバマ大統領の演説は、私の心に沁み入りました。さすがは就任直後の2009年にチェコのプラハで行った演説、すなわち「核なき世界」に向けた国際社会への働きかけが評価されてノーベル平和賞を受賞された現職のアメリカ合衆国大統領‥‥ってところを、任期が終わりに近づいたここに来て、再び見せていただけたと私は思っています。

ちなみに、あの碑文は、ご自身も被爆者である雑賀忠義広島大学教養部教授(当時)が撰文・揮毫したものです。

しかも、この日は5月27日。この日は奇しくも日露戦争が行われていた明治38年(1905年)に、あの日本海海戦が行われた日でもあります。日本が大東亜戦争に敗けるまでは、「海軍記念日」と言われていた日でした。たまたま偶然のことなのかも分かりませんが、この日にアメリカ合衆国のオバマ大統領が広島を訪れたことにも、言葉では言えないある大きなメッセージが込められているように私は思います。日米が戦端を開く直接的なきっかけとなったハワイの真珠湾への奇襲攻撃を行ったのは、大日本帝国海軍でしたから。

そうそう、日本語として気持ちが悪い‥‥ということで言うと、人類史上初めて原爆が落とされた広島市の中心部の爆心地付近にある公園の名称は、私に言わせると、正式名称にもなっている「平和記念公園」ではなく、あくまでも『平和祈念公園』なんです。“記念”と“祈念”、聞こえは同じ音ですが、意味は全く異なるのです。“記念”は過去のことに対してであって、“祈念”は未来に向けてのこと。「過ちは繰り返しませぬから」という主語が省かれた不思議な文章ともども、日本語は正しく使わないといけないのです。広島ではそのことを意識してか、単に「平和公園」と、“記念”という字を省略して呼ばれるのが一般的になっています。

その広島に出張で行ってきました。写真はその時のものです。この日も多くの観光客が広島の平和祈念公園を訪れていました。オバマ大統領が訪問したということも関係しているのではないかと思いますが、外国人観光客の姿が多かったですね。小学生や中学生、高校生の団体も多く、こういうところにもオバマ大統領の訪問効果が出ているのかもしれません。原爆の投下により20万人を超える武器を持たない一般市民が犠牲になったこの広島の地を訪れて戦争の悲惨さを実感していただき、オバマ大統領がおっしゃられた「共に、平和を広め、核兵器のない世界を追求する勇気を持つ」ことの一助にしていただければ…と私も願っています。

そうそう、オバマ大統領が献花した原爆死没者慰霊碑の前で深々と黙祷を捧げた後、島根県から来たという小学校6年生の一団に捕まり、インタビューを受けました。「原爆投下についてどう思うか」とか、「オバマ大統領の広島訪問をどう思うか」、「戦争をなくすにはどうすればいいと思うか」とか幾つかの質問を受けたのですが、急にこのような質問を受けるとなかなか返答に困るものですね。特に、小学生に短い時間で分かりやすく説明するには…。どの質問にも私なりに答えは持っているつもりなのですが、その場では敢えて表面的なありきたりの模範回答ばかりをしてしまい、回答した後で本当はどのように回答すればよかったのだろう…と、しばらく考え込んでしまいました(ちょっと自己嫌悪……)。

それにしても、この小学生によるインタビュー、あくまでも平和教育の授業の一環なのでしょうが、「学校としては何を期待して、こういうことをさせているの?」…と、なぁ~んとなく胸に引っ掛かるものを感じてしまっています。世界平和に向けては、こうやって人の話を聞くよりも、自分達一人一人がここに来てどう思うかのほうがよっぽど大事なことだ…と私は思っていますから。反対に「キミたちはどう思うの? たとえば、友達とのケンカやイジメをなくすにはどうすればいいのかとか。ちょっとオジサンに聞かせてよ」って私から訊いた時に、残念ながらその小学生達はお互いに顔を見合わせたままで、誰も何も答えてくれませんでした。これ、ちょっと問題だと、私は思っています。「戦争をなくすにはどうすればいいのか」の回答は、間違いなくその延長線上にありますから。

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【追記1】
先月、こういうニュースが流れているのを、たまたま目にしました。

毎日新聞ニュース:オバマ氏広島訪問 被爆証言する科学者、核廃絶の願い託し(2016年5月24日)

このニュースで紹介された被爆者で核物理学者の葉佐井博巳・広島大学名誉教授。私は広島大学工学部の学生時代、この葉佐井博巳教授の講義を聴講しました。核物理学ということでメチャメチャ難解な講義だったと記憶していますが、何故か奇跡的に単位は取得できました。当時は物静かな印象の先生で、こんなに熱い方だとは思っていませんでしたが、「転機は、研究のため米ニューメキシコ州ロスアラモスの研究所に赴いた1981年」と記事には書かれていますので、熱くなられたのは私が大学を卒業した後のことなのですね。私もエンジニアとして、葉佐井先生と同意見です。


【追記2】
キリスト教で最も重要な祭日が「復活祭」です。この「復活祭」、日本人には馴染みが薄い日なのですが、キリスト教においてはキリストの誕生日であるクリスマス以上に重要な日とされています。「復活祭」とは、弟子の一人の裏切りにより十字架にかけられて処刑されてしまったキリストが、処刑の3日目に“復活”したことを祝う日のことです。キリストが生涯起こした数々の奇跡の中で最大の奇跡がこの“復活”ということで、そのことから、キリスト教の最も重要な祭日とされています。

この復活祭、英語では『Easter』と呼ばれています。なぜキリストの復活を祝う日のことを『Easter』と呼ぶのか‥‥、誰も明確なことを教えていただけませんが、私なりの言語的な分析をさせていただくと、“東”を意味する“East”に、“○○人”を表す“er”を付けて『Easter』。すなわち『Easter』とは『東の果ての人々』という意味です。これは何を意味するのかと言うと、もしかすると、この“Far East(極東)”と呼ばれる東の果ての地から、平穏な日々(世界平和)は“復活”するということなのかもしれません。聖書ではそれを予言していた‥‥。ちょっと鳥肌が立ちませんか?

で、後世、今回のオバマ大統領の広島平和祈念公園訪問は、世界平和の“復活”はあの時から始まった‥‥と言われるものになるといいですね。そうそう、『東の人々』ということは、もしかしたら、私達日本人こそが聖書で言うところの『Easter』のことなのかもしれません。唯一の原爆による被爆国として、私達日本人が核なき世界、そして世界平和を実現するために、もっと積極的に発信し、行動することが求められる時代が来た‥‥ということなのかもしれません。聖書的な表現を使わせていただくと、「目覚めよ!」ってことなのかも‥‥。

ちなみに、我が家は先祖代々真言宗醍醐派で、聖書のことはよく知らないので、間違っていたらごめんなさい。

執筆者

株式会社ハレックス代表取締役社長 越智正昭

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越智正昭

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