2014/06/25
太田吉沢ゆりの里
先週の土曜日(6月21日)、妻と群馬県太田市にある『太田吉沢ゆりの里』にユリを観に行きました。
初夏のこの時期、『太田吉沢ゆりの里』では、約8万平方メートルという広大な敷地一面に植えられた、50種類約150万輪と言われる色とりどりのユリの花が見頃を迎えています。
6月15日から中東のカタールで開催されていたユネスコの世界遺産委員会の場で、日本で最初の本格的製糸工場である「富岡製糸場」と、新しい養蚕技術を生み出し、生糸の大量生産に貢献した「田島弥平旧宅」、「高山社跡」、「荒船風穴」を構成資産として世界遺産への登録が承認されたことは、皆さんの記憶に新しいことですが、その世界遺産に登録された「富岡製糸場」があるのが群馬県。同じ群馬県でも「富岡製糸場」のある富岡市が群馬県の北西の端に位置するところならば、ここ太田市はその対極の南東の端に位置するところです。
この群馬県をはじめとした北関東一帯は、かつては養蚕でひじょうに栄えた土地でした。この太田市や隣接する桐生市、伊勢崎市等も良質な絹織物の産地として栄え、このあたり一帯の田園地帯には、蚕の餌となる桑の畑が一面に広がっていました。
この太田市吉沢町の北西部もかつてはそうした一面の桑畑が広がっていた一画だったのですが、養蚕産業の衰退や米作の減反政策等により田畑の荒廃が急激に進み、一時期は地元の人達でも容易に入り込めない程、竹や雑木が鬱蒼と生い茂るジャングルのような状態になっていました。その総面積は、連続する休耕地(耕作放棄地)を合わせると約10ha。
これではそのジャングルのようになった雑木林が病害虫や獣の発生源となって、まだまだ残っている周囲の田畑に大きな被害をもたらすだけでなく、地域の景観上、さらには治安上でも大きな問題になっていました。そこで、この区域を再生させ地区の活性化を図るため、荒廃地を整備し、ユリの栽培計画に着手したのだそうです。(耕作放棄地活用の1つのモデルですね)
まず地権者(58名)が組合を結成し、ユリ栽培の国内有数の専門業者である可睡ゆり園(静岡県)と業務提携契約を結び、さらに太田市の財政的支援と協力により、平成22年6月に開園したのがこの『太田吉沢ゆりの里』です。
開園してまだ4年しか経っていないので、首都圏での知名度もそれほど高くはありませんが、約8万平方メートルという広大な敷地一面に植えられた、50種類約150万輪のユリの花は、とにかく「見事!」の一言です。
しかも、元々が桑の畑だった土地を利用しているので、なだらかな丘陵地に作られていて、園内に急な起伏はほとんどないので、楽に散策して観て回ることができます。園内で働いている方々も組合を結成した地権者の方々と思われ、駐車場の誘導をしている男性も、入場チケットを販売している女性やソフトクリームを販売している女性も、素人っぽい素朴さがなんとも言えずいい感じです(^^)d
なんと言っても、開園期間はユリの見所の時期のみ。今年(2014年)の開園期間は6月7日(土)~7月13日(日)までの約1ヶ月間で、それ以外の11ヶ月間はひたすらユリの育成期間のようです。
入園料は大人1,000円 子供300円(小・中学生)
駐車料 500円(乗用車)2,000円(バス)
期間限定の開園(営業)で、まだまだ世の中の知名度も低く、知る人ぞ知る…って感じなので、こんな入場料だけでやっていけるのか…と思えてしまうのですが、園で働いている方々のお顔になんとなく余裕のようなものが感じられるのは、皆さん、他に職業をお持ちの方々なのかもしれません。趣味でやっていることの延長線のような感じなんです。
おそらく、ユリの手入れをはじめ園の運営を実際にしているのは組合を結成した地権者の奥様方で、旦那さんのほうは開園期間中だけ駐車場の誘導係で手伝っているって構図なのではないか…と勝手に想像しました。皆さん、楽しんでやっておられる感じがするんです。そこが新鮮だし、好印象です。
『太田吉沢ゆりの里』で楽しめるユリは50種類約150万輪…と書きましたが、ユリには幾つかの種類があり、自然種(原種)は北半球の主として温帯に属する地域に約100種が原産します。ユリの分類は諸説ありますが、花の形とつき方により次の4亜属に分けるのが一般的です。
テッポウユリ亜属……花は筒型、らっぱ状で横向きか上向きに咲きます。オトメユリ、ササユリ、タカサゴユリ、テッポウユリ、ハカタユリ、リーガル・リリーなど。
ヤマユリ亜属……花は漏斗状に広がり大型で横向きに咲きます。日本原産。サクユリ、ヤマユリなど。
スカシユリ亜属……花は盃状、茶碗型、星型等多種にわたり、上向きに咲きます。イワトユリ、エゾスカシユリ、ヒメユリなど。
カノコユリ亜属……花は鐘状、球形、星型で下向きに咲きます。オニユリ、カノコユリ、キガノコユリ、クルマユリ、コオニユリなど。
園芸種は亜属間の交雑により人工的に産み出されたもので1,000種類をゆうに超すとも言われています。
強い香りで有名なカサブランカ〔オリエンタル ・ハイブリッド〕はカノコユリとヤマユリ、ヒメサユリ、タモトユリなどの交雑から育成された園芸種で、この系列の園芸種は香りが強いことで知られています。
いっぽう、美しい色が楽しめるのがコネチカット〔アジアマティック・ハイブリッド〕。これはスカシユリの品種群で、エゾスカシユリ、イワトユリ、オニユリなどの交雑から生まれました。
この他にも園芸技術の進歩により、多くの品種が作られています。
『太田吉沢ゆりの里』は人工的に整備されたユリ園なので、原種のユリはいっさいなく、植えられているのは園芸種ばかりです。それも色合い重視のコネチカット〔アジアマティック・ハイブリッド〕をはじめとした品種が主体です。色合い重視で植えられているだけあって、園内に山を削って設けられた展望台のようなところから見る景色は圧巻の一言です。見事な色彩のカーペットって感じです。
私達が訪れた先週6月21日が今年一番の見頃だったのではないか…と思われますが、蕾の付き具合を見る限り、まだまだ楽しめるようです。次の週末あたり、足を延ばされてはいかがでしょうか。お薦めのスポットです。
『太田吉沢ゆりの里』、今年(2014年)の開園期間は7月13日(日)までです(^^)d
【追記1】
首都圏近郊で自生の(原種の)ヤマユリが楽しめるのが、埼玉県比企郡滑川町にある『国営武蔵丘陵森林公園』(東武東上線・森林公園駅下車)。7月中旬~下旬にかけて、約3,000株の自生のヤマユリが園内各所で開花し、ユリの王様『ヤマユリ』の姿を手軽に楽しむことができます。ここは7月、すなわちこれからがまさに旬。自生の(天然の)ヤマユリの密生地だけに、絶対にお薦めのスポットです(^^)d
【追記2】
気象情報会社の経営に携わらせていただくようになって、自然、特に美しい日本の四季の変化というものに、これまで以上に強い関心を持つようになってきました。
首都圏近郊が主体ですが、週末、家族を誘ってその季節の旬を探しに行くのが、新たな趣味となった感じです。実は日曜日(6月22日)は娘も誘って山梨県の河口湖畔にサクランボ狩りに出掛けてきました。
そんなネタも、この『おちゃめ日記』で時折ご紹介したいと思っています。お薦めの観光スポットネタとして(^^)d
初夏のこの時期、『太田吉沢ゆりの里』では、約8万平方メートルという広大な敷地一面に植えられた、50種類約150万輪と言われる色とりどりのユリの花が見頃を迎えています。
6月15日から中東のカタールで開催されていたユネスコの世界遺産委員会の場で、日本で最初の本格的製糸工場である「富岡製糸場」と、新しい養蚕技術を生み出し、生糸の大量生産に貢献した「田島弥平旧宅」、「高山社跡」、「荒船風穴」を構成資産として世界遺産への登録が承認されたことは、皆さんの記憶に新しいことですが、その世界遺産に登録された「富岡製糸場」があるのが群馬県。同じ群馬県でも「富岡製糸場」のある富岡市が群馬県の北西の端に位置するところならば、ここ太田市はその対極の南東の端に位置するところです。
この群馬県をはじめとした北関東一帯は、かつては養蚕でひじょうに栄えた土地でした。この太田市や隣接する桐生市、伊勢崎市等も良質な絹織物の産地として栄え、このあたり一帯の田園地帯には、蚕の餌となる桑の畑が一面に広がっていました。
この太田市吉沢町の北西部もかつてはそうした一面の桑畑が広がっていた一画だったのですが、養蚕産業の衰退や米作の減反政策等により田畑の荒廃が急激に進み、一時期は地元の人達でも容易に入り込めない程、竹や雑木が鬱蒼と生い茂るジャングルのような状態になっていました。その総面積は、連続する休耕地(耕作放棄地)を合わせると約10ha。
これではそのジャングルのようになった雑木林が病害虫や獣の発生源となって、まだまだ残っている周囲の田畑に大きな被害をもたらすだけでなく、地域の景観上、さらには治安上でも大きな問題になっていました。そこで、この区域を再生させ地区の活性化を図るため、荒廃地を整備し、ユリの栽培計画に着手したのだそうです。(耕作放棄地活用の1つのモデルですね)
まず地権者(58名)が組合を結成し、ユリ栽培の国内有数の専門業者である可睡ゆり園(静岡県)と業務提携契約を結び、さらに太田市の財政的支援と協力により、平成22年6月に開園したのがこの『太田吉沢ゆりの里』です。
開園してまだ4年しか経っていないので、首都圏での知名度もそれほど高くはありませんが、約8万平方メートルという広大な敷地一面に植えられた、50種類約150万輪のユリの花は、とにかく「見事!」の一言です。
しかも、元々が桑の畑だった土地を利用しているので、なだらかな丘陵地に作られていて、園内に急な起伏はほとんどないので、楽に散策して観て回ることができます。園内で働いている方々も組合を結成した地権者の方々と思われ、駐車場の誘導をしている男性も、入場チケットを販売している女性やソフトクリームを販売している女性も、素人っぽい素朴さがなんとも言えずいい感じです(^^)d
なんと言っても、開園期間はユリの見所の時期のみ。今年(2014年)の開園期間は6月7日(土)~7月13日(日)までの約1ヶ月間で、それ以外の11ヶ月間はひたすらユリの育成期間のようです。
入園料は大人1,000円 子供300円(小・中学生)
駐車料 500円(乗用車)2,000円(バス)
期間限定の開園(営業)で、まだまだ世の中の知名度も低く、知る人ぞ知る…って感じなので、こんな入場料だけでやっていけるのか…と思えてしまうのですが、園で働いている方々のお顔になんとなく余裕のようなものが感じられるのは、皆さん、他に職業をお持ちの方々なのかもしれません。趣味でやっていることの延長線のような感じなんです。
おそらく、ユリの手入れをはじめ園の運営を実際にしているのは組合を結成した地権者の奥様方で、旦那さんのほうは開園期間中だけ駐車場の誘導係で手伝っているって構図なのではないか…と勝手に想像しました。皆さん、楽しんでやっておられる感じがするんです。そこが新鮮だし、好印象です。
『太田吉沢ゆりの里』で楽しめるユリは50種類約150万輪…と書きましたが、ユリには幾つかの種類があり、自然種(原種)は北半球の主として温帯に属する地域に約100種が原産します。ユリの分類は諸説ありますが、花の形とつき方により次の4亜属に分けるのが一般的です。
テッポウユリ亜属……花は筒型、らっぱ状で横向きか上向きに咲きます。オトメユリ、ササユリ、タカサゴユリ、テッポウユリ、ハカタユリ、リーガル・リリーなど。
ヤマユリ亜属……花は漏斗状に広がり大型で横向きに咲きます。日本原産。サクユリ、ヤマユリなど。
スカシユリ亜属……花は盃状、茶碗型、星型等多種にわたり、上向きに咲きます。イワトユリ、エゾスカシユリ、ヒメユリなど。
カノコユリ亜属……花は鐘状、球形、星型で下向きに咲きます。オニユリ、カノコユリ、キガノコユリ、クルマユリ、コオニユリなど。
園芸種は亜属間の交雑により人工的に産み出されたもので1,000種類をゆうに超すとも言われています。
強い香りで有名なカサブランカ〔オリエンタル ・ハイブリッド〕はカノコユリとヤマユリ、ヒメサユリ、タモトユリなどの交雑から育成された園芸種で、この系列の園芸種は香りが強いことで知られています。
いっぽう、美しい色が楽しめるのがコネチカット〔アジアマティック・ハイブリッド〕。これはスカシユリの品種群で、エゾスカシユリ、イワトユリ、オニユリなどの交雑から生まれました。
この他にも園芸技術の進歩により、多くの品種が作られています。
『太田吉沢ゆりの里』は人工的に整備されたユリ園なので、原種のユリはいっさいなく、植えられているのは園芸種ばかりです。それも色合い重視のコネチカット〔アジアマティック・ハイブリッド〕をはじめとした品種が主体です。色合い重視で植えられているだけあって、園内に山を削って設けられた展望台のようなところから見る景色は圧巻の一言です。見事な色彩のカーペットって感じです。
私達が訪れた先週6月21日が今年一番の見頃だったのではないか…と思われますが、蕾の付き具合を見る限り、まだまだ楽しめるようです。次の週末あたり、足を延ばされてはいかがでしょうか。お薦めのスポットです。
『太田吉沢ゆりの里』、今年(2014年)の開園期間は7月13日(日)までです(^^)d
【追記1】
首都圏近郊で自生の(原種の)ヤマユリが楽しめるのが、埼玉県比企郡滑川町にある『国営武蔵丘陵森林公園』(東武東上線・森林公園駅下車)。7月中旬~下旬にかけて、約3,000株の自生のヤマユリが園内各所で開花し、ユリの王様『ヤマユリ』の姿を手軽に楽しむことができます。ここは7月、すなわちこれからがまさに旬。自生の(天然の)ヤマユリの密生地だけに、絶対にお薦めのスポットです(^^)d
【追記2】
気象情報会社の経営に携わらせていただくようになって、自然、特に美しい日本の四季の変化というものに、これまで以上に強い関心を持つようになってきました。
首都圏近郊が主体ですが、週末、家族を誘ってその季節の旬を探しに行くのが、新たな趣味となった感じです。実は日曜日(6月22日)は娘も誘って山梨県の河口湖畔にサクランボ狩りに出掛けてきました。
そんなネタも、この『おちゃめ日記』で時折ご紹介したいと思っています。お薦めの観光スポットネタとして(^^)d
執筆者
株式会社ハレックス
前代表取締役社長
越智正昭
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