2017/11/06

第1回気象ビジネス推進コンソーシアムセミナーin大阪

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10月31日(火)、大阪・梅田のグランフロント大阪北館タワーB10階にあるナレッジキャピタルカンファレンスルームタワーBにおきまして「第1回気象ビジネス推進コンソーシアムセミナーin大阪」が開催され、私は気象ビジネス推進コンソーシアムの運営委員会委員及び人材育成WGメンバーとして同セミナーに出席してきました。

気象ビジネス推進コンソーシアムでは、東京でこれまで3回のセミナーを開催してきましたが、これを東京以外でも開催し、気象データをこれまで以上に高度利用して新たな産業を創出していこうという気象庁を中心とした国としての流れを全国規模のものにまで拡大していこうと考えています。その第1弾が今回の「第1回気象ビジネス推進コンソーシアムセミナーin大阪」でした。

会場のナレッジキャピタルカンファレンスルームタワーBには、事前に予約申し込みをされた人数を上回る60名を超える方々にお集まりいただきました。中にはわざわざこのセミナーを聴くために広島から参加なさった方もいらっしゃって、気象庁を中心としたこの気象ビジネス推進コンソーシアムの活動に対する関心の高さが窺われました。

セミナーの冒頭、気象ビジネス推進コンソーシアムの運営委員会委員及び人材育成WGメンバーとして開会のご挨拶をさせていただきました。そのご挨拶では次のようなことを述べさせていただきました。

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〔前略〕

このところ毎週末のように台風が日本列島に来襲してきています。特に先日の台風21号ではこの近畿地方でも何名もの方がお亡くなりになり、土砂災害や河川氾濫により住宅等にも多くの被害が出ました。道路や鉄道といった生活インフラも各所で寸断され、皆さん、今も大変な思いをなさっておられるのではないかと思います。そういう台風の襲来時に皆さんが必ず注目なさるのが、気象庁さんが出される台風の進路予報や注意報警報といった防災情報ではないでしょうか。

このように気象情報は人々の生命と財産を守るうえで極めて重要な情報です。しかし、気象情報の活用分野はそれだけではありません。

近年、「データドリブン経営」や「データドリブンマーケティング」など、「データドリブン」という言葉が多くの場で使われるようになりました。データドリブン(Data Driven)とは、売上データやマーケティングデータ、WEB解析データなど、世の中に存在する膨大なディジタルデータに基づいて様々な判断やアクションをすることです。実際、IoT、人工知能(AI)、ビッグデータ等に関する技術の発展により、多様な産業界において、データを収集・分析する基盤が整いつつあります。

私は「世の中の最底辺のインフラは地形と気象」だという考え方を持っており、気象に関する情報は世の中のあらゆる業種業態に少なからず関係する極めて重要なインフラ情報であると考えています。インフラ情報ということは気象データが1つの“変数”として様々な業務システムや制御システムに簡単に組み込まれる…そういう性質を持った情報であるということです。

気象データは規模が大きいことに加えて、更新頻度が多いという特徴があります。近年、オープンデータという言葉が多くの場で使われていますが、気象庁さんが提供する気象データはそのオープンデータのフロンティアとも言えるデータで、かつビッグデータです。気象庁さんがオープンデータとして公開している気象データは数値データに限っても1日約5万電文、約50ギガバイト、気象観測衛星のデータまで加えると1日約1テラバイトにも及ぶビッグデータです。そして、そのデータが持つ潜在的な可能性は非常に大きいものがあります。

しかし残念ながら、これまではそれらの気象データが必ずしも十分に活用されてきたとは言い難いところがありました。これは前述のように気象データがあまりにも膨大なサイズを持つビッグデータであり、かつ、時々刻々と変化するという性質を持つことから、オンラインリアルタイムで高速に処理する必要があるという技術的な障壁があまりにも高かったことがその一番の要因ではなかったかな…と思っています。

いっぽうで、近年のコンピュータの飛躍的な性能向上とITの急速な進展により、これまでやりたくてもできなかったこのビッグデータに対する処理が徐々に可能になってきています。こうした背景のもと、世の中に存在する前述の膨大なディジタルデータとこの気象ビッグデータを比較し、高度に分析することで、意思決定や業務プロセスを改善し、生産性を飛躍的に向上させることが期待されています。

こうした中、多様な産業界における気象データの利活用を一層推進するとともに、IoT・AI等の技術を駆使し、気象データを高度利用した我が国における産業活動を創出・活性化するべく、気象庁さんが中心となって「気象ビジネス推進コンソーシアム(WXBC)」が平成29年3月7日に設立されました。

この気象ビジネス推進コンソーシアムでは、人材育成WG、新規気象ビジネス創出WGの2つのWGを立ち上げて鋭意活動しています。なかでも、気象情報の利用推進を行い、新たな気象情報ビジネスを普及啓発していくためには、気象情報の活用に関する世の中の関心を喚起し、気象ビジネスに関わる人的基盤の拡大とビジネス面での知見の向上を図る必要が急務と考え、人材育成のための活動に先行して注力してきました。

この考えのもと、これまで3回のセミナーを東京で、開催してきました。これまでのセミナー3回ともなかなかの好評で、常にすぐに予約が埋まり、満員札止めとなる盛況ぶりを示しています。毎回少しずつ内容を変えておりますので、なかには3回とも参加なさっていただいている常連さんもいらっしゃるぐらいです。

それを東京以外でも開催しようとしたのが今回の取り組みで、今回の「第1回気象ビジネス推進コンソーシアムセミナーin大阪」はその皮切りとなるセミナーです。今回のセミナーを通して、皆様方がその気象データが持つ可能性に明るい未来を感じていただけますことを切に願って冒頭の挨拶とさせていただきます。

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「第1回気象ビジネス推進コンソーシアムセミナーin大阪」では、私のこの冒頭のご挨拶に引き続き、まずは気象庁観測部の山本様より「気象データの全体像と入手方法」と題して、気象データにはどのようなものがあるのか、気象データ提供に関する気象業務法の規定、気象データの入手方法等について、気象情報利用に関する入門的な内容としてご説明いただきました。

次に気象ビジネスの具体例について、まずは私から「アナリティクスで生まれ変わる気象情報ビジネス」と題してICT関連における活用も含めて、弊社ハレックスにおける取り組みを、ご紹介させていただきました。

また、「気象情報を活用した商品需要予測と物流の効率化」と題して、気象予測を物流の管理に利用している取り組みのご紹介を一般財団法人日本気象協会関西支社の山本様にしていただきました。

壇上から拝見させていただく限りにおいてご参加いただいた皆さんの反応は私達の期待以上のものがあって、皆さん熱心にメモを取りながら聴いておられました。今回の大阪セミナーではあらかじめ会場の皆様に質問票をお配りし、それぞれの講演毎に質問をお書きいただき、講演の最後に、「交流会」と称して、その皆様からお寄せいただいた質問に演者が壇上から回答するという形式をとらせていただきました。皆様からは20件以上の質問が寄せられ、私もそのうちの8件ほどの質問に回答させていただきました。私への質問では気象データに対する人工知能(AI)活用の可能性に関する質問が複数寄せられ、世の中で人工知能(AI)活用に対する期待が高まってきていることを改めて実感しました。

私は前職におきましてこれまでも幾つかの省庁が開催される委員会に委員として参加させていただいた経験を持っておりますが、今回の気象ビジネス推進コンソーシアムはこれまで参加させていただいてきたそれらの委員会とはひと味もふた味も違っていると感じています。一言で言うと、気象庁さんの“本気度”がまるで違っています。国の機関の方々がここまで本気になってある1つの目的に向かって取り組んでおられる姿はこれまでの私の経験の中では初めてのことです。それもその施策を担当されておられる1つの部署の方々だけが頑張っておられるのではなく、気象庁という1つの庁が全庁を挙げての勢いで取り組んでおられる姿には圧倒されるところがあります。事務局を務めていただいている本庁様も施策の主管部署である総務部情報利用推進課だけでなく、企画課や管理課といった総務部の皆さん、さらには予報部や観測部、東京管区気象台からも職員の皆さんが事務局スタッフとして参加なさっています。今回の「第1回気象ビジネス推進コンソーシアムセミナーin大阪」の主催は大阪管区気象台総務部業務課情報推進係で、後援をしていただいた近畿経済産業局様や一般財団法人関西情報センター(KIIS)様、大阪商工会議所様との調整に始まって、案内チラシの作成・配布や会場の手配等の準備のすべてを行っていただきましたし、また当日の会場の設営や運営に関しては大阪管区気象台の総務部だけではなく気象防災部からも気象防災部長を筆頭に10名を超す大勢の職員の皆さんがあたっていただきました。まさに気象庁さんが全庁をあげて本気で気象データの利用推進に取り組んでいるって感じがヒシヒシと伝わってきます。

こういうところ、さすがは気象庁さんだな…って思いました。前述のように気象情報は人々の生命と財産を守るうえで極めて重要な情報です。なので、気象庁さんは気象情報を通じて人々の生命と財産を守るというある明確なミッションを全庁挙げて担っている省庁と言うことができます。この圧倒されるような本気の一体感はここから生じるのだろうな…と私は推察させていただきました。

私は気象ビジネス推進コンソーシアムの目指す取り組みは、本来なら民間主導で進めないといけない性格の取り組みであると思っています。それを気象庁という国の機関が主導で立ち上げられ、ここまでの熱意で推進されておられるということは、民間気象会社の1社として恥ずべきことである…という認識でいます。本来、業界が一丸となってやるべきことを怠ってきた…っていう意味で。なので、弊社はこの気象庁さんが中心となって推し進められている気象ビジネス推進コンソーシアムの活動を全面的にご支援する覚悟でいます。この活動を通して、気象データを高度利用した新たな産業活動が創出され、さらに活性化されれば、私達民間気象会社も活躍できるフィールドを一気に広げることができるわけですから当然のことだとの認識です。

今回の大阪を皮切りにスタートしたこの「第1回気象ビジネス推進コンソーシアムセミナー」の地方開催ですが、次は

11月9日(木) 10時からは沖縄県那覇市おもろまちの沖縄県立博物館・美術館講堂において「第1回気象ビジネス推進コンソーシアムセミナーin沖縄」を
第1回気象ビジネス推進コンソーシアムセミナーin沖縄 ご案内

さらには、11月15日(水) 14時からは名古屋市中区栄の栄ガスビル5階キングルームにおいて「第1回気象ビジネス推進コンソーシアムセミナーin名古屋」を
第1回気象ビジネス推進コンソーシアムセミナーin名古屋 ご案内

11月21日(火) 14時からは札幌市中央区北4条西5丁目にあるアスティ45ビル16階のACU-A大研修室1606において「第1回気象ビジネス推進コンソーシアムセミナーin北海道」を開催します。
第1回気象ビジネス推進コンソーシアムセミナーin北海道 ご案内

私は、次は11月21日(火)の「第1回気象ビジネス推進コンソーシアムセミナーin北海道」において再び登壇して講演させていただきます。

皆様、奮ってのご参加、お声掛けを是非ともお願いいたします。

【追記】
それにしても大阪の梅田地区はすっかり様変わりしちゃいましたね。今回の「第1回気象ビジネス推進コンソーシアムセミナーin大阪」が開催された大阪・梅田のグランフロント大阪の一帯は「うめきた」(大阪駅・梅田駅北側地区)エリアと呼ばれ、昔はJRの梅田貨物駅があり、線路が何本も敷かれそこに何百両という貨車が並んでいた大都市大阪のド真ん中とは思えないような殺風景な空間のところだったのですが、そこが見事に再開発され、綺麗な高層ビルが立ち並ぶお洒落な空間に生まれ変わっていました。

大阪・梅田は今から20年ほど前、仕事で頻繁に、それも一時期毎週のように訪れていた場所なので、私の中では勝手知ったる場所の1つのように思っていたところなのですが、この変化には正直面食らってしまいました。今回のセミナーの会場であるグランフロント大阪北館タワーB10階にあるナレッジキャピタルカンファレンスルームタワーBまでは案内状では大阪駅から徒歩3分と書かれていたのですが、私は少し迷ってしまったこともあり、実は15分以上もかかってしまいました(苦笑)。そのくらいの大きな変化でした。

面食らってしまいはしましたが、大阪の街がこのように元気でいてくれていることが嬉しく思っちゃいました。西日本出身者で熱烈な阪神タイガースファンの私ですので、やっぱ、大阪の街は元気でい続けてくれないといけません!

帰りの東海道新幹線の車中では、やしきたかじんさんの「やっぱ好きやねん」が頭の中でリフレインしていました。(来年こそ「六甲おろし」のリフレインを期待!)

執筆者

株式会社ハレックス前代表取締役社長 越智正昭

株式会社ハレックス
前代表取締役社長

越智正昭

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