2017/02/01
中山道六十九次・街道歩き【第8回: 深谷→本庄】(その6)
本庄市立藤田小学校の前にある5連の馬頭観音です。表面は反対側ですが、先を急いでいるので裏面から撮った写真です。馬頭観音は仏教における信仰対象である菩薩の一尊のことですが、近世では馬が急死した路傍や芝先(馬捨場)などに馬頭観音像を建てることが多かったようです。像ではなく単なる「馬頭観音」の文字を彫っただけの石碑であったりもします。
先ほど、滝岡橋のたもとで、地元の観光ボランティアガイドさんから、昔、本庄に城があって城下町だった頃、中山道(当時は東山道)の深谷と本庄の間には3つの宿場が並んでいた…という話をお聞きしました。確か、堀田、牧西、藤田だったでしょうか。江戸時代になって中山道の整備の中で本庄を宿場町にするにあたって、それら3つの宿場を集めて本庄に持っていったというようなことでした。その名残なのでしょう、この道路沿いの両側には家々がずっと立ち並び、中には広い敷地の立派なお屋敷のような家があったりもします。
道は緩くS字に蛇行しながら集落の中を抜けていきます。この緩いS字カーブがなんとも旧街道っぽくていいですね。この中山道街道歩きで覚えたので、最近では緩いS字カーブをした道路を見ると、「おっ、これは昔の街道ではないか」…と思っちゃうようになりました。
藤田小学校の前を過ぎると、右手の向こうに朱色に塗られた寶珠寺の山門が見えてきます。手入れが行き届いた杉並木の向こうに寺院があります。なかなか素晴らしい参道です。
その寶珠寺の道を挟んだ向かい側には牧西の村社・八幡神社が鎮座しています。祭神は誉田別尊(応神天皇)・神功皇后・中比売神(応神天皇后)。建久年間(1195年頃)に児玉党の一族・牧西四郎広末が武運長久の守護神・相州鎌倉の鶴岡八幡宮を奉遷して当所に祀ったものらしいです。
「本庄市指定文化財 金鑚神楽 宮崎組」という気になる案内板が出ています。
ここは本庄市指定文化財・金鑚神楽(かなさなかぐら)の宮崎組を伝える神社です。金鑚神楽は埼玉県北部地域で演じられている神楽で、埼玉県北西部に位置する埼玉県児玉郡神川町にある武蔵二ノ宮金鑚神社に古くから伝わっている神楽です。一社相伝の由緒深いこの神楽は、専門の神楽師ではなく、神社の氏子達によって代々伝承されているのだそうです。かつては埼玉県北部の各神社ごとに別々の組が設けられ、個々に別々の演目、様式で伝えられていましたが、明治時代に13の組に再編されました。この牧西の村社・八幡神社の金鑚神楽を伝えているのが宮崎組です。本庄市にはこの宮崎組のほか、本庄組、杉田組、根岸組、太駄組の5組の神楽が今に伝わっています。この宮崎組の金鑚神楽で使われている面は能面系統の面で、正徳年間(1711年~1715年)以前に作られた古いものだそうで、舞いも他の組の神楽とは異なっているのだそうです。現在の25の演目が伝わっているのだそうです。
「小川家長屋門」です。長屋門は、中世、諸大名の城郭や陣屋、武家屋敷の門として誕生した形式の建物で、主に江戸時代に多く建てられました。諸大名は、自分の屋敷の周囲に家臣等のための長屋を建ててそこに住まわせていたのですが、その一部に門を開いて、一棟とした建物を用意したのが長屋門の始まりと言われています。その後、長屋門は上級武士の武家屋敷の表門の基本形式として広く利用されるようになっていきました。
武家屋敷の長屋門では、門の両側部分に門番の部屋や仲間部屋が置かれ、家臣や使用人の居所に利用されました。それより下級の侍屋敷の長屋門は武家屋敷のものより小規模なものになりますが、基本的な構成はほぼ同じです。また郷村武士の家格をもつ家や、苗字帯刀を許された富裕な農家・庄屋でも長屋門は作られました。更に明治以後は他の富農の家屋敷にも長屋門は作られるようになりました。このような長屋門では、門の両側部分は使用人の住居・納屋・作業所などに利用されたようです。小川家は苗字帯刀を許された富裕な農家・庄屋で、長屋門が作られたのだと思われます。このあたりの中山道沿いには、時々このような長屋門を持った屋敷が残っています。
先に進みます。印西の集落を過ぎたあたりでほんのちょっと家並みが途切れますが、また次の傍示堂の集落に入ります。
なおも緩いS字カーブを蛇行しながら歩みを先へ進めます。牧西交差点を過ぎ集落と集落の間の家並みが途切れたあたりに、庚申塚や道祖神が並んでいます。小さな祠の中に祀られているのは「子育て地蔵」です。このあたりは旧街道の面影を存分に感じさせてくれます。
傍示堂の集落に入りました。藤田郵便局の前にも長屋門を持った立派なお屋敷のお宅がありました。前述の小川家の長屋門より幾分小振りですが、立派な造りで、手入れも行き届いていて、漆喰がいささかも崩れておらず、往時の栄華が偲ばれます。名主か庄屋の家かと思ったのですが、どうも医院のようです。凄い!
この集落の家並みはなかなか立派です。さすがに旧中山道沿い…と思わせてくれます。
……(その7)に続きます。
先ほど、滝岡橋のたもとで、地元の観光ボランティアガイドさんから、昔、本庄に城があって城下町だった頃、中山道(当時は東山道)の深谷と本庄の間には3つの宿場が並んでいた…という話をお聞きしました。確か、堀田、牧西、藤田だったでしょうか。江戸時代になって中山道の整備の中で本庄を宿場町にするにあたって、それら3つの宿場を集めて本庄に持っていったというようなことでした。その名残なのでしょう、この道路沿いの両側には家々がずっと立ち並び、中には広い敷地の立派なお屋敷のような家があったりもします。
道は緩くS字に蛇行しながら集落の中を抜けていきます。この緩いS字カーブがなんとも旧街道っぽくていいですね。この中山道街道歩きで覚えたので、最近では緩いS字カーブをした道路を見ると、「おっ、これは昔の街道ではないか」…と思っちゃうようになりました。
藤田小学校の前を過ぎると、右手の向こうに朱色に塗られた寶珠寺の山門が見えてきます。手入れが行き届いた杉並木の向こうに寺院があります。なかなか素晴らしい参道です。
その寶珠寺の道を挟んだ向かい側には牧西の村社・八幡神社が鎮座しています。祭神は誉田別尊(応神天皇)・神功皇后・中比売神(応神天皇后)。建久年間(1195年頃)に児玉党の一族・牧西四郎広末が武運長久の守護神・相州鎌倉の鶴岡八幡宮を奉遷して当所に祀ったものらしいです。
「本庄市指定文化財 金鑚神楽 宮崎組」という気になる案内板が出ています。
ここは本庄市指定文化財・金鑚神楽(かなさなかぐら)の宮崎組を伝える神社です。金鑚神楽は埼玉県北部地域で演じられている神楽で、埼玉県北西部に位置する埼玉県児玉郡神川町にある武蔵二ノ宮金鑚神社に古くから伝わっている神楽です。一社相伝の由緒深いこの神楽は、専門の神楽師ではなく、神社の氏子達によって代々伝承されているのだそうです。かつては埼玉県北部の各神社ごとに別々の組が設けられ、個々に別々の演目、様式で伝えられていましたが、明治時代に13の組に再編されました。この牧西の村社・八幡神社の金鑚神楽を伝えているのが宮崎組です。本庄市にはこの宮崎組のほか、本庄組、杉田組、根岸組、太駄組の5組の神楽が今に伝わっています。この宮崎組の金鑚神楽で使われている面は能面系統の面で、正徳年間(1711年~1715年)以前に作られた古いものだそうで、舞いも他の組の神楽とは異なっているのだそうです。現在の25の演目が伝わっているのだそうです。
「小川家長屋門」です。長屋門は、中世、諸大名の城郭や陣屋、武家屋敷の門として誕生した形式の建物で、主に江戸時代に多く建てられました。諸大名は、自分の屋敷の周囲に家臣等のための長屋を建ててそこに住まわせていたのですが、その一部に門を開いて、一棟とした建物を用意したのが長屋門の始まりと言われています。その後、長屋門は上級武士の武家屋敷の表門の基本形式として広く利用されるようになっていきました。
武家屋敷の長屋門では、門の両側部分に門番の部屋や仲間部屋が置かれ、家臣や使用人の居所に利用されました。それより下級の侍屋敷の長屋門は武家屋敷のものより小規模なものになりますが、基本的な構成はほぼ同じです。また郷村武士の家格をもつ家や、苗字帯刀を許された富裕な農家・庄屋でも長屋門は作られました。更に明治以後は他の富農の家屋敷にも長屋門は作られるようになりました。このような長屋門では、門の両側部分は使用人の住居・納屋・作業所などに利用されたようです。小川家は苗字帯刀を許された富裕な農家・庄屋で、長屋門が作られたのだと思われます。このあたりの中山道沿いには、時々このような長屋門を持った屋敷が残っています。
先に進みます。印西の集落を過ぎたあたりでほんのちょっと家並みが途切れますが、また次の傍示堂の集落に入ります。
なおも緩いS字カーブを蛇行しながら歩みを先へ進めます。牧西交差点を過ぎ集落と集落の間の家並みが途切れたあたりに、庚申塚や道祖神が並んでいます。小さな祠の中に祀られているのは「子育て地蔵」です。このあたりは旧街道の面影を存分に感じさせてくれます。
傍示堂の集落に入りました。藤田郵便局の前にも長屋門を持った立派なお屋敷のお宅がありました。前述の小川家の長屋門より幾分小振りですが、立派な造りで、手入れも行き届いていて、漆喰がいささかも崩れておらず、往時の栄華が偲ばれます。名主か庄屋の家かと思ったのですが、どうも医院のようです。凄い!
この集落の家並みはなかなか立派です。さすがに旧中山道沿い…と思わせてくれます。
……(その7)に続きます。
執筆者
株式会社ハレックス
前代表取締役社長
越智正昭
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