2017/07/14

祝・『HalexDream!』特許取得!

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特許庁様へ特許出願中だった『HalexDream!』に関しまして、このたび特許庁様から特許として認める旨の通知が届きました。これまで弊社ハレックスの悲願の1つだった特許取得、知的財産の取得ができ、これほど嬉しいことはありません。

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私が改めて申し上げることでもありませんが、「特許(Patent)」とは、法令の定める手続により、有用な発明をなした発明者またはその承継人に対し、その発明の公開の代償として、一定期間、その発明を独占的に使用しうる権利(特許権)を国が付与する行政行為のことです。また、特許権は、無体物(有体物ではない、形のないもの)である発明に排他的支配権を設定するものであり、知的財産権の1つとされています。

今回、特許庁による審査で認められた特許は、GPVデータ等気象庁から提供されるビッグデータ【input】に対して標高補正、実測補正等の加工を行って1kmメッシュに面展開したもの【process】を、任意の緯度経度を検索keyとしてAPI(Application Programming Interface)やクラウド連携で提供する【output】という“仕組み全体を対象”としたものです。この仕組みのポイントは気象庁から配信されるオープンデータである1日約5万電文、約50ギガバイトの気象ビッグデータにアメダスや降雨レーダーといったセンサー情報を用いてデータ補正を加え(IoT)、現場気象予報士の作業フローや知見を組み込んで1kmメッシュという単位でオンラインリアルタイムで予報を処理している(AI)ことです(下図参照)。

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通常、特許はある製品等を構成する要素技術や生産技術を対象にするものが一般的なのですが、今回、弊社が取得したのは一般に「ビジネスモデル特許」に分類される特許です。ビジネスモデル特許とはビジネスの方法(ビジネスモデル)に係る発明に与えられる特許のことで、狭義にはコンピュータ・ソフトウエアを使ったビジネスの方法(ビジネスモデル)に係る発明に与えられる特許のことです。従って、今後、上記のサービスを提供できるのは弊社ハレックスの『HalexDream!』が“唯一無二”ということになります。

この特許を出願したのが今から4年前。2年半前に審査請求を行い、2度の拒絶に対して粘り強く不服申し立てを行い、ついに特許庁様が弊社の仕組み(技術)の進歩性、新規性、そして不服申し立て論理をご理解いただいて、特許取得に漕ぎ着けることができました。4年前という出願時期から想像するに、もしかすると、ビッグデータ系、オープンデータ系では日本で他に例の少ない(もしかすると初めての)ビジネスモデル特許ではないかと思っています。実はそこの部分を特許庁様にご理解いただくのに思わぬ時間と頭脳(論理)を要してしまいました。正直、特許庁の審査官様に“ビジネスモデル”というものと、その中での新規性、進歩性をご理解いただくのに苦労をしました。それも書面の文章だけで…。

特許を取得することはエンジニアとしての1つの勲章のようなものです。『HalexDream!』はこれまでの私のエンジニア人生で学んだことの全てを注ぎ込んだつもりの謂わば「越智正昭のエンジニアとしての集大成」のようなシステム(仕組み)です。中学校1年生の時に雑誌『模型とラジオ』の付録に付いていた鉱石ラジオを組み立てたところ偶然にイヤホンの奥からロシア民謡が聴こえてきたことから(たぶん、短波のモスクワ放送を受信したのでしょう)通信エンジニアを志し、大学は工学部電子工学科で技術の基礎を学び、日本電信電話公社(電電公社:現在のNTT)に入社後は、データ通信部門(現在のNTTデータ)に配属され、コンピュータシステムの開発に従事しました。

最初に担当したのは某地方銀行のオンライン処理システム。使用機材はFACOM230-60という富士通社製のコンピュータでした。このFACOM230-60、当時は大型コンピュータと呼ばれ、箪笥(タンス)のような大型の筐体の装置が幾つもマシン室のフロア全体に並ぶ機械だったのですが、メモリの大きさは僅かに512キロバイト。メモリがICやLSIといったマイクロチップ化される以前のコアメモリと呼ばれる方式だった時代の機種で、今から考えれば実に初歩的なコンピュータでした。今、私が使っているノートパソコンの搭載メモリは32ギガバイト。512キロバイトといえば、単純計算でその約6万分の1以下の容量しかありません。その小さなメモリ容量のコンピュータで銀行のオンラインシステムを構築していたわけです。プログラミングに使用した言語もより機械語に近いアセンブラ言語。なけなしのメモリ空間やCPUの能力をどのように有効に使うか…、システム開発にあたってはここが一番に問われました。このため、そこではコンピュータがどのように動作して各種の演算が行われるのかといったコンピュータ技術の基礎を実戦で学ぶことができました。この時の経験が『HalexDream!』の中核となる弊社独自のオンラインリアルタイム・ビッグデータ処理を開発する上で、大変に役立っています。

時々、『HalexDream!』のデモをご覧になった若いITエンジニアの方々から「これ、どうやって作ったのですか?」と問われることがあるのですが、その時には決まって「ジイさんSEをナメんなよ!」とお応えするようにしています。まぁ~、言ってみれば若い頃に身につけた“宮大工の技”ってやつですね。コンピュータの動作原理を熟知し、その能力を最大限に引き出せるほどのITの基礎技術を持っていないと、気象庁から送られてくる1日約5万電文、約50ギガバイトに及ぶ気象ビッグデータをオンラインリアルタイムで処理することは到底できません。これがビッグデータ処理技術ってものの本質だと私は思っています(そういうことを言っている人は世の中には数少ないのですが…)。

次に25歳の時に電電公社本社技術局伝送部門という部署に異動し、主として中継伝送路網のディジタル化の仕事に従事し、幾多のディジタル伝送装置や伝送制御システムの開発を行いました。当時は光ファイバケーブルが実用化され、通信路が従来のアナログ伝送方式からディジタル伝送方式へと大きく切り替わる時期で、若手の担当者だった私も同時並行的に幾つもの装置の開発(実用化)を行わねばならず、大変に忙しい4年間、それもこれまで誰もやったことのない仕組みを構築するということで、頭を常にフル回転していないととてもこなすことができないくらいの量の仕事に追われる日々を過ごす4年間でした(この頃、幾つかの特許を取得しています)。多くは通信研究所の基礎技術の研究者の方々や機器製造メーカーの技術者の方々との連携作業だったので、こうした方々との交流を通して学んだことは実に大きかったですね。特に、そこで徹底的に学んだ符号化・複合化というディジタル化技術の基礎(考え方)は、『HalexDream!』のシステム内部の機能構成、データ構成、処理分割を考える上において、大いに役立ちました。

その後、データ通信本部に異動して再びコンピュータシステムの開発の仕事に従事し、公共分野において各種マルチメディア系システムや電子政府系システムの開発を行いました。小規模のシステムばかりを扱ったのですが、世に送り出したシステムの数はおそらく100システムは下らないと思っています。また、“火消し”と称して、問題プロジェクトの応援に担ぎ出されることも多く、それらの仕事を通して実戦の修羅場で学んだ実践的プロジェクトマネジメント経験から編み出した私独自のプロジェクト管理手法が『HalexDream!』の開発でも大いに活きました(と言うか、私にはそれしか出来ませんからね)。

また、前の会社(NTTデータ)では、キャリアの最後に本社営業企画部長と言うポストを経験させていただき、NTTデータグループ全体の営業改革の旗振り役の仕事に従事させていただいたのですが、そこでは現場を離れて“ソリューション”とは何か…とか、“マーケティング”とは何か…といった営業の基礎を真剣に考える時間を持つことができました。この経験が実は現在の『HalexDream!』というビジネスモデルの企画に結び付き、そのベースとなる仕組みを開発しようというそもそもの発端となりました。もしかしたら、これが一番大きかったかもしれません。このことを思い付いたからこそ、8年前に前の会社を卒業させていただき、ハレックス社の専任社長に就任させていただいたようなところもありますから。

さらに、代表取締役社長として『HalexDream!』の開発に携われたことも大きかったですね。開発に取り組み始めた当初(今から8年前)、これまでの気象情報業界の常識からは大きくかけ離れたこのビジネスモデルへの大転換と、その基盤となる仕組みの開発に関しては社内からも疑問視されることのほうが多く、それを半ば強引に推し進めたため、「社長の道楽」とさえ言われたこともあります。それでも幾多の試行錯誤を繰り返し、今に至るまで長く開発を続けられたのは、自らが言うべきことではありませんが、その間、私がずっと代表取締役社長だったからではないか…と思っています(これに関しては我儘を押し通すワンマン社長でした)。当時は代表取締役社長兼システム部長兼営業部長兼開発プロジェクトのリーダーのようなものでしたからね。失敗したら潔く責任を取って辞めよう…とさえ思っていました。

一番の苦労は、私が前の会社でこれまで開発したシステムはお客様から開発を受託したものがほとんどで、まず最初にこういうシステムを作って欲しいという依頼(仕様書)があり、それに基づいてお客様にご満足いただけるシステムを開発すればそれでよかったのですが、『HalexDream!』の場合はそういうものがいっさいなく、自分の頭の中でイメージした自社の将来的なビジネスモデル(ハレックス社の将来の基幹サービス)を実現するための基盤となるシステムを開発するってことでしたので、自分自身の企画力だけがすべての頼りだったってことでした。これには、これまでのソリューション営業としての経験が大いに活きました。そして、代表取締役社長だったってことも。経営者としての私は市場(お客様)のニーズにお応えして新たな市場を切り拓いていくためにはどういう風に会社の事業を作り変えていかなければいけないか…、これが最大のテーマでした。この会社の事業の作り変えという施策が弊社ハレックスの3ヶ年×3の9ヶ年に及ぶ中長期事業計画である『メタモルフォーゼ』計画で、『HalexDream!』もその『メタモルフォーゼ』計画の一環として企画されたものでした。すなわち、『メタモルフォーゼ』と『HalexDream!』はセットになっているものでした。この経営者としての自社の事業の作り変え施策『メタモルフォーゼ』をまず最初に軸として据え、その軸を開発の開始から今に至るまでいっさいブラさなかったことが成功の一番の要因だったのではないかと思っています(正直言うと、途中で何度もこれでいいのか…って悩みに悩みましたが)。ちなみに、この仕組みは、自分の頭の中でイメージしたハレックス社の将来の基幹サービス、あるべき姿という意味で“ハレックス社の夢”、すなわち『HalexDream!』というネーミングを付けさせていただきました。この『HalexDream!』ももちろん商標登録をさせていただいています。

このように『HalexDream!』はこれまでの私のエンジニア人生で学んだこと(特に、幾多の失敗から学んだこと)の集大成のような仕組みです。この仕組み全体で特許を取得できたことは、自分のこれまでのエンジニア人生に対して大きな勲章をいただいたようで、この嬉しさは言葉では言い尽くせないほどです。本当に嬉しいです!

これで、これまで「特許出願中:特願2013-37440」とご案内していたものが、「特許第6164872号」に変わります。「特許出願中」と「特許」では全然意味合いが異なります。これで堂々と胸を張って、弊社の技術の進歩性や新規性を皆様にご案内することができるようになりました。他社のサービスとの比較においても「この技術(サービス)の特許は弊社が持っています」の一言で済ませられますからね。

今回、仕組み全体の特許が取得できたので、次は細部の個別の処理についても順次特許出願を行っていきたいと考えています。また、調子に乗って国際特許取得の挑戦も行ってみたいと考えています。

今後とも弊社技術の進歩性にご期待ください。


【追記】
今回、ビジネスモデル特許を取得した『HalexDream!』の仕組みを思い付いて開発に着手したのは8年前。今、ITの分野で流行りの「オープンデータ」や「ビッグデータ」、「IoT」、「AI」といった言葉が使われるようになるはるか前のことで、その8年前にこの仕組みを作ろうと思い付き、すべて手探り・手作りで苦節4年。4年前には実用化に成功し、実際にサービスに供することを開始したってこと、考えてみれば凄いと思われませんか?  これ、エンジニアとしての自慢です(特許を取得したので、今日だけは思いっきり自慢させてください)。

また、ほとんど世の中に類似品やヒントさえもない中、すべてを手探り・手作りで作り上げてきたので、私の中では「オープンデータ」や「ビッグデータ」、「IoT」、「AI」の受け止め方が他の人とはちょっと違ったものになっていると思っています。時折、雑誌や講演会などでその分野の自称“専門家”と称される方々が「オープンデータ」や「ビッグデータ」、「IoT」、「AI」について語っているのを見たり聴いたりすることがありますが、本を読んで得た知識や自分の中の勝手なイメージ(妄想)だけで語られていらっしゃる方がほとんどで、申し訳ないけれど「薄っぺらいな…」と思うことが多々あります。還暦を過ぎた老エンジニア(ジイさんSE)の戯言として随分と思い上がった言い方になってしまいますが、「だったら、自分でなにか1つでもその分野の動くシステムを作ってごらんなさい。気付くことがいっぱいありますよ」…って言いたくなります。

具体的に動く仕組みを作ってみると、これらはなにも最新の技術というわけではなくて、既に従来からあった技術とそれの組み合わせにしか過ぎないってことに気付かれると思います(で、ないと作れません)。そしてそれを使いこなすことができるかどうかは、そもそもの技術の基本にまで立ち返ることができるかどうかだと私は思っています。技術の基本の領域にまで立ち返って、その基本をこれまでのものとは異なった“システム哲学”に基づいて新たに組み直すことがポイントになる…と、『HalexDream!』を実際に開発した者としては思っています。上辺(うわべ)だけの技術論で語っていたのでは、決して実用化はできません。

その意味で、『HalexDream!』の企画・開発を通して、私も本当にいい勉強(多くはこれまでの復習)をさせていただきました。



執筆者

株式会社ハレックス代表取締役社長 越智正昭

株式会社ハレックス
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