2015/07/03

モノのインターネット(IoT)…顔文字じゃあありません(笑)

私が言うまでもないことですが、情報とはヒトという種族が他の競合種を押し退け、現代において繁栄を築き上げた最大最強の武器です。ただ、この武器には大きな弱点があり、常に周到なメンテナンスが欠かせないものだということです。このメンテナンスとは、データのアップデートや修正と、処理(判断)ロジックの更新のことです。これは常に最新の状態に保つことで正しい判断を下せるということを意味するもので、情報はこのような周到なメンテナンスにより正しい使い方をしてはじめて有効な“武器”になり得るものだということです。もしこれを間違えば、それこそ首くくりの足を引っ張るようなことになりかねないということは、枚挙に暇(いとま)がないことです。

この情報をさらに有効な“武器”にする動きが進行しつつあります。

最近のIT(情報処理技術)やICT(情報通信技術)の世界では『IoT』という言葉がよく聞かれます。この『IoT』とはInternet of Thingsの略で、一言で言うと、「モノのインターネット」のことです。平たく言っちゃえば、従来は主にパソコンやサーバー、プリンタ等のIT関連機器が接続されていたインターネットに、それ以外の様々な”モノ”を接続しようとする技術のことです。

テレビやデジタルカメラ、デジタルビデオカメラ、デジタルオーディオプレーヤー、HDDプレーヤー、DVDプレーヤー等といった各種のデジタル情報家電をインターネットに接続する流れは既に始まっています。これにより、デジタル化された映像、音楽、音声、写真、文字情報をインターネットを介して伝達されるシーンがますます増えてきています。現在ではスマートフォンやタブレット端末といった操作性に優れた小型の携帯型端末機器もインターネットに接続されるのは当たり前の時代になってきていて、いつでもどこでも欲しい時に欲しい情報が得られるなど、便利に利用されています。

さらに今は、インターネットはあらゆる”モノ”がコミュニケーションをするための情報の通信路に変化しつつあります。インターネットに接続される”モノ”は大きく以下の三つに分類できます。

①パソコン類(スマートフォン、タブレット端末を含む)

②各種機械類

③その他のモノ

様々なモノ、機械、人間の行動や自然現象は、それが機能するたびに膨大な量の情報を生成しています。これらの情報を収集して可視化することができれば様々な問題が解決できると期待されているわけです。ヒトが直接見ることや聞くこと、触ることができる情報はもちろんのことですが、それらが直接はできないような情報に関しても、センサーにより数値化され情報の収集が可能になりつつあります。これにより、従来のようにヒトがパソコン類を使用していちいち入力したデータ以外に、モノに取り付けられたセンサーが人手を介さずにデータを自動的に入力し、インターネットを経由して利用されるようになります。

この「モノのインターネット:IoT」により、センサーと通信機能を持ったモノ達、例えば、ドアが「今、開いているよ」とか、猫が「今寝ているよ」とか、植物が「喉が渇いたよ」…等々と勝手に“つぶやき”を始めるわけです。これら様々なモノが発する情報をインターネットを介し様々な場所で活用する時代がすぐそこにやって来るというわけです。

ちなみに、機械同士の通信をM2M(Machine to Machine)と言います。これもモノのインターネット(IoT)の延長線にある概念(あるいは包含された概念)ではないか…と、私は捉えています。

このように、 “モノ”をインターネットに繋ぐことにより、以下のようなことが実現できると期待されています。

①離れた場所の状態を知りたい。→離れた”モノ”の状態を知る。

②離れた場所の状態を変えたい。→離れた”モノ”を操作する。

モノのインターネット(IoT)では、”モノ”に対し各種センサーを付けてその状態をインターネットを介しモニターしたり、インターネットを介して”モノ”をコントロールしたりすることにより安全で快適な生活を実現しようとしています。

センサーを用いて「①離れた”モノ”の状態を知る」ということで、まず頭に浮かぶ例としては、環境が挙げられます。我々の生活を取り巻く環境としては温度、湿度、気圧、風向風速、降雨量、積雪量、日照時間、照度、花粉の飛散状況、騒音、振動等々が挙げられます。その多くは自然環境に関する情報です。

我々人類も自然の中の一構成要素に過ぎなく、圧倒的破壊力を持つ“自然の脅威”と、その代償?として人類に与えられる代えがたい豊かな“自然の恵み”とのバランスの中でうまく調和を取りながら生活していかないといけないという宿命を持っています。

この自然に関する情報は、刻一刻変化する情報であり、またその変化は、時としてヒトが叡智を搾って立てた予測を遥かに超えることがあったりします。また、大きな拡がりをもった情報であり、単に“点(1つのポイント)”の情報だけでなく、“面(2次元)”や“空間(3次元)”の情報として捉えないと、正しい判断を下すための“有効な武器”にはなり得ません。

このような背景から、気象の世界では古くから自然の状態を数値化するための各種のセンサーを配備して、情報を収集する仕組みが整備されてきました。全国約1000箇所に設置されている気象観測ロボット(アメダス)がその代表ですが、その他にも上空の大気の状態を観測するラジオゾンデ(気象観測気球)、上空を飛行する民間航空機に設置されたセンサーからの情報、降雨観測レーダー、地震計等、様々な観測のためのセンサーが整備されています。これらのセンサーで収集された刻一刻変化する膨大な量のデータは、気象庁のスーパーコンピュータにおいて予測処理され、天気予報に役立たせています。

すなわち、気象情報は「モノのインターネット(IoT)」の“ハシリ”、“フロントランナー”のような存在だということです。ITやICT関連の雑誌等で、「モノのインターネット(IoT)」の記事を読んでいて、私は常に「気象の世界はまさにIoTそのものじゃん」って思っていました。なので、何も真新しいことのように受け止めておりません。(インターネットを使っているかどうかという通信の“手段”の話は別にして…)

このように気象の分野では、既に国の機関である気象庁さんが観測のためのセンサー網を全国的に整備し、データ収集の仕組みも、品質保証、データ解析の仕組みも整備の上、その処理結果としての数値予報データや降水ナウキャスト情報等、各種の気象予報データをオープンデータとして公開していただいています。後は、それらのデータを用いて、様々なお客様の課題を解決するために最適な形のデータに加工して(付加価値をつけて)提供することをやればいいだけのことです。それがIoTの時代に我々民間気象情報会社が求められる最大の役割になる…と私は捉えています。

なので、気象情報が「モノのインターネット(IoT)」の“ハシリ”、“フロントランナー”だとするならば、IoTの成否は我々民間気象情報会社の頑張りにかかっている!…くらいの思いでいます。

さりとて、気象庁さんがオープンデータとして提供いただける気象予報データは膨大な量のビッグデータであり、様々なお客様のニーズにお応えするためには、より高度で高速なビッグデータ処理技術が求められるようになると認識しています。

やるべきことはまだまだ山積しています。頑張りますo(`^´*)

執筆者

株式会社ハレックス前代表取締役社長 越智正昭

株式会社ハレックス
前代表取締役社長

越智正昭

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