2014/10/15

お仕事紀行:めんそ~れ沖縄編(その2)

翌10月6日(月)、心配した台風18号は中心気圧955ヘクトパスカルと依然強い勢力を保ったまま、午前9時頃、静岡県の浜松市あたりに上陸しました。そのまま関東地方を横断して通過しました。予想通り首都圏の電車は朝から運休したり本数を減らしたりして大混乱しているようです。

台風18号のことが気になって、この日は朝早く目覚めて、テレビをつけると、弊社ハレックスの社員、檜山クンがNHKの早朝のニュースに出ていて、台風18号の今後の進路等に関して詳しく説明していただきました。会社にいる時と同様、出張先でも社員にいろいろと教えてもらっている社長です(笑)

それにしても、早く起きてテレビを見ていたので、朝からいささか眠いです_(._.)_

いっぽう、こちら沖縄那覇地方は台風一過で晴れ上がり、真夏のような太陽か照りつけています。暑い1日になりそうです。

今回の出張は農林中央金庫系の投資ファンド「アグリビジネス投資育成株式会社」様からの依頼によるもので、JAおきなわ南風原(はえばる)支店で開催される「アグリ投資育成セミナー」で農業向け気象情報に関する講演を行うためでした。私の講演のテーマは

「気象ビッグデータの活用により農業を元気に!」

というもので、今年3月に同じく農林中央金庫四国支店様からの依頼で愛媛県松山市で行った講演と同じ題名にしました。今年3月に松山市で行った講演を聴いていただいた方からのご評価がなかなか良かったらしく、同じ内容で沖縄でも講演して欲しいとご依頼を受けたのでした。農林中央金庫様とアグリビジネス投資育成株式会社様としてはこうした投資育成をテーマにしたセミナーをやるのは初めての取り組みなんだそうで、今後全国で同様のセミナーを開催していく予定なんだとか。その第1回目の講師ということで、責任重大でした(^^;

弊社独自の1kmメッシュ天気予報「HalewDream!」を活用した農業向け気象情報提供は、弊社が力を入れている分野であり、愛媛県のIT企業や農業法人等と連携したITによる農業活性化プロジェクト『坂の上のクラウドコンソーシアム』の取り組みの全国展開のために有効だと判断したこともあり、簡単にお引き受けをしたのですが、実は引き受けてからが大変ではありました。

沖縄県での講演ということで、沖縄県の気象や気候の情報や、沖縄県の農業の実態を事前に調べてみたのですが、特に沖縄県の農業の実態が本土とあまりにも違いすぎるので、いったいどこにポイントを置いてお話しすればいいのか、正直なところ、まったくと言っていいほど掴めませんでした。

まず気象条件が大きく異なります。沖縄県は北緯24度から27度に位置する亜熱帯気候。サトウキビやパイナップル、マンゴー等の熱帯農作物の生産が可能で、本土よりも早い時期に野菜等の出荷が可能という利点はありますが、その一方で、台風の被害を受けやすい、熱帯地域からの輸入品と競合する等の課題も抱えています。

地理的条件も厳しく、多くの島から成り立っていて、離島が多い(沖縄県の陸地の面積は極々狭いものですが、多くの離島があり、海の部分を含めた県域全体で考えると、九州に中国、四国、関西地方を加えたくらいの面積に匹敵するくらいの面積を持っています)。また、輸送手段が限られていて、輸送コストが多くかかり、生産資材の価格も高くなる。さらには、大消費地(首都圏、関西圏)から遠く離れていて、生産物の販売には圧倒的に不利です。

さらに、気象と並ぶ自然環境である土壌に関しても、亜熱帯気候であるため有機物の分解が早く、一般的に土壌有機物の含有量が少ないとか、そのために保水性が悪く、台風等の豪雨により土壌流出が起きやすいといった問題があります。また、大きな水源や水瓶(貯水池)がないため、冬・春には水が不足し、干ばつの被害を受けやすいという問題も抱えています。

農業就業者の高齢化が急速に進行していて、農業の就業人口も減少の一途を辿っていて、農業就業者の数は平成12年当時と比較しても2/3に減少しています。国内外との産地間競争も激化してきており、農業産出額は減少の一途を辿っています。

産出している作物も本土とは大違い。コメは今やほとんど生産しておらず、沖縄で消費されるコメは、ほとんどが本土から持ち込まれてきたもの。沖縄と言えばザワワ~ザワワ~♪のサトウキビのイメージがありますが、今や砂糖の原料としての生産量は減少の一途を辿っていて、生産されているサトウキビの多くも家畜の飼料用としてのものが多くを占めています。沖縄県全体の農業の産出額としては豚や牛、鶏といった家畜の畜産が半分以上を占め、畜産が主体の県ということができます。

こうした中で気象情報を農業の中でどのように活用していけばいいのか…、まったく明確なイメージが掴めないまま講演に臨んだというのが、正直なところでした。

セミナーは午後からの開催だったので、途中、首里にあるとぉ~っても雰囲気のいい(いかにも沖縄らしい)沖縄ソバのお店で腹ごしらえ。会場であるJAおきなわ南風原支店に向かいました。

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今回のセミナーはアグリビジネス投資育成株式会社様と農林中央金庫様主催、沖縄県農業共同組合、沖縄県農業会議、沖縄県農業法人協会共催によるものでした。会場のJAおきなわ南風原支店は沖縄県の県都・那覇市の隣接する南風原町にあります。那覇からは首里城で有名な首里を通り過ぎて、クルマで30分くらいのところです。JAおきなわ南風原支店は“支店”とは言うものの、なかなか立派な建物で、なかに講演会が開催できる広いホールがあります。

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沖縄県農業共同組合、沖縄県農業会議、沖縄県農業法人協会共催ということで、まだまだ農閑期というわけでもないのに、お忙しい中、聴きに来ていただいた方は農業法人関係者が49名、個人農家さんが4名、県の農業改良普及センターや農業協同組合の農家経営支援センターの方々といった関係団体の方々が20名、農林中央金庫や農業協同組合の農業金融部といった事務局の方々が20名…と、なんとなんと100名近く。それに沖縄の地元紙・琉球新報の記者さんの姿もありました。

私が想像していた以上に大々的なセミナーでした。そのくらい沖縄の農業関係者の皆様は「今のままではダメだ。なんとかしないといけない」という意識の高い方が多いということなのでしょう。

講師は私の他にもう1人。農業経営コンサルタントや税理士として、全国農業経営コンサルタント協会専務理事や日本農業法人協会顧問税理士等として活躍中の森 剛一さん(アグリビジネス・ソリューションズ株式会社代表取締役)。森さんは農業経営に関する多数の著書も出版されていて、農業経営のスペシャリストとして高い評価を受けていらっしゃる方です。森さんの講演の題名は「農業法人経営の税務上の留意点」というもので、農業法人化するメリットについての極めて実務的な内容でした。森さんは前日に那覇で購入したという「かりゆしウェア」を着ての講演。やられたぁ~っ!(*_*)

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農林中央金庫 農林水産環境統括部の山田部長と、アグリビジネス投資育成株式会社の北原代表執行役が主催者として開会のご挨拶をなされ、まずは農業経営コンサルタントの森さんが先に登檀。60分間のご講演をなさいました。続いて私。

前述のように、沖縄のプロの農業従事者の方々を前に講演をして、果たして聴いていただいた方々に参考になる話をできるかどうか、やる前ははなはだ自信がなかったのですが、やってみると、思いの外、反応がよかったような感じになったので、これは本当に嬉しかったです。いろいろ悩んだ甲斐はありました。ウンウンと頷きながら聴いていただいている方がいらっしゃったり、熱心にメモを採りながら聴いていただいている方がいらっしゃったり…。

最後に、弊社も参画している愛媛県の「坂の上のクラウドコンソーシアム」の取り組みをご紹介し、この愛媛県で作っている仕組みをベースにして、沖縄県でも同様の取り組みをなさってはどうか…と提案をしたところ、なかなか良い反応が得られ、かなりの手応えを感じました。これは大いに自信に繋がりました。

講演後に参加者全員による「交流会」があったのですが、なかには「沖縄の農業の実態をよく把握されていらっしゃいますね」と言っていただいた方もいらっしゃいました。講演の中で私が述べさせていただいた沖縄の気象の地域特性に関する説明の部分も、私が思っていた以上にウケました。地元の農業従事者の方々にとって、日頃当たり前のように接していることを今更ながら説明しても…と、やる前には思っていたのですが、当たり前すぎるのか、皆さん、意外と理解していらっしゃらないんですね。沖縄の気候には、亜熱帯季候である以上に、“熱しにくく冷めにくい”液体(海水)に周囲を囲まれた海洋性気候の特徴(1日、さらには1年を通しての温度差が小さい)があり、海水の温度が支配的である…とする説明をさせていただいたところ、目からウロコだ…という感想を言っていただいた方が多くいらっしゃいました。交流会では多くの沖縄県の農業関係者の方々と意見交換をすることができ、私としても大いに参考になりました。

私は80分間の講演時間だったのですが、ピッタリに収めることもできて、なんとか大役をお引き受けした責任を果たすことができたかな?…と思っています。でもまぁ~、聴いていただいた方々からのアンケート結果がひじょうに気になるところではありますが…。

沖縄でこのような機会を設けていただいたアグリビジネス投資育成株式会社様と農林中央金庫様に大変感謝いたします。

交流会終了後は那覇市内に戻って、事務局を務めていただいた農林中央金庫那覇支店の方々との懇親会。そこでも沖縄の農業に関する様々な話が聞けて、大いに参考になりました。

その懇親会は琉球民謡の生演奏が聴けるお店で開かれたのですが、やっぱ琉球民謡は素敵です(^^)d 我々がヤマトンチュー(本土の人間)ばかりだったので、「安里屋ユンタ」「てぃんさぐぬ花」、「ハイサイおじさん」、「芭蕉布」といったヤマトンチューでも知ってるような沖縄の代表的な民謡ばかりを演奏していただいたのですが、一言で言って、素晴らしい!

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「琉球音楽の音階はレとラの音のない独特の音階だが、これはインドネシアのガムラン音楽の音階と同じで、その影響を受けています。楽器は中国。カチャーシーに代表される踊りはカンボジアやミャンマー、心情を素直に歌詞に込める文化は日本…。それらがごちゃ混ぜになったチャンプル音楽が琉球音楽」とは琉球民謡の生演奏をしていただいた方の言葉です。なるほどぉ~。私も三線を習っちゃおうかなぁ~…、「島人ぬ宝」(ご存知、BEGINの名曲)や「花 ~すべての人の心に花を~」(喜名昌吉さんの名作)あたりが三線の弾き語りで歌えるようになれば超カッコイイだろうなぁ~…って思っちゃいました(*^^*)

執筆者

株式会社ハレックス前代表取締役社長 越智正昭

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