2015/09/30

北のカナリアたちに逢いに最北限の島へ(その3)

2日目(9月6日)、ハレックス山の会の連中5人は利尻山(利尻富士)の登頂にアタックです。私はベースキャンプ要員として、彼等を二合目あたりにある利尻北麓野営場の登山口までレンタカーでピストン輸送しないといけないため、午前3時半に起きました。眠気覚ましに顔を洗いに外の水飲み場に行ったのですが、あまりの寒さに身震いしちゃいました。気温はおそらく5℃あたりまで下がっていたのではないでしょうか。吐く息が白くなっていました。見上げると南東の方角の空にはオリオン座をはじめとした冬の星座が瞬いていました。夜空にはちょっと雲が多くなってきています。

午前4時少し前、第1陣の2名を登山口まで搬送。軽自動車のTANTOでは運転手である私を含め4人が乗るのが限界なので2往復になります。先ほど、夜空に雲が多くなったと書きましたが、第1陣が出発する直前から空一面を雲が覆い、小雨がぱらつき始めました。あれあれ…。HalexDream!(降水ナウキャスト情報)で確認すると、ちょうど小さな雨雲が利尻島にかかっていて、その雨のようです。幸い、この雨雲は登山を開始する午前5時過ぎには利尻島を通過し、西から東に抜けていくようで、その後の天気は良好のようなのです。風も弱く、絶好の登山日和になりそうです。ただ、山頂付近は午後2時~3時が晴れになっているほかは曇りマーク。特に計画によると山の会の連中が山頂に着く午前10時頃は、雪(ミゾレ)になっています。マジか!?

山の会の連中5人のうち、私がレンタカーで登山口まで搬送したのは馬場クンを除いた4人。馬場クンは、せっかくだから海抜0メートルから1,721メートルの山頂(正しくは1,719メートルの北峰山頂)までをすべて自力で歩いて踏破するのだということで、午前3時になる前に1人で一旦海のほうまで行ったそうです。その趣旨から登山口までも歩いて行くのだそうで、午前5時に登山口で他の4人とは落ち合う予定でいるのだとか。おやおやおや…と思ったのですが、まぁ~気持ちが分からないでもないですね。

山は通常、五合目や六合目といったところに登山口があり、その登山口までは道路が整備されていて、登山者はバスなどの交通機関でその登山口まで行き、そこから登頂を開始するわけで、いくら3千メートルの山と言っても、実際に登るのはその半分の1,500メートル程度に過ぎません。日本最高峰、標高3,776メートルの富士山だって、一般的に使われる登山口である富士宮口の標高は2,400メートル、吉田口は2,305メートル、御殿場口は1,440メートル、須走口で2,000メートルです。御殿場口から山頂まで登ると標高差は2千メートル以上ありますが、それ以外はせいぜい1,500メートルあるかないかの標高差です。なので、海抜0メートルから1,721メートルの山頂まで、一気に登ることができる利尻山(利尻富士)は山が好きな人にとっては特別な山のようで、馬場クンがせっかくだからその“完全征服”に挑もうという気持ちも分からないでもないです。

ちなみに、登山口である三合目の利尻北麓野営場の標高は210メートル。利尻山山頂の標高は1,721メートルなので、その標高差は1,521メートルもあります。一般的な所要時間は登り6時間程度、下り4時間程度というので、かなり経験を積んだ登山者でないと登頂は難しい山です。実際、ハレックス山の会の連中も、利尻山を今シーズンのメイン登山のターゲットに選び、それに向けてこれまでいろいろと準備をしてきたようです。先月(8月)には“訓練登山(?)”として富士山に登ってきたのだとか。訓練登山として富士山に登ってくるというのも驚いてしまいますが、それだけ標高差1,500メートル以上を一気に登るというのは難しいということなんでしょう。

利尻山(りしりざん)は北海道、利尻島に位置する独立峰で標高は1,721m。利尻町、利尻富士町の2町にまたがる成層火山で、利尻礼文サロベツ国立公園内の山域は特別区域に指定され、日本百名山、新日本百名山、花の百名山及び新・花の百名山に選定されている山容をはじめ、自然美が美しい山です。国土地理院で付けられている正式名称は利尻山(りしりざん)ですが、「利尻岳」、「利尻富士」、「利尻火山」とも呼ばれています。特に、富士山と同じ独立峰の成層火山であるため、円錐形をした山の形が美しく、「利尻富士」と呼ばれることが一般的です。緯度の高いところにあるため森林限界が三合目付近と低いところにあり、高度の低いところから高山植物が生息し、夏季は多くの登山客が訪れます。

利尻山は成層火山ということを書きましたが、利尻山は気象庁が「概ね過去1万年以内に噴火した火山、及び現在活発な噴気活動のある火山」、すなわち活火山と定義して選定した全国110の火山のうちの一つで、日本列島で最も北に位置する活火山です(火山噴火予知連絡会によって「火山防災のために監視・観測体制の充実等の必要がある火山」として選定された47の火山には含まれておりません)。約20万年前から活動を行い、約4万年前頃には現在の形に近い山形となったとされています。南山麓で8千~2千年前以前に起きた噴火でマールやスコリア丘を形成して以降、活動を休止し、現在のところ火山活動を示す兆候はありません。活動を休止してからの期間が長いため、山頂部を中心に侵食が著しく進み、火口などの顕著な火山地形は失われています。

頂上は北峰(1,719m)と南峰(1,721m)に分かれているが、最高峰である南峰への道は崩壊が進み危険なため、一般登山者は北峰を頂上とみなし、そこへの登頂を目指します。ハレックス山の会の連中も、この利尻山北峰への登頂を目指しました。ちなみに、晴れた日には、山頂からは利尻島のほとんど全域と、礼文島、道央・道北の山々や、遠く樺太(サハリン)や樺太の南東に位置する海馬島(モネロン島)などが見えるのだそうです。それを聞くだけで、雄大な景色が思い浮かびます。果たして山の会の連中はその山頂からの雄大な景色を拝むことができるのでしょうか?

登山道は利尻富士町鴛泊の利尻北麓野営場(二合目)より登る鴛泊コース、利尻町沓形の見返台園地(五合目)より登る沓形コース、利尻富士町鬼脇の林道より登る鬼脇コースの3つのコースがあり、鴛泊コースは最も多くの登山者が利用するコースで、登山道の最初には名水百選に指定されている甘露泉水の湧水もありルートも整備されています。今回、山の会の連中が登ったのも、この鴛泊コースでした。ちなみに、沓形コースは五合目まで車で登れるため距離は短いのですが、背負子投げの難所や崩落地をトラバースする親不知子不知などがあるためかなりの上級者向けと言え、また、鬼脇コースは崩落が激しいため、七合目以上が現在立入禁止となっています。ハレックス山の会の連中が行くことになっている鴛泊コースも、それなりに整備されているとは言え、ベースキャンプとなったキャンプ場には崩落個所が幾つかあるということで、注意の呼びかけが張り出されていました。

ベースキャンプであるキャンプ場は海抜50メートル付近にあり、そこから標高210メートルの二合目の登山口まではクルマで15分ほどかかります。道は多少曲がりくねって勾配を緩やかにしてはいるものの、ほぼまっすぐにエゾマツをはじめとした木々が生い茂る間の林道を登っていく感じです。さすがに4人が乗車した排気量660ccの軽自動車TANTOではアクセルをベタ踏みにしないと登っていきません。道の両側を、馬場クン同様、歩いてひとまず登山口を目指す登山者が何人も歩いています。そう言えば、ベースキャンプのキャンプ場でテントを張って一晩過ごした登山者と思しき方々も、私達がクルマで出発した午前4時にはあらかた登山口を目指して出発していました。途中で馬場クンに逢えるかなと思っていたのですが、私達(第1陣)が登山口に着く直前に、先に登山口まで辿り着いていたようで、登山口のあたりで笑顔で迎えてくれました。登山口には団体を含む30名ほどの登山客が、出発に向けて待機しています。おそらく雨が止むのを待っているのでしょう。雨は降水ナウキャスト情報による予報のとおり、徐々に小降りになってきています。

第1陣を登山口まで送り届けた後、第2陣を迎えにベースキャンプを目指して下っていきました。登る時にアクセルをベタ踏みする必要のあった道ですので、下る時にはシフトレバーを2(セカンド)にして、ほぼエンジンブレーキとフットブレーキだけで、下っていくことができました。かなり急激な坂道です。

第2陣には妻も同乗。登山口で皆さんの出発をお見送りするのだとか。昨日のバーベキューパーティー等を通して、すっかり皆さんと馴染んだようです。第2陣も無事に登山口まで送り届けたちょうどその頃、それまで降っていた雨もあがり、霧もはれて、青空も覗いてきました。登山口で雨があがるのを待っていた登山客が次々と出発していきます。山の会の連中も予定した午前5時に山頂を目指して登山口を出発していきました。

私は登っていないので、ここから先の利尻山登山の様子は、別途、ハレックス山の会の皆さんに報告してもらうことにします。

ちなみに、9月6日18時の全雲量と雨量のデータ画像を以下に示します。この日は台風17号と18号という2つの台風が日本列島に接近している関係で、利尻島と礼文島を除き、日本列島は全国的に雲がかかり、雨模様でした。と言うことで、私の「晴れ男」伝説は、ここでも健在でした。ちなみに、山の会の津田社員も「晴れ女」なのだそうで、このハレックス社の“移動性高気圧”2名が揃ったので、さすがに“無敵”って感じでした(笑)。

全雲量の図

降水図

執筆者

株式会社ハレックス前代表取締役社長 越智正昭

株式会社ハレックス
前代表取締役社長

越智正昭

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