2014/06/25
グローバルの視点
ハワイにある太平洋津波警報センターから気象庁に入った連絡によりますと、日本時間の昨日6月24日午前5時53分頃、アリューシャン列島のラット諸島付近を震源とするマグニチュード8.0の巨大地震がありました。
皆さんご存知のように、アリューシャン列島はアメリカのアラスカ半島からロシアのカムチャッカ半島にかけての北太平洋に約1.930kmにわたって弧状に連なる長い列島です。アリューシャン列島はフォックス諸島、フォー・マウンテンズ諸島など幾つかの諸島からなり、ラット諸島もその1つで、アリューシャン列島の西部に位置します。
ラット諸島の中で一番大きな島がキスカ島。現在は無人島になっていますが、太平洋戦争中の1942年6月、同じくアリューシャン列島のアッツ島(ニア諸島)と共に日本軍が攻略・占拠したことがあります。その後、圧倒的に物量に勝る米軍の猛攻と周辺海域を米海軍艦隊に包囲され、物資の補給が滞り、アッツ島は残念ながら玉砕、いっぽうキスカ島の守備隊は日本海軍の救援艦隊による奇跡的な救出作戦により無事に撤退ができたという歴史があります。
まぁ~、知る人ぞ知る…って感じではありますが、ラット諸島は日本人にとっても馴染みのあるところです。このラット諸島付近を震源とするマグニチュード8.0の巨大地震が発生したのです。
地球の表面は十数枚の厚さ100kmほどの巨大な岩盤で覆われていて、この巨大な岩盤のことを大陸プレートと呼びます。このアリューシャン列島の南にはアリューシャン海溝(最深7,679m)と呼ばれる東西に長い(全長3,400km)深い溝のような構造になった海底があり、ここでこの十数枚の大陸プレートのうち、太平洋プレートが北からの北アメリカプレートに潜り込むという接合面があります。
この大陸プレートの接合面では、海側のプレートと大陸側のプレートとが接する接合面(海溝)で、大陸側プレートの下に潜り込もうとする海側のプレートに引きずられてたわんだ大陸側のプレートが跳ね返って、蓄積されたエネルギーの瞬間的な放出により、しばしば巨大な地震が発生することがあります。これがいわゆる“海溝型地震”と呼ばれている地震です。
日本時間24日午前5時53分頃にラット諸島付近を震源として発生したマグニチュード8.0の巨大地震も、おそらくこの海溝型の地震と思われます。このアリューシャン列島付近では1946年と1957年、1965年にそれぞれマグニチュード8.1、マグニチュード8.6、マグニチュード8.7のアリューシャン地震と呼ばれる巨大地震が発生しており、また1964年にはマグニチュード9.2という超巨大な規模のアラスカ地震も発生しています。
また同じく昨日日本時間6月24日の午前4時19分頃には、南太平洋のケルマディック諸島付近を震源とするマグニチュード7.2の大きな地震がありました。
ケルマディック諸島はニュージーランド北島の北北東約1000kmに位置する火山諸島で諸島東方にはトンガ海溝に続くケルマディック海溝(最深で9,994m)が南北に連なっています。深い海溝があるということは、ここもインド・オーストラリアプレートと太平洋プレートという2つの大きな大陸プレートの境界があり、インド・オーストラリアプレートの下に太平洋プレートが潜り込む複雑な地形となっています。
このためこのあたりは大きな地震がたびたび発生するところであることで知られ、2011年7月にはこのケルマディック諸島沖でマグニチュード7.7の地震が発生しました。また、関連は不明ですが同年の2月と6月にはニュージランド南島でマグニチュード6規模の大きな地震が発生し、また、前年(2010年)の9月にはマグニチュード7規模の大きな地震が太平洋プレート内の活断層において発生しています。
特に2011年2月22日に発生したマグニチュード6.1の地震(カンタベリー地震)では、クライストチャーチにある大聖堂の塔が崩壊し、地元テレビ局カンタベリー・テレビ(CTV)の入ったビルも倒壊。同局の関係者やこのビルに入居していた語学学校の生徒・留学生らが巻き込まれ多数の死傷者が発生しました(死者185人)。また、観測史上最大規模の液状化現象が発生し、カンタベリー大学の調査では被害家屋は4万~5万棟。市内の多くの地域で停電や断水が発生しました。
上記の図をご覧いただくとお分かりいただけると思いますが、この太平洋プレートは日本列島のすぐ近くにも広がってきていて、日本列島は太平洋プレート、北アメリカプレート、ユーラシアプレート、フィリピン海プレートという4つの大きな大陸プレートが複雑に重なりあう接合面に位置しています。
2011年2月22日にニュージーランド南島で大きな地震が発生したという報道を目にした時、太平洋プレートが関係しているということで、弊社社長室の壁に貼ってある大陸プレートの絵を眺めながら、“連鎖”で日本列島周辺で大きな地震が発生しなければいいのだが…と私は強い危惧の念を覚えました。果たしてその危惧が現実のものになったのが、僅か半月(17日)後の2011年3月11日のことでした。
2011年3月11日14時46分18秒、牡鹿半島の東南東約130km付近の太平洋(三陸沖)の海底、深さ約24kmを震源として『東北地方太平洋沖地震』が発生しました。この地震は、太平洋プレートと北アメリカプレートの境界域(日本海溝(最深8,020m)付近)で発生した海溝型の地震でした。
震源域は岩手県沖から茨城県沖にかけての幅約200km、長さ約500km、およそ10万平方kmの広範囲にわたり(日本列島の陸地の総面積が約38万平方kmなので、日本列島の陸地の1/4以上の面積の海底が“動いた”ことになります)、地震の規模を示すマグニチュードは9.0。大正関東地震(1923年)の7.9や昭和三陸地震(1933年)の8.4をはるかに上回る日本観測史上最大規模の地震であるとともに、世界でもスマトラ島沖地震(2004年)以来の規模で、1900年以降でも4番目に大きな超巨大地震でした。
地震によって大規模な津波が発生し、最大で海岸から6kmも内陸まで浸水、岩手県三陸南部、宮城県、福島県浜通り北部では津波の高さが8m~9mに達し、明治三陸地震(1896年)の津波を上回る最大溯上高40.1m(岩手県大船渡市)を記録。震源域に近い東北地方の太平洋岸では、高い津波が甚大な被害をもたらしました。津波は関東地方の太平洋岸でも被害をもたらしたほか、環太平洋地域を中心に世界の海岸に達しました。また、宮城県北部で最大震度7、岩手県から千葉県にかけて震度6弱以上を観測するなど広範囲で強い揺れとなり、関東地方の埋立地で大規模な液状化現象が発生しました。
その超巨大な規模の『東北地方太平洋沖地震』がもたらした災害のことを『東日本大震災』と呼び、その被害の大きさについては皆さんの記憶に新しいかと思いますので、これ以上の説明は省きます。
昨日6月24日に北太平洋と南太平洋でほぼ同時に発生した2つの巨大地震。どちらも遠方で起きた地震であり、震源近くの島はほとんどが無人島で人的被害もほとんど出ていないこと、また、日本列島への津波の影響もなかったことから、日本では関東地方を襲った雹(ひょう)のニュース等の陰に隠れてさほど注目されてはおりませんが、私はどちらの地震も太平洋プレートが関係しているということで、3年前のニュージーランドのカンタベリー地震とその半月(17日)後に発生した『東北地方太平洋沖地震』のことを思い出し、なんとも言えない不気味な感じがしています。私のこの危惧が杞憂に終わることを、心の底から願っています。
こんなことを書いておりますが、私は悪戯に世の中の不安感を煽りたいわけではまったくありません。ただ、私自身は地震の情報も扱っている気象情報会社の社長という立場上、いつ、なにが起きても対応できるように、“心の準備スイッチ”の“最大モード”をONにしましたよ…ということを皆様にお伝えしたいだけのことです。
「自然の脅威の来襲から、人々の生命と財産をお守りするための情報を出すことが本来の存在意義」である気象情報会社の社長を務めさせていただいていると、正直、心底、気が休まる時がありません。自然は24時間365日、活動を休めることがありませんからね。常に臨戦モードの中にいるつもりでいます。
で、“自然の脅威”のうち気象(お天気)に関する脅威については、ある程度前の時間から自然の脅威が襲ってくることが分かっているので、単純に「可能性あり」でもいいので来襲の予測が出た時に“心の準備スイッチ”の“最大モード”をONにすればいいのですが(ゲリラ豪雨と呼ばれる突然発生する局地的な集中豪雨や雷、竜巻であっても、予測技術の進歩により遅くとも10分くらい前までにはあらかた来襲が予測できています)、地震に関してはある日突然に、ほとんどなんの前触れもなく襲ってくるので厄介です。
様々な地震予知に関する研究が進んでいるらしいのですが、いまだ「これは絶対だ!」という予知技術は確立されていないようで、あてにはできません。甚大な被害をもたらすような海溝型の地震は大陸プレートの境界面で発生することが分かっていますし、その地震の発生メカニズムもある程度解明できてきているので、私は世界で起きる大きな地震の情報と大陸プレートとの関係に常に注目して見るようにしています。それで、自分の中で日本列島に関連する大陸プレートの動きに不気味さを感じることがあれば、自らの“心の準備スイッチ”の“最大モード”をONにするわけです。
とは言え、私も聖人ではないわけで、その“心の準備スイッチ”の“最大モード”をONにしっ放しで毎日を過ごすわけではありません。日々の忙しさに追われて、時間の経過とともに、“心の準備スイッチ”は“最大モード”から“最小モード”に徐々に(自動的に)切り替わっていきます。そして、またこうした事象が起きるたびに、再び“最大モード”スイッチをONに入れ直すようにしています。
このように地球は常に動いて変化を繰り返しています。地震が地球の表面を覆う大陸プレートと呼ばれる巨大な岩盤の動きと関係しているように、日本列島の大気に関する事象(気象)だって、地球が自転していることにより発生する偏西風の蛇行具合によって大きく影響を受けたり(と言うか、ほとんど決定づけられる)、エルニーニョ現象やラニーニャ現象という言葉で知られるように日本列島とは地球の裏側にある南米ペルー沖の海水の温度の影響を大きく受けたり…と、地球規模の大きな動きの中で捉える必要が出てきています。
政治や経済、文化等様々な分野で『グローバル化』という言葉が叫ばれている昨今ですが、このように気象の世界も例外ではありません。自分の極々身近で起きる事象のことばかりを見ていたのでは、大きな変化(リスク)を見逃すことにもなりかねません。常に『グローバル』の、すなわち地球規模の視点で捉える必要があります。
皆様におかれましても、日頃から地震をはじめとした“自然の脅威”の来襲に対して高い関心、それもグローバルの視点からの高い関心を持っていただき、様々な防災・減災のための準備を出来うる限り行っていただきたいな…と思っています。そして、弊社ハレックスは気象情報会社として、少しでもそのお手伝いができたらいいな…と心から願っています。
【追記】
弊社ハレックスは、単なるお天気予報(気象)を出す会社ではなく、気象庁様から気象、地象(地震動・火山活動等)、海象(波浪・海流等)の予報認可を受けた数少ない“総合気象情報会社”の1社です。
特に地象、「緊急地震速報」に関しては、そのサービスの信頼性に対して市場から高いご評価をいただいていて、在京民放キー局4社を含む全国50局以上の地上波テレビ放送局、BSテレビ放送局、ラジオ局をはじめ、幾つかの電力会社様や工場等に情報を提供させていただいております(^^)d
皆さんご存知のように、アリューシャン列島はアメリカのアラスカ半島からロシアのカムチャッカ半島にかけての北太平洋に約1.930kmにわたって弧状に連なる長い列島です。アリューシャン列島はフォックス諸島、フォー・マウンテンズ諸島など幾つかの諸島からなり、ラット諸島もその1つで、アリューシャン列島の西部に位置します。
ラット諸島の中で一番大きな島がキスカ島。現在は無人島になっていますが、太平洋戦争中の1942年6月、同じくアリューシャン列島のアッツ島(ニア諸島)と共に日本軍が攻略・占拠したことがあります。その後、圧倒的に物量に勝る米軍の猛攻と周辺海域を米海軍艦隊に包囲され、物資の補給が滞り、アッツ島は残念ながら玉砕、いっぽうキスカ島の守備隊は日本海軍の救援艦隊による奇跡的な救出作戦により無事に撤退ができたという歴史があります。
まぁ~、知る人ぞ知る…って感じではありますが、ラット諸島は日本人にとっても馴染みのあるところです。このラット諸島付近を震源とするマグニチュード8.0の巨大地震が発生したのです。
地球の表面は十数枚の厚さ100kmほどの巨大な岩盤で覆われていて、この巨大な岩盤のことを大陸プレートと呼びます。このアリューシャン列島の南にはアリューシャン海溝(最深7,679m)と呼ばれる東西に長い(全長3,400km)深い溝のような構造になった海底があり、ここでこの十数枚の大陸プレートのうち、太平洋プレートが北からの北アメリカプレートに潜り込むという接合面があります。
この大陸プレートの接合面では、海側のプレートと大陸側のプレートとが接する接合面(海溝)で、大陸側プレートの下に潜り込もうとする海側のプレートに引きずられてたわんだ大陸側のプレートが跳ね返って、蓄積されたエネルギーの瞬間的な放出により、しばしば巨大な地震が発生することがあります。これがいわゆる“海溝型地震”と呼ばれている地震です。
日本時間24日午前5時53分頃にラット諸島付近を震源として発生したマグニチュード8.0の巨大地震も、おそらくこの海溝型の地震と思われます。このアリューシャン列島付近では1946年と1957年、1965年にそれぞれマグニチュード8.1、マグニチュード8.6、マグニチュード8.7のアリューシャン地震と呼ばれる巨大地震が発生しており、また1964年にはマグニチュード9.2という超巨大な規模のアラスカ地震も発生しています。
また同じく昨日日本時間6月24日の午前4時19分頃には、南太平洋のケルマディック諸島付近を震源とするマグニチュード7.2の大きな地震がありました。
ケルマディック諸島はニュージーランド北島の北北東約1000kmに位置する火山諸島で諸島東方にはトンガ海溝に続くケルマディック海溝(最深で9,994m)が南北に連なっています。深い海溝があるということは、ここもインド・オーストラリアプレートと太平洋プレートという2つの大きな大陸プレートの境界があり、インド・オーストラリアプレートの下に太平洋プレートが潜り込む複雑な地形となっています。
このためこのあたりは大きな地震がたびたび発生するところであることで知られ、2011年7月にはこのケルマディック諸島沖でマグニチュード7.7の地震が発生しました。また、関連は不明ですが同年の2月と6月にはニュージランド南島でマグニチュード6規模の大きな地震が発生し、また、前年(2010年)の9月にはマグニチュード7規模の大きな地震が太平洋プレート内の活断層において発生しています。
特に2011年2月22日に発生したマグニチュード6.1の地震(カンタベリー地震)では、クライストチャーチにある大聖堂の塔が崩壊し、地元テレビ局カンタベリー・テレビ(CTV)の入ったビルも倒壊。同局の関係者やこのビルに入居していた語学学校の生徒・留学生らが巻き込まれ多数の死傷者が発生しました(死者185人)。また、観測史上最大規模の液状化現象が発生し、カンタベリー大学の調査では被害家屋は4万~5万棟。市内の多くの地域で停電や断水が発生しました。
上記の図をご覧いただくとお分かりいただけると思いますが、この太平洋プレートは日本列島のすぐ近くにも広がってきていて、日本列島は太平洋プレート、北アメリカプレート、ユーラシアプレート、フィリピン海プレートという4つの大きな大陸プレートが複雑に重なりあう接合面に位置しています。
2011年2月22日にニュージーランド南島で大きな地震が発生したという報道を目にした時、太平洋プレートが関係しているということで、弊社社長室の壁に貼ってある大陸プレートの絵を眺めながら、“連鎖”で日本列島周辺で大きな地震が発生しなければいいのだが…と私は強い危惧の念を覚えました。果たしてその危惧が現実のものになったのが、僅か半月(17日)後の2011年3月11日のことでした。
2011年3月11日14時46分18秒、牡鹿半島の東南東約130km付近の太平洋(三陸沖)の海底、深さ約24kmを震源として『東北地方太平洋沖地震』が発生しました。この地震は、太平洋プレートと北アメリカプレートの境界域(日本海溝(最深8,020m)付近)で発生した海溝型の地震でした。
震源域は岩手県沖から茨城県沖にかけての幅約200km、長さ約500km、およそ10万平方kmの広範囲にわたり(日本列島の陸地の総面積が約38万平方kmなので、日本列島の陸地の1/4以上の面積の海底が“動いた”ことになります)、地震の規模を示すマグニチュードは9.0。大正関東地震(1923年)の7.9や昭和三陸地震(1933年)の8.4をはるかに上回る日本観測史上最大規模の地震であるとともに、世界でもスマトラ島沖地震(2004年)以来の規模で、1900年以降でも4番目に大きな超巨大地震でした。
地震によって大規模な津波が発生し、最大で海岸から6kmも内陸まで浸水、岩手県三陸南部、宮城県、福島県浜通り北部では津波の高さが8m~9mに達し、明治三陸地震(1896年)の津波を上回る最大溯上高40.1m(岩手県大船渡市)を記録。震源域に近い東北地方の太平洋岸では、高い津波が甚大な被害をもたらしました。津波は関東地方の太平洋岸でも被害をもたらしたほか、環太平洋地域を中心に世界の海岸に達しました。また、宮城県北部で最大震度7、岩手県から千葉県にかけて震度6弱以上を観測するなど広範囲で強い揺れとなり、関東地方の埋立地で大規模な液状化現象が発生しました。
その超巨大な規模の『東北地方太平洋沖地震』がもたらした災害のことを『東日本大震災』と呼び、その被害の大きさについては皆さんの記憶に新しいかと思いますので、これ以上の説明は省きます。
昨日6月24日に北太平洋と南太平洋でほぼ同時に発生した2つの巨大地震。どちらも遠方で起きた地震であり、震源近くの島はほとんどが無人島で人的被害もほとんど出ていないこと、また、日本列島への津波の影響もなかったことから、日本では関東地方を襲った雹(ひょう)のニュース等の陰に隠れてさほど注目されてはおりませんが、私はどちらの地震も太平洋プレートが関係しているということで、3年前のニュージーランドのカンタベリー地震とその半月(17日)後に発生した『東北地方太平洋沖地震』のことを思い出し、なんとも言えない不気味な感じがしています。私のこの危惧が杞憂に終わることを、心の底から願っています。
こんなことを書いておりますが、私は悪戯に世の中の不安感を煽りたいわけではまったくありません。ただ、私自身は地震の情報も扱っている気象情報会社の社長という立場上、いつ、なにが起きても対応できるように、“心の準備スイッチ”の“最大モード”をONにしましたよ…ということを皆様にお伝えしたいだけのことです。
「自然の脅威の来襲から、人々の生命と財産をお守りするための情報を出すことが本来の存在意義」である気象情報会社の社長を務めさせていただいていると、正直、心底、気が休まる時がありません。自然は24時間365日、活動を休めることがありませんからね。常に臨戦モードの中にいるつもりでいます。
で、“自然の脅威”のうち気象(お天気)に関する脅威については、ある程度前の時間から自然の脅威が襲ってくることが分かっているので、単純に「可能性あり」でもいいので来襲の予測が出た時に“心の準備スイッチ”の“最大モード”をONにすればいいのですが(ゲリラ豪雨と呼ばれる突然発生する局地的な集中豪雨や雷、竜巻であっても、予測技術の進歩により遅くとも10分くらい前までにはあらかた来襲が予測できています)、地震に関してはある日突然に、ほとんどなんの前触れもなく襲ってくるので厄介です。
様々な地震予知に関する研究が進んでいるらしいのですが、いまだ「これは絶対だ!」という予知技術は確立されていないようで、あてにはできません。甚大な被害をもたらすような海溝型の地震は大陸プレートの境界面で発生することが分かっていますし、その地震の発生メカニズムもある程度解明できてきているので、私は世界で起きる大きな地震の情報と大陸プレートとの関係に常に注目して見るようにしています。それで、自分の中で日本列島に関連する大陸プレートの動きに不気味さを感じることがあれば、自らの“心の準備スイッチ”の“最大モード”をONにするわけです。
とは言え、私も聖人ではないわけで、その“心の準備スイッチ”の“最大モード”をONにしっ放しで毎日を過ごすわけではありません。日々の忙しさに追われて、時間の経過とともに、“心の準備スイッチ”は“最大モード”から“最小モード”に徐々に(自動的に)切り替わっていきます。そして、またこうした事象が起きるたびに、再び“最大モード”スイッチをONに入れ直すようにしています。
このように地球は常に動いて変化を繰り返しています。地震が地球の表面を覆う大陸プレートと呼ばれる巨大な岩盤の動きと関係しているように、日本列島の大気に関する事象(気象)だって、地球が自転していることにより発生する偏西風の蛇行具合によって大きく影響を受けたり(と言うか、ほとんど決定づけられる)、エルニーニョ現象やラニーニャ現象という言葉で知られるように日本列島とは地球の裏側にある南米ペルー沖の海水の温度の影響を大きく受けたり…と、地球規模の大きな動きの中で捉える必要が出てきています。
政治や経済、文化等様々な分野で『グローバル化』という言葉が叫ばれている昨今ですが、このように気象の世界も例外ではありません。自分の極々身近で起きる事象のことばかりを見ていたのでは、大きな変化(リスク)を見逃すことにもなりかねません。常に『グローバル』の、すなわち地球規模の視点で捉える必要があります。
皆様におかれましても、日頃から地震をはじめとした“自然の脅威”の来襲に対して高い関心、それもグローバルの視点からの高い関心を持っていただき、様々な防災・減災のための準備を出来うる限り行っていただきたいな…と思っています。そして、弊社ハレックスは気象情報会社として、少しでもそのお手伝いができたらいいな…と心から願っています。
【追記】
弊社ハレックスは、単なるお天気予報(気象)を出す会社ではなく、気象庁様から気象、地象(地震動・火山活動等)、海象(波浪・海流等)の予報認可を受けた数少ない“総合気象情報会社”の1社です。
特に地象、「緊急地震速報」に関しては、そのサービスの信頼性に対して市場から高いご評価をいただいていて、在京民放キー局4社を含む全国50局以上の地上波テレビ放送局、BSテレビ放送局、ラジオ局をはじめ、幾つかの電力会社様や工場等に情報を提供させていただいております(^^)d
執筆者
株式会社ハレックス
前代表取締役社長
越智正昭
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