2015/04/10

“鉄”の原点(その3)

次に引っ越して移り住んだのが讃岐うどんと骨付き鳥のメッカ香川県の丸亀市(団扇の産地でもあります)。ここで中学・高校時代を過ごすことになるのですが、なんと言っても香川県と言えば高松琴平電鉄(琴電:コトデン)。当時の琴電は(今もそんな感じのところがありますが…)電車の博物館と言われるほど古い電車の宝庫で、首都圏の京浜急行電鉄や関西の阪神電鉄をはじめ全国各地の私鉄から払い下げられた旧式の車両が数多く走っていました。丸亀にもかつて坂出~琴平間を結んでいた琴平参宮電鉄という私鉄が路面電車を走らせていたのですが、私が引っ越して行った時には既に廃止されていて、琴平参宮電鉄はバス会社に姿を変えていました。なので、琴電でした。

琴電はJR(当時は国鉄)高松駅前にある高松築港駅を起点に、琴平、志度、長尾という3方向に路線を延ばしていて、それぞれの路線に別々の趣があるので、乗り比べをするだけで面白かったです。鉄道マニア的には琴平線の仏生山にある車庫。車両修理工場もあるこの仏生山車庫には前述の古い電車が幾つも並んでいて、見ていて飽きませんでした。


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そうそう、高松と言えばJR(当時は国鉄)の高松駅。櫛形にプラットホームと線路が並ぶ頭端式の終着駅で、ここを起点として愛媛県の松山(宇和島)、高知県の高知(窪川、中村)、徳島県の徳島(阿南・牟岐)といった四国の各方面に線路が延びています(瀬戸大橋が開通した以降は、これに岡山方面という線路が加わります)。この3方向に向かう列車がほぼ相前後して出ていく様は、見ていて興奮しちゃいました。

それと、忘れてならないのが宇高連絡船。瀬戸大橋がまだまだ開通する以前、四国と本州の間は線路で結ばれておらず、その代わりに、国鉄が運航する宇高連絡船と呼ばれる鉄道連絡船がこの高松駅と岡山県の宇野駅との間を所要時間約1時間で結んでいました。この宇高連絡船も大変に刺激的な乗り物で、時々これに乗っては秘かに本州の地に(と言っても、宇野トンボ返りですが…)足を踏み入れていました。

高校を卒業して進んだ大学は広島にありました。当時、新幹線は岡山駅までしか伸びておらず、宇高連絡船を降りて、宇野線に乗り換え、岡山に着いた私は神戸や大阪、京都、東京方面に行く同級生達と別れて、1人在来線(山陽本線)のプラットホームに下りて、広島、下関、九州方面行きの急行電車(急行安芸や玄海など)に乗り換えて瀬戸内海を挟んで反対側の山陽路を西へと“下って”いきました。


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で、この広島の地も鉄チャンにとってのパラダイスのようなところでした(^^)d

広島は現在でも日本最大の路面電車の街で、市内を広島電鉄(ヒロデン)の路面電車が縦横に走り、中には土佐電鉄安芸線のようにそのまま郊外線に乗り入れて世界遺産・安芸の宮島まで行く電車も走っています(安芸繋がり…なのでしょうか?)。


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国鉄(現在のJR西日本)でも、当時、東海道本線や山陽本線の岡山以東からはほとんど姿を消したボンネットの突き出た181系特急電車や165系急行電車などが頻繁に行き交っていました。普通電車も首都圏から都落ちしてきた70系や80系といった古い電車。広島から中国山地の奥深く、北へ向かって延びる可部線(横川~可部間の電化区間)には戦前生まれの旧型国電72系が鶯色にオレンジのラインという、少々ダサい色調で最後のお勤めに励んでいました。


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広島市に程近い山陽本線の瀬野駅~八本松駅間にはマニアの間で“セノハチ”と呼ばれる22.6パーミルという日本有数の急勾配区間があり、貨物列車が単独で登るのは難しいため、瀬野~八本松間で専用の後部補機(当時は前後にデッキが突き出た古式蒼然としたEF59形電気機関車)を連結していました。(ちなみにパーミルとは坂の勾配の程度を表す数値で、水平方向に1,000m進むと20m上がる(または下がる)坂道の勾配は20パーミルと言います。)


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かつては客車列車も本務機がEF58型電気機関車世代の頃まではこの補機の支援が必要で、特急列車では時間節約のために後部補機を走行中に開放(切り離す)する姿が長い間見られました。この走行開放は貨物列車でも行なわれていましたが、現在は安全性重視のため最寄の停車拠点(広島貨物ターミナル駅/西条駅)での解結に改められています。

軽便鉄道と呼ばれる線路幅が762ミリしかない遊園地の遊具設備のような鉄道にハマったのもこの大学時代で、いまだ現役だった岡山県の下津井電鉄や、廃止されてしまっていた井笠鉄道の廃線跡巡りをよくやったものです。


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執筆者

株式会社ハレックス前代表取締役社長 越智正昭

株式会社ハレックス
前代表取締役社長

越智正昭

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