2014/12/01

仙台を取り巻く強いエコーは?

11月26日18時45分のレーダーエコー図を見ると仙台周辺にリング状の時間雨量30mm以上に相当する強いエコーが見られた。衛星画像でも仙台周辺に輝度の高い円形の雲が見られた。この周辺の降雨の状況をアメダスの観測資料で確認すると、まとまった雨が降っていたが、強度は「並」か「弱」の強さの降水であった。仙台は強いエコー域の中で比較的弱い降水域にあるのでこの程度の雨量で良いのだが、強雨域がかかっている亘理や石巻でも最大で7mmで、雨量強度は並迄であった。この降水量から改めてエコー域を見ると、この周りでは降水強度10㎜以上の濃い青の部分が広がっている。この降水強度は瞬間強度を示しているので、1時間雨量を考える時はこれを下回ることが多いことを見れば、3地点の降水量に矛盾しないことになる。以上から、仙台周辺の円形の強いエコーは異常な出方をしていると判断できる。

仙台を取り巻く強いエコーは
仙台を取り巻く強いエコーは_2
では、何故ここにこのような異常なエコーが出現したのだろうか。このレーダーエコーの発現した時間帯前後のレーダーエコーの変化を動画で見ることにする。
赤円で示した部分に着目すると仙台を囲むように周囲より強いエコーがリング状に存在する時間が多い。降雨域全体は北東方向に移動しているが、仙台の南で強まる様子はあっても、これがさらに北東方向に移動する状況は見られない。このリング状で周囲より強いエコー域の動きがないことから、このリングの中心にこれを作るものであることがわかる。実は、このリングの中心は仙台管区気象台のレーダーサイト(観測点)に当たっているのである。

20141126仙台ブライトバンド


仙台レーダーが異常なエコーを捕えていた訳であるが、これはレーダーが観測している雨雲の中の状態が特定の条件にあるときに現れるもので、ブライトバンドと呼ばれるものである。円形なのに「ブライトバンド(輝く帯)」の名前はおかしいが、レーダーで鉛直断面を観測すると、ある特定高度に強く輝く帯状のエコーが発現することから名づけられたもので、平面図ではレーダーサイトから一定の距離のところに円形のエコーとして現れるものである。

図に示すようにブライドバンドは、雪(固体)が解け始めて雨(液体)に変わりつつあるような状態変化の中で発生する。雪の粒と雨の粒の形状や大きさの違い、落下速度の違いによって、特に0℃付近で雪が融解を起こす層で起こる。この部分で特に降水強度が強くなるわけでもないのに、屈折率の関係で強く反射されて、エコー画像では明るく映るものである。

仙台を取り巻く強いエコーは_3


ブライトバンドがきれいな円形状に見られるのは、低気圧の通過時などで広範囲に層状に広がる降水域内が多い。気象庁のレーダーエコー図は概ね高さ2km付近のエコーを捕えているので、このブライトバンドが見られることは、その付近の高度に融解層があることを意味している。この層がさらに下がり、地上に達すると雨ではなく雪となる。そんな季節がすぐ近くまで来ていることを告げているようにも見える。

執筆者

気象庁OB 市澤成介

気象庁OB
市澤成介

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