2014/08/19
空海はすごい!
歴史小説家の大家・司馬遼太郎先生、司馬遼太郎先生の書かれた小説には四国出身の偉人が主人公となった小説が幾つかあり、四国で生まれ育った私は、それらの小説を大学時代に読み耽りました。
愛媛県出身者を描いたものと言えば秋山好古・真之兄弟と正岡子規を主人公とした『坂の上の雲』(私の愛読書です)、高知県出身者を描いたものとしては坂本龍馬の生涯を描いた『竜馬がゆく』、徳島県(と言ってもその沖にある淡路島)出身者を描いたものとしては江戸時代の廻船商人である高田屋嘉兵衛を主人公とした『菜の花の沖』、そして香川県出身者を描いたものとしては弘法大師空海を主人公とした『空海の風景』があります。
司馬遼太郎先生は資料収集を重視し、実証性の高い歴史小説を書かれるということで高い評価を得られた方なのですが、上記に挙げた4作品のうち、なんとも歯切れの悪い、難解な小説が一つあって、それが『空海の風景』です。何度か読みましたが、難解で、いまだに私にはよく分からないのです。おそらく、あの司馬遼太郎先生をもってしても弘法大師・空海って人物がうまく理解できていなかったのではないか…と思っています。
実際、ある資料に弘法大師・空海に関する司馬遼太郎先生の次のような文章があります。
******************************************************************
日本人の歴史の中でいろんな人物がいて、空海というまれな普遍的存在を他の人物と比較してみると、日本の西郷さん。人類の西郷じゃない。本居宣長も日本の本居宣長であり、聖徳太子も日本の聖徳太子である。けれども空海だけは人類に通用する。自分は人類の普遍的なものを知っている。宇宙の普遍的なものを知っている。そんな人物は空海しかいなかった。
******************************************************************
正直、あの司馬遼太郎先生でも理解することができなかった「掴みどころのない怪物」なんでしょう、弘法大師・空海って人物は…。
皆さんよくご存知のように、弘法大師空海(774年~835年)は、日本の生んだ最高の思想家・宗教家の一人であり、その後の日本文化に大きな影響を与え続けている極めて水準の高い文化人です。単に真言宗の開祖として仰がれるばかりだけでなく、その深い洞察力と広い視野と高い見識は多くの人々の共感を得ています。 空海が開いたという四国八十八ヶ所の霊場を巡 礼している人々は、決して真言宗の信徒の人々だけではなく、様々な宗派や宗教の人々、あるいはそれらに関係ない人々が、なんの拘りもなく回っていらっしゃいます。こんなところにも弘法大師空海の物の見方・考え方の一端が窺えます。
で、今年2月12日に発売された『空海は、すごい ~超訳弘法大師のことば~』という本を発売直後に読みました。
この本の著者は苫米地英人さん。1959年東京都生まれで、脳機能学者、計算言語学者、認知心理学者、分析哲学者(要するにちょっと得体の知れない感じの人…失礼!)。上智大学外国語学部卒業後、三菱地所に入社。2年後イェール大学大学院に留学。同大学人工知能研究所、認知科学研究所研究員を経て、情報工学の名門カーネギーメーロン大学大学院に転入。日本人ではじめて計算言語学の博士号を取得。帰国後、徳島大学助教授、ジャストシステム基礎研究所所長、経済産業省情報処理振興審議会専門委員などを歴任。現在は(株)ドクター苫米地ワークス代表、コグニティブリサーチラボ(株)CEO、天台宗ハワイ別院国際部長をなさっている方です。また、オ◯ム真◯教の元信者の脱洗脳プログラムを手伝った人としても知られています。
名門カーネギーメーロン大学で情報工学の博士号をとった方ということで、私は親近感があり、しかも、経歴の中に徳島大学助教授、ジャストシステム基礎研究所所長とあるように、四国とも関係をお持ちの方で、たいへん興味深く読みました。
この本は、真言密教の開祖・空海、弘法大師の思想を、学者らしい斬新な切り口で読み直す新しい空海論です。「空海の考えた密教は最も世界宗教に近く、キリスト教に匹敵する思想体系を持っている」と苫米地氏。
前半の「空海の思想」編では、キリスト教、親鸞などと比較しながら空海の教えの本質に迫ります。空海の教えの根本にある大日如来は、キリスト教の神、親鸞の阿弥陀と本質的には同じものです。即身成仏(生きたまま仏になる)とは、今ここで大日如来を受け入れるということであり、今ここで悟りの世界に行けるということを意味します。そして、驚くべきことに、空海の汎神論的な宇宙の原理は、21世紀の世界観を先取りしているようなものであるとも書かれています。
後半の「空海の言葉」編では、空海の代表的な言葉、重要な思想面を写す言葉、密教の本質を表現している言葉、人間性豊かな言葉の四つの観点から、50の言葉を選び、それに平易な現代語訳を添えて解説しています。
「空海の学んだ中期密教は、釈迦の教えからもっとも離れたものでした。しかし、空海という天才は、そのような中期密教を釈迦の教えに近いものに仕立てたのです」
「仏教の本質は、私達の心そのものにある」
「空海は、この世のすべてのものは『六大』によってできていると説きました。六大とは、宇宙の構成要素である地・水・火・風の四大に、空・識という二要素を加えたものです」
「縁起を簡単に言い換えるならば、『この世に完全なものはない』ということです」
特に、空海が説いた『六大』。地・水・風・空はまさに気象の世界そのもの。そして、“識”。 “識”とは人々の“インテリジェンス”ってことです。気象情報会社を経営させていただいている私に対して述べられているようで、鳥肌が立ってきます(*_*)
“識”をもって、自然と向き合え!ってことですね。
会社HPのトップページにも書かせていただいていますが、弊社ハレックスは『気象情報の活用ノウハウ』をウリにしています。活用ノウハウ、これはまさに空海が言うところの“識”そのものです。“識”をもって、自然と向き合う…弘法大師空海が「そうだ、間違っていない!」と、我々の背中を押していただいているようです。
それにしても学べば学ぶほど空海って凄い! 凄すぎる!って思います。ホント空海って、いったい何者??(@_@)
ちなみに我が家は先祖代々の四国人で、宗派も真言宗(醍醐派)なのですが、最近まで空海のことも真言宗の教えのこともこれまでまったく知りませんでしたし、興味を持ったこともありませんでした。しかし、今は空海と真言宗(と言うか密教)に嵌まってしまっているようなところがあります。
面白いです。でもまぁ~、難しすぎて(と言うか、あまりに壮大すぎて)この年齢にならないと、解らないことなのかもしれません(^^)d
愛媛県出身者を描いたものと言えば秋山好古・真之兄弟と正岡子規を主人公とした『坂の上の雲』(私の愛読書です)、高知県出身者を描いたものとしては坂本龍馬の生涯を描いた『竜馬がゆく』、徳島県(と言ってもその沖にある淡路島)出身者を描いたものとしては江戸時代の廻船商人である高田屋嘉兵衛を主人公とした『菜の花の沖』、そして香川県出身者を描いたものとしては弘法大師空海を主人公とした『空海の風景』があります。
司馬遼太郎先生は資料収集を重視し、実証性の高い歴史小説を書かれるということで高い評価を得られた方なのですが、上記に挙げた4作品のうち、なんとも歯切れの悪い、難解な小説が一つあって、それが『空海の風景』です。何度か読みましたが、難解で、いまだに私にはよく分からないのです。おそらく、あの司馬遼太郎先生をもってしても弘法大師・空海って人物がうまく理解できていなかったのではないか…と思っています。
実際、ある資料に弘法大師・空海に関する司馬遼太郎先生の次のような文章があります。
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日本人の歴史の中でいろんな人物がいて、空海というまれな普遍的存在を他の人物と比較してみると、日本の西郷さん。人類の西郷じゃない。本居宣長も日本の本居宣長であり、聖徳太子も日本の聖徳太子である。けれども空海だけは人類に通用する。自分は人類の普遍的なものを知っている。宇宙の普遍的なものを知っている。そんな人物は空海しかいなかった。
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正直、あの司馬遼太郎先生でも理解することができなかった「掴みどころのない怪物」なんでしょう、弘法大師・空海って人物は…。
皆さんよくご存知のように、弘法大師空海(774年~835年)は、日本の生んだ最高の思想家・宗教家の一人であり、その後の日本文化に大きな影響を与え続けている極めて水準の高い文化人です。単に真言宗の開祖として仰がれるばかりだけでなく、その深い洞察力と広い視野と高い見識は多くの人々の共感を得ています。 空海が開いたという四国八十八ヶ所の霊場を巡 礼している人々は、決して真言宗の信徒の人々だけではなく、様々な宗派や宗教の人々、あるいはそれらに関係ない人々が、なんの拘りもなく回っていらっしゃいます。こんなところにも弘法大師空海の物の見方・考え方の一端が窺えます。
で、今年2月12日に発売された『空海は、すごい ~超訳弘法大師のことば~』という本を発売直後に読みました。
この本の著者は苫米地英人さん。1959年東京都生まれで、脳機能学者、計算言語学者、認知心理学者、分析哲学者(要するにちょっと得体の知れない感じの人…失礼!)。上智大学外国語学部卒業後、三菱地所に入社。2年後イェール大学大学院に留学。同大学人工知能研究所、認知科学研究所研究員を経て、情報工学の名門カーネギーメーロン大学大学院に転入。日本人ではじめて計算言語学の博士号を取得。帰国後、徳島大学助教授、ジャストシステム基礎研究所所長、経済産業省情報処理振興審議会専門委員などを歴任。現在は(株)ドクター苫米地ワークス代表、コグニティブリサーチラボ(株)CEO、天台宗ハワイ別院国際部長をなさっている方です。また、オ◯ム真◯教の元信者の脱洗脳プログラムを手伝った人としても知られています。
名門カーネギーメーロン大学で情報工学の博士号をとった方ということで、私は親近感があり、しかも、経歴の中に徳島大学助教授、ジャストシステム基礎研究所所長とあるように、四国とも関係をお持ちの方で、たいへん興味深く読みました。
この本は、真言密教の開祖・空海、弘法大師の思想を、学者らしい斬新な切り口で読み直す新しい空海論です。「空海の考えた密教は最も世界宗教に近く、キリスト教に匹敵する思想体系を持っている」と苫米地氏。
前半の「空海の思想」編では、キリスト教、親鸞などと比較しながら空海の教えの本質に迫ります。空海の教えの根本にある大日如来は、キリスト教の神、親鸞の阿弥陀と本質的には同じものです。即身成仏(生きたまま仏になる)とは、今ここで大日如来を受け入れるということであり、今ここで悟りの世界に行けるということを意味します。そして、驚くべきことに、空海の汎神論的な宇宙の原理は、21世紀の世界観を先取りしているようなものであるとも書かれています。
後半の「空海の言葉」編では、空海の代表的な言葉、重要な思想面を写す言葉、密教の本質を表現している言葉、人間性豊かな言葉の四つの観点から、50の言葉を選び、それに平易な現代語訳を添えて解説しています。
「空海の学んだ中期密教は、釈迦の教えからもっとも離れたものでした。しかし、空海という天才は、そのような中期密教を釈迦の教えに近いものに仕立てたのです」
「仏教の本質は、私達の心そのものにある」
「空海は、この世のすべてのものは『六大』によってできていると説きました。六大とは、宇宙の構成要素である地・水・火・風の四大に、空・識という二要素を加えたものです」
「縁起を簡単に言い換えるならば、『この世に完全なものはない』ということです」
特に、空海が説いた『六大』。地・水・風・空はまさに気象の世界そのもの。そして、“識”。 “識”とは人々の“インテリジェンス”ってことです。気象情報会社を経営させていただいている私に対して述べられているようで、鳥肌が立ってきます(*_*)
“識”をもって、自然と向き合え!ってことですね。
会社HPのトップページにも書かせていただいていますが、弊社ハレックスは『気象情報の活用ノウハウ』をウリにしています。活用ノウハウ、これはまさに空海が言うところの“識”そのものです。“識”をもって、自然と向き合う…弘法大師空海が「そうだ、間違っていない!」と、我々の背中を押していただいているようです。
それにしても学べば学ぶほど空海って凄い! 凄すぎる!って思います。ホント空海って、いったい何者??(@_@)
ちなみに我が家は先祖代々の四国人で、宗派も真言宗(醍醐派)なのですが、最近まで空海のことも真言宗の教えのこともこれまでまったく知りませんでしたし、興味を持ったこともありませんでした。しかし、今は空海と真言宗(と言うか密教)に嵌まってしまっているようなところがあります。
面白いです。でもまぁ~、難しすぎて(と言うか、あまりに壮大すぎて)この年齢にならないと、解らないことなのかもしれません(^^)d
執筆者
株式会社ハレックス
前代表取締役社長
越智正昭
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