2015/10/09

北のカナリアたちに逢いに最北限の島へ(その7)

登山口に着いてほどなく、木村課長からケータイに電話が入りました。まもなく登山口まで下山してくるとのことのようで、ちょうどよかったです。登山道のほうを眺めていると、遠くから木村課長が手を振りながら下りてきました。その後ろに続くように他の4人も下山してきています。みんな無事のようで、よかったよかった。実は登山口にパトカーが2台やってきていました。どうも途中で怪我をしたか気分が悪くなったかで、山岳救助隊による救助が必要になった登山者の方が出たようです。そんな中でしたので、みんなの姿を見て、安心しました。

「お疲れさまぁ~」、「ただいまぁ~」…こんな会話を交わして、ハレックス山の会の連中は登山口まで無事に下山してきました。あとは彼らをベースキャンプであるキャンプ場にクルマで送り届けるだけです。2往復して、彼等をキャンプ場に搬送しました。クルマの中では、めいめい利尻山登山の感想を述べてくれます。先に木村課長から連絡が入っていたように、九合目あたりまで綺麗に晴れていたのが、そこから上は霧の中に突っ込み、時折霰(アラレ)も降り、大変だったようです。ただ、九合目あたりからは、遠くに樺太(サハリン)の陸地も見えたのだそうです。昨日、私が飛行機から見たのも樺太(サハリン)だと思います。ある程度高いところに登ると見えるのですね。

全員下山してキャンプ場に辿り着いた後は、全員キャンプ場前にある利尻富士温泉に浸かって、汗を流しました。まだ16時を少し過ぎた時間だったので、露天風呂から見ると、利尻山の姿が見えました。山の会の連中のほうに目をやると、あそこに登ってきたのだ…と感慨深く目を細めて満足そうに眺めている者がいたり、今も濃く白い雲がかかる山頂付近を眺めて残念そうな顔をしている者がいたり…で、ちょっと面白かったです(笑)

温泉から出ると、空には綺麗な虹が架かっていました。それも珍しい二連の虹が…。先ほどちょっとにわか雨が降ったこともあって、架かった虹なのでしょう。利尻島が我々一行を歓迎してくれてるみたいで、嬉しかったですね。

この利尻富士温泉の外には「北限の銘水~甘露泉~」という看板が出ていて、天然の湧き水が飲めるところがあります。本来の「北限の銘水~甘露泉~」は利尻山の登山口のある北麓野営場の近くにあるのですが、ここにも湧いてきているようです。風呂上がりにその甘露泉を飲んでみたのですが、喉が渇いていたこともあり、美味しかったです。さすがに「北限の銘水」と名乗るだけのことはあります。

甘露泉

おやおや、馬場社員と津田社員の2人は出掛ける準備をしています。これからペシ岬に登って、日本海に沈む夕陽を見るのだとか。この日のこのあたりの日没時刻は18時15分。それに間に合うように…と、そそくさと出掛けていきました。先ほど私も登ってきましたが、ペシ岬の展望台まではちょっとした登山です。1,721メートルの利尻山に登ってきたのに、それでは飽きたらず、さらに93メートルに登りに行くのかよ。こうした山好きの感覚、私にはちょっと理解できません┐(‘~`;)┌ そもそも、私は山には不向きなのかもしれません。

この日の夕食は、登山の反省会も兼ねて、鴛泊にある居酒屋で地元の味覚を堪能しながら開催することにしました。私達夫婦は昼にウニをいただいていますが、他の皆さんはまだですからねぇ~。

予約したのは漁師居酒屋『魚勝』さん。地元の現役の漁師さんがやっている居酒屋ということで、地元でも評判のお店なんだそうです。楽しみです。

暖簾をくぐると、「っらっしゃ~い!」というちょっとしゃがれた、そして野太い声が響いてきました。声の主を見ると、逞しいガタイと、ねじり鉢巻が似合う顔をしたご主人(大将といったほうが適切か…)が立っていました。確かに現役の漁師さんですね。

いちおうメニューはテーブルに立て掛けてあり、壁には今日のお勧め料理なるものが貼り出されているのですが、中には得体のしれないような名前の料理も並んでいます。この得体のしれない名前の料理に興味が引かれて「これなんだろう?」と思いながらちょっと悩んだ顔をしていると、大将が勝手に「7人だから、あれが3人前に、これが4人前…」等と次々に料理を決めてくれます。どうも、大将が利尻島初めての我々に食べさせたい料理を次から次に注文をいれてくれている感じでした。中に、私が得体のしれない名前の料理と思ったものもふくまれているのが嬉しいところです。居酒屋で注文に悩んだ時は、大将が自信を持って客に出せる得意の料理を聞くに限ります。そのお勝手バージョンのようなものです(^^)d

で、出てきた料理は、どれもメチャメチャ美味しかったです。凄いところは、どの料理も大将がこだわりを持って一手間加えているところ。例えば、イカの塩辛ではゲソ(脚)の1本1本に敢えて包丁を入れてあったりします。これにより柔らかく食べやすいようになり、塩辛味噌も肉に絡むので美味しくいただけます。こりゃあ「騙されたと思って注文しな」…と勧めるわけです。

絶品だったのはホッケ。このところ漁獲量が激減し、かつては居酒屋の定番料理だったのが、いつの間にやら、滅多に見掛けない料理になってしまいました。たまに見掛けても身が薄っぺらいホッケが主体になってしまっています。しかし、この魚勝さんのホッケは違います。若干小振りではあるのですが、身が肉厚で、とにかく美味しい。

私が「これ、大将が獲ったの?」と訊くと、
大将は「いいや、俺は今はウニと昆布専門。これは稚内のダチ(友達)が獲ったのを分けてもらってるわけ」
私「この近海で獲れるの?」
大将「どこで獲っているのかは知らない。ダチも企業秘密とかで教えてくれない」のだとか。

モズク酢も美味しかったです。モズクはどちらかと言うと沖縄などの暖かい海でも獲れる印象があるのですが、冷たい北の海で獲れるモズクはふだん私達が口にするものより肉厚で、味も濃厚。とにかく美味しかったです。

得体のしれない名前の地元の名物料理も、次々とその正体が分かってきました。中でも絶品だったのは「タチカマバター」。「タチカマ」って何だろう? “太刀魚”の頭のことか?…等と思っていたのですが、聞くと“タラの白子を固めてつくった蒲鉾状のものをバターで炒めた料理”なんだとか。これがハンペンでもない、蒲鉾でもない、これまで食べたことのない絶妙な食感の食べ物になっていて、美味しいんです。他にも「タチカマポン」という料理があって、そちらはその蒲鉾状のものを生のままポン酢でいただくというもの。なるほどねぇ~。とにかく手間がかかっています。

魚勝1

大将自らが朝獲ってきたというムラサキウニはもちろん美味しかったです。〆に勧められたのがラーメン。かなり自慢の味のようで、しきりと勧めてきます。それだけ勧めてくるのなら…と注文すると、これがまた絶品。鶏ガラでとったダシをベースにした昔ながらの中華そばを連想させる醤油味のスープなんですが、とにかく優しい味なんです。よくある脂っこさやしょっぱさをまったく感じられず、麺もほどよい感じなので、いくらでも食べられそうです。 私が「このスープはなんで取ってるの?」って訊くと、大将「俺ではなく、かあちゃんが秘密で作ってるスープだから、企業秘密で、俺も知らない」とのことでした(笑)

これで価格はリーズナブル。大満足の反省会でした。店を出る時、大将から「マズイ料理はあったかい?」って訊かれました。私が「そんなの1つもなかったよ。どれも美味しかった。またいつか来たいと思ってる」と答えると、大将は顔をクシャクシャにした嬉しそうな笑顔を浮かべていました。この漁師居酒屋『魚勝』。利尻島に行くことがあったら、是非訪れてほしいお勧めのお店です。

魚勝2

魚勝3


あっ、いかんいかん。料理の話ばかりで、反省会の様子について触れるのを怠ってしまいましたが、まぁ、そんなのはどうでもいいことですよね。とにかく美味しいものも食べられたし、楽しい楽しい反省会でした。

キャンプ場への帰り道、見上げると、この夜も天の川がとっても綺麗に、ハッキリクッキリ見えました。夕方に二連の虹が架かっているのが見えたように、この夜も大気が澄みきっているようで、ホント綺麗な星空でした。

執筆者

株式会社ハレックス代表取締役社長 越智正昭

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越智正昭

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