2015/03/09
最後のブルートレイン「北斗星」(その2)
そうこうするうちに上野発の夜行列車、寝台特急「北斗星」が到着する午前11時15分が近付いてきました。私は「北斗星」が到着する3番線ホームの隣の5番線、6番線ホームの新札幌駅側の端に行き、そこでカメラを構えることにしました。この場所なら駅に進入してくる「北斗星」を少し横から撮影することができますから(^^)d
ですが、皆さん考えることは同じようで、その場所には既に10人ほどの鉄道マニアさんが先客として陣取っていて、仕方なく私は2列目でカメラを構えることにしました。「北斗星」が到着する3番線、4番線ホームの新札幌駅側の端でも鉄道マニアさんが10人以上陣取っていて、新札幌駅方向を向いてカメラを構えています。
雪のため少し遅れているのでしょう、定刻の11時15分をほんの少し過ぎた頃、ほぼまっすぐに伸びた高架線の遥か彼方に2つの前照灯(ヘッドライト)の灯りが見え、その灯りが徐々に大きくなって、接近してきているのが判りました。
そのうち、長い旅路の果ての到着を知らせるためでしょう、ビョー!というディーゼル機関車ならではの警笛の音が聞こえてきました。間違いありません、あれが夜行寝台特急「北斗星」です(^-^)v 居並ぶ鉄道マニアの皆さんがカメラを構え直します。ビデオカメラを回し始める方も…。
肉眼でも特徴あるDD51型ディーゼル機関車2両とそれに牽引された12両の長く青い(濃紺の)客車の編成が判るようになりました。一斉にカメラのシャッター音が鳴り響きます。私も思わずシャッターを切りました。ただ、私は“撮り鉄”ではなく、写真の腕にはまるで自信がないのと、少しでも自分の肉眼で見ておきたいという思いがあるので、デジカメ(実際にはiPad)の画面は見ずにいい加減でシャッターを切りました。なので、いい写真は1枚もありませんが、雰囲気だけでも味わってください。
前日の19時03分に東京の上野を出て約16時間ちょっと。津軽海峡を青函トンネルで抜け、走り続けての札幌到着です。3分ほどの遅れでしょうか。出発の時と同じように静かに静かに札幌駅の3番線ホームに到着しました。今日の雪は湿った雪なので、「北斗星」の車体に雪は付着してはいませんが、濡れた車体がホームの灯りに照らされて光っています。「ホント、長い間、ご苦労様でした」と声にこそ出しませんでしたが、心の中では「北斗星」に呼び掛けました。ドアが開き、乗客が次々と降りてきます。皆さん、まもなく定期運行を終了するブルートレインの旅を心の底から満喫されたのでしょう、どなたも満足しきったような顔をして、記念撮影をされています。
そういう光景を眺めながら3番線ホームに足を運びました。昨日時間の都合で途中までになってしまった客車の見学です。最高級のA寝台1人用個室ロイヤル、2人用個室ツインデラックス、B寝台2人用個室デュエット、B寝台1人用個室ソロといった個室寝台の車両があり、ロビーカー、さらには食堂車。なんとも豪華な列車です。この豪華な客車列車がまもなく定期運行を終了してしまうなんて…。一度乗っておきたかったです。残念!………。
「北斗星」は10分ほど停車した後、機関車のビョー!という警笛音とともに車庫に回送されていきました。それを3番線ホームから見送り、早めの昼食を摂り、午後からの講演会の会場である総務省北海道総合通信局に向かうことにしました。さぁ~て、仕事だ仕事だ!o(^o^)o
十分に“鉄分”を補給したこともあって、講演はいつも以上に絶好調って感じでやれました。聴いていただいた方々は北海道のICTに関わる企業の方々が多かったようですが、壇上から見る限り、皆さん、それなりにご満足いただけたかな…と思っています。「北斗星」効果でしょうか(笑)
講演を終えて、帰京のためNTTデータ北海道の社員の方に札幌駅までクルマで送っていただきました。札幌駅に着いたのが16時15分をちょっとだけ過ぎた頃。帰りの飛行機は19時ちょうど新千歳空港発の便を予約していたのですが、1便前の18時ちょうど発の便に変更して早く帰ることができるかもしれないと思い、ネットでJALのサイトにアクセスしてみたところ、あいにく18時ちょうどの便は満席。仕方ない、予定通り19時ちょうどの便で帰ることにするか…と思ったのですが、ここであることに気付いてしまいました。そうだ!もしかしたら17時12分発の上野行きの夜行寝台特急「北斗星」をもう一度見送ることができるかもしれない!…と(^-^)v
さっそく時刻表で調べると、「北斗星」が出発した後の17時25分に札幌駅を発車する快速エアポートに乗ると、新千歳空港に到着するのは18時02分。十分に予約した便に間に合います。でも、「北斗星」の札幌始発は前日(23日)にも札幌駅で見送ったので、同じことをやってもつまりません。ならば、先回りして「北斗星」が次に停車する途中駅の南千歳駅で見送ろうと思い立ちました。そう思って時刻表を見ると、とても魅力的な列車の“乗り継ぎ”を発見しました(*_*)
16時31分札幌発の千歳行きの各駅停車の列車に乗り、まずは千歳へ。千歳着は17時21分。そこで17時28分発の夕張行きの普通列車(ディーゼルカー)に乗り換えて1駅だけ乗ると、17時32分に南千歳駅に到着します(ちなみに、その普通列車は南千歳から石勝線に入り、終点の夕張に着くのは19時20分です)。「北斗星」の南千歳駅到着は17時45分で、出発は17時46分。17時58分に快速「エアポート」が南千歳駅に到着するので、それに乗れば新千歳空港には18時02分に到着。予約した飛行機に乗るには十分すぎるほどの時間的余裕があります。よしっ!これにしよう!(^.^) すぐに決断し、改札口を通りました。
16時31分札幌始発の千歳行き各駅停車は既に座席が全部埋まっていたので私も立って乗っていたのですが、苗穂駅、白石駅、平和駅、新札幌駅…と停車するたびにドンドン乗客が降りていき、北広島駅を出た時には1両に数人くらいの乗客にまで減っていました。同じ区間を新千歳空港行きの「快速エアポート」も走っているのですが、新千歳空港まで行く空港利用者が主体の「快速エアポート」と異なり、各駅停車は日中はほとんどが途中の千歳駅止まりか苫小牧駅行きで、そのままでは新千歳空港には行けないため、利用者は沿線住民がほとんど。通勤通学をはじめとした日常の足って感じです。従って、札幌市の都市圏を知るには各駅停車の列車に乗ってみるのが一番です。乗ってみて分かったことは、札幌市の都市圏は北広島までか、せいぜい恵庭あたりまででしょうか。千歳はちょっと遠いかな? 線路の両脇は一面の雪景色です。とは言え、積雪はさほどでもありません。この冬のこのあたりの積雪量は例年以下のようです。
17時を過ぎて、あたりはだんだん暗くなってきました。17時21分定刻に千歳駅に到着。反対側のホームに薄灰色をしたディーゼルカーがポツンと1両で停まっていました。千歳駅始発の夕張行き各駅停車の列車です。古いキハ40系のディーゼルカーです。実は、たった1駅区間だけでもこの車両に乗ってみたかったんです。かつて北海道のローカル線と言えば、このキハ40系ディーゼルカーでした。国鉄色や朱色一色のキハ40系ディーゼルカーはまさに北海道の象徴と言ってもいい車両でした。亡くなった高倉健さん主演の映画『鉄道員(ぽっぽ屋)』にも、朱色一色のキハ40系ディーゼルカーの単行(1両編成)が何度も登場しました。ホームに立つと、発車の時刻を待つキハ40から、懐かしいディーゼルエンジンのアイドリング音が聞こえてきます。これです!、このアイドリング音を聞きたくて、この列車に乗ってみようと思ったわけです(^^)d
先ほど高倉健さん主演の映画『鉄道員(ぽっぽ屋)』のことを書きましたが、JR北海道の駅員さんは、映画『鉄道員(ぽっぽ屋)』の中で高倉健さんが着ていたのと同じ外套を羽織ってホームに立っています。映画『鉄道員(ぽっぽ屋)』の1シーンが思い出されます。渋い!、そして、カッコイイ!
17時28分定刻、ノッチを入れた夕張行きの普通列車はガァ~~っていう感じにディーゼルエンジンの音を轟かせて、千歳駅を発車しました。繰り返しになりますが、懐かしい音です。これです!(^^)d 頭上を新千歳空港に着陸するジェット旅客機が大きな爆音を立てて通り過ぎていきます。
千歳駅から南千歳駅まではあまり速度を上げません。最高でも時速40kmほどでしょうか。ゆったりとした感じで進んでいきます。僅か4分間の乗車で南千歳駅に到着しました。僅か4分間の乗車でしたが、私は満足しました。本当ならこのままこの列車に乗って石勝線経由で夕張まで行ってみたいところなのですが、それはまたいつか、昼間に乗りたいと思います。まだ17時30分だと言うのに、外はすっかり夜の帳(とばり)が降りてきています。このあたりは東京よりも経度的に若干東に寄っていますので、陽が暮れるのがほんのちょっと早いようです。
ここ南千歳駅は千歳線と石勝線、それと新千歳空港に向かう千歳線の支線との分岐駅で、夜行寝台特急「北斗星」を含む全ての特急列車が停車します。
南千歳駅で待つこと13分。暗くなった景色の中にひときわ明るい前照灯(ヘッドライト)の光が見えてきて、「北斗星」のヘッドマークを誇らしげに掲げた2両連結のDD51型ディーゼル機関車を先頭にして、17時45分定刻に上野行きの夜行寝台特急「北斗星」の青い客車の編成が南千歳駅のホームに入ってきました。ディーゼル機関車が目の前を通り過ぎる時にエンジン音がしたのですが、その後は静かな静かな入線です。プシューっとコンプレッサーの音がして全車両のデッキのドアが開きましたが、乗降客は1人もいません(乗る人は既に始発の札幌で乗車しているのでしょう。また、この日の南千歳駅には、さすがに鉄道マニアさんの姿はありませんでした)。
短い発車のベルが鳴り、僅か1分の停車で、ディーゼル機関車の警笛音とともに、「北斗星」は南千歳駅を静かに発車していきました。札幌出発時と異なり、発車するとすぐに加速し、最後尾車両が目の前を通り過ぎる頃には、かなりの速度になっています。闇の中に後尾灯(テールライト)の赤い灯りが2つ、小さくなっていきます。そう言えば、北海道出身の歌手・中島みゆきさんの歌に『ヘッドライト・テールライト』と言うのがありましたよね。NHKテレビ『プロジェクトX』のエンディングテーマ曲でした。その歌が脳裏に浮かびました。長く第一線で活躍してきて、まもなく定期運行が終了する夜行寝台特急「北斗星」のテールライトを誰もいない無人のホームで見送る…、このシーンと言うかシチュエーションに、中島みゆきさんの『ヘッドライト・テールライト』は、まさにピッタリって感じです(^^)d
乗ることはかないませんでしたが、このように今回の札幌出張では最後のブルートレイン、夜行寝台特急「北斗星」を堪能することができました。私の「北斗星」の定期運行の見送りはこの南千歳駅が最後。見納めになりました。この文章がアップされるのが3月9日(月)の筈ですから、定期運行は残り僅か。
最後のブルートレイン「北斗星」の定期運行の最後は、下りが3月13日の19時03分上野発です。同列車は翌日14日の11時15分に終点の札幌に到着し、ブルートレインは60年近い歴史に完全に幕を降ろします。反対に、上りの「北斗星」は3月13日の17時12分札幌発で、翌日14日の午前9時38分に終点の上野に到着します。
ですが、皆さん考えることは同じようで、その場所には既に10人ほどの鉄道マニアさんが先客として陣取っていて、仕方なく私は2列目でカメラを構えることにしました。「北斗星」が到着する3番線、4番線ホームの新札幌駅側の端でも鉄道マニアさんが10人以上陣取っていて、新札幌駅方向を向いてカメラを構えています。
雪のため少し遅れているのでしょう、定刻の11時15分をほんの少し過ぎた頃、ほぼまっすぐに伸びた高架線の遥か彼方に2つの前照灯(ヘッドライト)の灯りが見え、その灯りが徐々に大きくなって、接近してきているのが判りました。
そのうち、長い旅路の果ての到着を知らせるためでしょう、ビョー!というディーゼル機関車ならではの警笛の音が聞こえてきました。間違いありません、あれが夜行寝台特急「北斗星」です(^-^)v 居並ぶ鉄道マニアの皆さんがカメラを構え直します。ビデオカメラを回し始める方も…。
肉眼でも特徴あるDD51型ディーゼル機関車2両とそれに牽引された12両の長く青い(濃紺の)客車の編成が判るようになりました。一斉にカメラのシャッター音が鳴り響きます。私も思わずシャッターを切りました。ただ、私は“撮り鉄”ではなく、写真の腕にはまるで自信がないのと、少しでも自分の肉眼で見ておきたいという思いがあるので、デジカメ(実際にはiPad)の画面は見ずにいい加減でシャッターを切りました。なので、いい写真は1枚もありませんが、雰囲気だけでも味わってください。
前日の19時03分に東京の上野を出て約16時間ちょっと。津軽海峡を青函トンネルで抜け、走り続けての札幌到着です。3分ほどの遅れでしょうか。出発の時と同じように静かに静かに札幌駅の3番線ホームに到着しました。今日の雪は湿った雪なので、「北斗星」の車体に雪は付着してはいませんが、濡れた車体がホームの灯りに照らされて光っています。「ホント、長い間、ご苦労様でした」と声にこそ出しませんでしたが、心の中では「北斗星」に呼び掛けました。ドアが開き、乗客が次々と降りてきます。皆さん、まもなく定期運行を終了するブルートレインの旅を心の底から満喫されたのでしょう、どなたも満足しきったような顔をして、記念撮影をされています。
そういう光景を眺めながら3番線ホームに足を運びました。昨日時間の都合で途中までになってしまった客車の見学です。最高級のA寝台1人用個室ロイヤル、2人用個室ツインデラックス、B寝台2人用個室デュエット、B寝台1人用個室ソロといった個室寝台の車両があり、ロビーカー、さらには食堂車。なんとも豪華な列車です。この豪華な客車列車がまもなく定期運行を終了してしまうなんて…。一度乗っておきたかったです。残念!………。
「北斗星」は10分ほど停車した後、機関車のビョー!という警笛音とともに車庫に回送されていきました。それを3番線ホームから見送り、早めの昼食を摂り、午後からの講演会の会場である総務省北海道総合通信局に向かうことにしました。さぁ~て、仕事だ仕事だ!o(^o^)o
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十分に“鉄分”を補給したこともあって、講演はいつも以上に絶好調って感じでやれました。聴いていただいた方々は北海道のICTに関わる企業の方々が多かったようですが、壇上から見る限り、皆さん、それなりにご満足いただけたかな…と思っています。「北斗星」効果でしょうか(笑)
講演を終えて、帰京のためNTTデータ北海道の社員の方に札幌駅までクルマで送っていただきました。札幌駅に着いたのが16時15分をちょっとだけ過ぎた頃。帰りの飛行機は19時ちょうど新千歳空港発の便を予約していたのですが、1便前の18時ちょうど発の便に変更して早く帰ることができるかもしれないと思い、ネットでJALのサイトにアクセスしてみたところ、あいにく18時ちょうどの便は満席。仕方ない、予定通り19時ちょうどの便で帰ることにするか…と思ったのですが、ここであることに気付いてしまいました。そうだ!もしかしたら17時12分発の上野行きの夜行寝台特急「北斗星」をもう一度見送ることができるかもしれない!…と(^-^)v
さっそく時刻表で調べると、「北斗星」が出発した後の17時25分に札幌駅を発車する快速エアポートに乗ると、新千歳空港に到着するのは18時02分。十分に予約した便に間に合います。でも、「北斗星」の札幌始発は前日(23日)にも札幌駅で見送ったので、同じことをやってもつまりません。ならば、先回りして「北斗星」が次に停車する途中駅の南千歳駅で見送ろうと思い立ちました。そう思って時刻表を見ると、とても魅力的な列車の“乗り継ぎ”を発見しました(*_*)
16時31分札幌発の千歳行きの各駅停車の列車に乗り、まずは千歳へ。千歳着は17時21分。そこで17時28分発の夕張行きの普通列車(ディーゼルカー)に乗り換えて1駅だけ乗ると、17時32分に南千歳駅に到着します(ちなみに、その普通列車は南千歳から石勝線に入り、終点の夕張に着くのは19時20分です)。「北斗星」の南千歳駅到着は17時45分で、出発は17時46分。17時58分に快速「エアポート」が南千歳駅に到着するので、それに乗れば新千歳空港には18時02分に到着。予約した飛行機に乗るには十分すぎるほどの時間的余裕があります。よしっ!これにしよう!(^.^) すぐに決断し、改札口を通りました。
16時31分札幌始発の千歳行き各駅停車は既に座席が全部埋まっていたので私も立って乗っていたのですが、苗穂駅、白石駅、平和駅、新札幌駅…と停車するたびにドンドン乗客が降りていき、北広島駅を出た時には1両に数人くらいの乗客にまで減っていました。同じ区間を新千歳空港行きの「快速エアポート」も走っているのですが、新千歳空港まで行く空港利用者が主体の「快速エアポート」と異なり、各駅停車は日中はほとんどが途中の千歳駅止まりか苫小牧駅行きで、そのままでは新千歳空港には行けないため、利用者は沿線住民がほとんど。通勤通学をはじめとした日常の足って感じです。従って、札幌市の都市圏を知るには各駅停車の列車に乗ってみるのが一番です。乗ってみて分かったことは、札幌市の都市圏は北広島までか、せいぜい恵庭あたりまででしょうか。千歳はちょっと遠いかな? 線路の両脇は一面の雪景色です。とは言え、積雪はさほどでもありません。この冬のこのあたりの積雪量は例年以下のようです。
17時を過ぎて、あたりはだんだん暗くなってきました。17時21分定刻に千歳駅に到着。反対側のホームに薄灰色をしたディーゼルカーがポツンと1両で停まっていました。千歳駅始発の夕張行き各駅停車の列車です。古いキハ40系のディーゼルカーです。実は、たった1駅区間だけでもこの車両に乗ってみたかったんです。かつて北海道のローカル線と言えば、このキハ40系ディーゼルカーでした。国鉄色や朱色一色のキハ40系ディーゼルカーはまさに北海道の象徴と言ってもいい車両でした。亡くなった高倉健さん主演の映画『鉄道員(ぽっぽ屋)』にも、朱色一色のキハ40系ディーゼルカーの単行(1両編成)が何度も登場しました。ホームに立つと、発車の時刻を待つキハ40から、懐かしいディーゼルエンジンのアイドリング音が聞こえてきます。これです!、このアイドリング音を聞きたくて、この列車に乗ってみようと思ったわけです(^^)d
先ほど高倉健さん主演の映画『鉄道員(ぽっぽ屋)』のことを書きましたが、JR北海道の駅員さんは、映画『鉄道員(ぽっぽ屋)』の中で高倉健さんが着ていたのと同じ外套を羽織ってホームに立っています。映画『鉄道員(ぽっぽ屋)』の1シーンが思い出されます。渋い!、そして、カッコイイ!
17時28分定刻、ノッチを入れた夕張行きの普通列車はガァ~~っていう感じにディーゼルエンジンの音を轟かせて、千歳駅を発車しました。繰り返しになりますが、懐かしい音です。これです!(^^)d 頭上を新千歳空港に着陸するジェット旅客機が大きな爆音を立てて通り過ぎていきます。
千歳駅から南千歳駅まではあまり速度を上げません。最高でも時速40kmほどでしょうか。ゆったりとした感じで進んでいきます。僅か4分間の乗車で南千歳駅に到着しました。僅か4分間の乗車でしたが、私は満足しました。本当ならこのままこの列車に乗って石勝線経由で夕張まで行ってみたいところなのですが、それはまたいつか、昼間に乗りたいと思います。まだ17時30分だと言うのに、外はすっかり夜の帳(とばり)が降りてきています。このあたりは東京よりも経度的に若干東に寄っていますので、陽が暮れるのがほんのちょっと早いようです。
ここ南千歳駅は千歳線と石勝線、それと新千歳空港に向かう千歳線の支線との分岐駅で、夜行寝台特急「北斗星」を含む全ての特急列車が停車します。
南千歳駅で待つこと13分。暗くなった景色の中にひときわ明るい前照灯(ヘッドライト)の光が見えてきて、「北斗星」のヘッドマークを誇らしげに掲げた2両連結のDD51型ディーゼル機関車を先頭にして、17時45分定刻に上野行きの夜行寝台特急「北斗星」の青い客車の編成が南千歳駅のホームに入ってきました。ディーゼル機関車が目の前を通り過ぎる時にエンジン音がしたのですが、その後は静かな静かな入線です。プシューっとコンプレッサーの音がして全車両のデッキのドアが開きましたが、乗降客は1人もいません(乗る人は既に始発の札幌で乗車しているのでしょう。また、この日の南千歳駅には、さすがに鉄道マニアさんの姿はありませんでした)。
短い発車のベルが鳴り、僅か1分の停車で、ディーゼル機関車の警笛音とともに、「北斗星」は南千歳駅を静かに発車していきました。札幌出発時と異なり、発車するとすぐに加速し、最後尾車両が目の前を通り過ぎる頃には、かなりの速度になっています。闇の中に後尾灯(テールライト)の赤い灯りが2つ、小さくなっていきます。そう言えば、北海道出身の歌手・中島みゆきさんの歌に『ヘッドライト・テールライト』と言うのがありましたよね。NHKテレビ『プロジェクトX』のエンディングテーマ曲でした。その歌が脳裏に浮かびました。長く第一線で活躍してきて、まもなく定期運行が終了する夜行寝台特急「北斗星」のテールライトを誰もいない無人のホームで見送る…、このシーンと言うかシチュエーションに、中島みゆきさんの『ヘッドライト・テールライト』は、まさにピッタリって感じです(^^)d
乗ることはかないませんでしたが、このように今回の札幌出張では最後のブルートレイン、夜行寝台特急「北斗星」を堪能することができました。私の「北斗星」の定期運行の見送りはこの南千歳駅が最後。見納めになりました。この文章がアップされるのが3月9日(月)の筈ですから、定期運行は残り僅か。
最後のブルートレイン「北斗星」の定期運行の最後は、下りが3月13日の19時03分上野発です。同列車は翌日14日の11時15分に終点の札幌に到着し、ブルートレインは60年近い歴史に完全に幕を降ろします。反対に、上りの「北斗星」は3月13日の17時12分札幌発で、翌日14日の午前9時38分に終点の上野に到着します。
執筆者
株式会社ハレックス
前代表取締役社長
越智正昭
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