2017/04/24

中山道六十九次・街道歩き【第10回: 新町→高崎】(その5)

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倉賀野宿を後にして、一路、高崎宿へ向かいます。ここから高崎宿までは約6kmの道程。引き続き群馬県道121号和田多中倉賀野線を進みます。

倉賀野宿の西木戸の跡を過ぎたところに倉賀野一里塚跡がありました。江戸の日本橋を出てから25番目の一里塚です。すなわち、江戸の日本橋から約100kmです。もう100km、やっと100km、まだ100kmです。一里塚の跡はなにも残っていません。一里塚跡を示す小さな案内板が立っているだけです。

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この群馬県道121号和田多中倉賀野線ですが、最近は「東国文化歴史街道」とも呼ばれているようです。「東国文化歴史街道」と呼ばれているわりには、殺風景な車道が続きます。

街道は上町西交差点の先から若い松並木が続きます。殺風景な風景の中に「東国文化歴史街道」らしい趣を少しでも感じさせようとしているのかもしれません。倉賀野宿から高崎宿まで昔はずっと杉並木があったそうなのですが、今ではすっかりなくなり、代わりに松の木が点々と植えてあります。この松が立派な松並木と呼ばれるのには、この先何年かかるのでしょうね。

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松並木が途切れた左手には浅間山古墳(せんげんやまこふん)があります。この古墳は群馬県内では太田天神山古墳(太田市)に次ぐ第2位、ひいては関東地方では太田天神山古墳、舟塚山古墳(茨城県石岡市)に次ぐ第3位の規模の古墳です。4世紀末から5世紀初頭にかけての古墳時代中期頃に築造されたと推定されていて、全長172mもある大型の前方後円墳です。この大型古墳からは、このあたりが古墳時代中期から、東山道を介して畿内にあったと考えられる大和王朝と密接に関係していたことが偲ばれます。浅間山古墳は本庄宿の先のJR神保原駅付近にも同名の古墳がありました。その本庄の古墳は古墳時代終末期の7世紀後半に築造されたものでしたが、この高崎の浅間山古墳はそれより以前の4世紀末から5世紀初頭にかけて築造された古墳で、規模も大きいものです。

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旧中山道は右に緩くカーブしながら北西の方角にひたすら延びています。「とりめし だるま弁当 たかべん」の看板が目に留まりました。高崎駅名物の駅弁と言えば、“だるま”をかたどった赤い容器を使用した「だるま弁当」。茶飯風の炊き込みごはんの上に、筍・こんにゃく・栗・牛蒡・鶏肉など群馬県産の農畜産物を使用したおかずが載せられているのが特徴です。デパートやスーパーで開催される駅弁フェア等では横川駅の「峠の釜めし」とともに常に上位にランキングされる名物駅弁です。その「だるま弁当」を販売する高崎弁当株式会社(通称:たかべん)さんです。その「たかべん」さんが経営する「たかべん食堂」があります。

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群馬県道121号和田多中倉賀野線を右折し、すぐに左折。群馬県道121号和田多中倉賀野線と並行するように住宅地の裏道のようなところを100メートルほど歩き、粕沢橋のたもとで群馬県道121号和田多中倉賀野線と合流します。その道の途中にそこにお住まいの方が旧中山道を探索する観光客が迷わないように手作りの案内板を設けてくれています。群馬県道121号和田多中倉賀野線と合流する粕沢橋のたもとにも、同様の手作りの案内板が設けられています。ありがたいですね。

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粕沢橋です。江戸時代には、このあたりに立場(休憩所)があり、「粕沢の立場茶屋」という茶屋があったと言われています。茶屋ができたのは、文化年間(1804年~1817年)のことで、茶屋の主は、高崎宿本町に住む当代の文化人、花岡義旭(平八郎)という人だったのだそうです。当時の粕沢川は滝もある水量の多い川で、その水を引いて池には蓮の花が咲き、鯉の泳ぐ風流な茶屋だったということです。この風流な茶屋には、参勤交代の大名も、旅人も必ず立ち寄ったといわれています。今の粕沢川に往時の面影はまったく残っていません。

このあたりは倉賀野町正六(しょうろく)という地名です。「正六」とは面白い地名なのですが、一説には、新田義貞の血を引いているという女性が、この地の浅間山(せんげんやま)に住んでいて、その女性が「正六位」という位階を持っていたことから、この村を「正六」と呼ぶようになったということのようです。

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眼前には上毛三山のパノラマが視界に広がります。赤城山を右手に、浅間山と妙義山を左手に見ながら榛名山に向かってひたすら延びる旧中山道。名山が迫り、なんとも爽快で美しいシチュエーションは、今も昔と変わらず旅人の目を楽しませてくれます。


……(その6)に続きます。