2014/09/02

巨大災害 ~MEGA DISASTER~ 地球大変動の衝撃(第2集)

翌8月31日(日)の放送は第2集『スーパー台風 ~“海の異変”の最悪シナリオ~』でした。

2005年に米国を襲ったハリケーン「カトリーナ」、2007年にバングラデシュを襲い900万人近くが被災したサイクロン「シドル」、昨年フィリピンで観測史上最速の風速90メートルの暴風を記録した台風30号「ハイエン」等、通常の台風を遥かに上回る破壊力をもつ「スーパー台風(正しくは中心気圧が910ヘクトパスカルを下回るような勢力の強い台風)」が近年多発しています。日本列島にも、このところ記録的な豪雨や土砂災害をもたらす強力な台風の来襲が相次いでいます。

地球上で最も多くの熱帯低気圧(台風)が生まれているのが、日本列島の南、3000kmの太平洋上。暖かい海面水温と東西からぶつかり合う大気の流れが、直径1000kmを超える巨大な台風を次々と発生させます。

熱帯の海で発生する台風は、海の表面の温度が26℃以上で発達するとされていますが、同じ温かい海で発生する台風の中に、勢力を急激に強め猛烈な台風になることがあります。

今年8月発生した台風11号は、フィリピンの東の海上で915ヘクトパスカルと猛烈な強さにまで発達。そのまま勢力を保ったまま日本列島近海まで接近し、その後、上陸。四国の高知県や徳島県では降り始めからの累積雨量が1,000ミリを超えるような記録的な大雨をもたらしました。

また、昨年11月、フィリピンに上陸した台風30号「ハイエン」は、上陸直前に中心気圧が895ヘクトパスカル、中心付近の最大風速が65メートルと、「スーパー台風」にまで発達。レイテ島沿岸を9メートルもの高潮が襲うなどして、フィリピン全体での死者、行方不明者の数は7,300人余りに上りました。

台風だけではありません。2005年にアメリカ南部を襲ったハリケーン「カトリーナ」は、メキシコ湾で中心気圧が902ヘクトパスカル、中心付近の最大風速が70メートルと「スーパーハリケーン」となり、高潮や高波で防潮堤が破壊。住宅およそ120万戸に浸水などの被害が出ました。

日本では、55年前の1959年9月に紀伊半島に上陸し、伊勢湾一帯の三重県や愛知県で高潮により5,000人以上の犠牲者を出した伊勢湾台風が「スーパー台風」とされています。

最新の研究から、台風が突如巨大化し、このような「スーパー台風」へと発達する「急速強化」と呼ばれるメカニズムの存在が明らかになってきました。それの最大の要因が海水の温度。それも海面の海水の水温ではなく、大気と接することのない水深100メートル以下の海深くにある海水の水温です。そのあたりの海水の水温が高いと、台風の接近により作られる波で海水をいくら掻き混ぜても海面の水温がなかなか下がらないため、台風は勢力を急激に強めやすいことが明らかになってきました。

これには、正直、目からウロコでした。私は、基本、毎日天気図を見るようにしているのですが、このところ熱帯低気圧から台風に変わってすぐに、緯度の低いところ(赤道近辺)で1日で20ヘクトパスカルや30ヘクトパスカルという具合に急激に勢力を強める台風が増えたなぁ~…、そのあたりの海面の水温は特段高いとは思えないのになぁ~…と、正直、ちょっと不思議に思っていました。その原因がこれだったんですね。大いに納得しました。

また、将来、地球温暖化が進めば、台風の勢力が強まりスーパー台風になる頻度が高まると予想されていて、国内外の研究機関では台風の強さの予測精度を向上するための取り組みを続けています。日本の気象庁でも、現在、太平洋に張り巡らされた観測網のデータを基に海水温を深さ100メートルほどまで推測し、台風の強さの判断に役立てる新たなシステムを予報の現場に導入したことが紹介されていました。このシステムでは、台風が発達できる26℃以上の海水がどこまで深く広がっているかを計算し、それから台風を発達させる熱エネルギーに換算して表示します。気象庁は、台風の勢力の予測に試験的に取り入れて発達との関係を詳しく検証し、予報精度の改善に繋げることにしたいのだそうです(これには大いに期待したいところです)。

そして、それに加えて、今後も海水の温度が上がり続ければ、「スーパー台風」が頻発し、これまで経験したことのないような暴風と高潮が日本列島を襲うという“最悪のシナリオ”も見えてきました。番組では最新の科学によって浮かび上がってきた新たな台風の脅威について、シミュレーション映像で迫りましたが、これは凄まじかったですね。暴風によって送電線の鉄塔が倒れ、大規模な停電が発生。これまでに経験したことのない高潮の発生で都心まで浸水…。大都市の新たなリスクが見えてきました。

これはなんとかしないといけません。1人でも多くの貴い命を救うために…。私達、民間気象情報会社も頑張らねばならない…と、思いを新たにしたところです!p(^-^)q

NHKスペシャル『巨大災害 ~MEGA DISASTER~』、さすがは“防災”に力を入れているNHKらしい、とてもいい番組でした(^.^)

それにしても、司会のタモリさん、さすがに上手いです。庶民感覚の平易で分かりやすい言葉でゲストの専門家に切り込み、これまた平易で分かりやすい端的で適切なコメントを上手く引き出していました。“聞き上手”とは、こういうことを言うんだなぁ~…って、大いに参考になりました。


【これからの放送】
このNHKスペシャル『巨大災害 ~MEGA DISASTER~』、続く第3集は『巨大地震 ~見えてきた脅威のメカニズム~』がテーマで、9月20日(土)21時からの放送です。

最終の第4集は『火山大噴火 ~迫りくる大地動乱の時代~』がテーマで、9月21日(日)21時からの放送です。

残念ながら第1集『異常気象』と第2集『スーパー台風』を見逃された方、再放送は第1集は9月14日(日)午前0時50分から、第2集は9月15日(月)午前1時05分からです。あるいは『NHKオンデマンド(有料)』で是非ご覧ください(^^)d

NHKオンデマンド

執筆者

株式会社ハレックス前代表取締役社長 越智正昭

株式会社ハレックス
前代表取締役社長

越智正昭

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