2014/09/29

御嶽山噴火を捕えた気象レーダー

平成26年(2014年)9月27日昼前、長野県と岐阜県の県境にある御嶽山が噴火した。ちょうど山頂付近は紅葉のシーズンを迎えており、週末の土曜日であったこともあり、多くの登山客が山に入っていたため、被害が大きくなってしまった。日本には多くの火山があるが、活発な火山活動を繰り返すような危険な山は少なく、逆に火山が作り出した景観に魅せられて多くの観光客が、火口近くまで入っている山が多いのが実態である。御嶽山も数多くの登山客を招き入れる魅力ある山であったための惨事と言える。
御嶽山は、過去の噴火を科学的に捕えた噴火は1事例しかなく、噴火予知のための資料はほとんどない状況であった。また、予測が難しいとされる水蒸気噴火であったこともあり、噴火予知はできなかった。現状ではどうしようもないことであるが、それぞれの火山の特徴を知り、怖さを知っておくことが必要である。最近はハザードマップの作成されている火山も多くなっているので、これらも是非参考にしていただきたい。

御嶽山噴火時のレーダーエコー動画
ところで、 今回の御嶽山の噴火活動について、レーダーや衛星で何か捉えていたか調べてみた。気象庁HPに掲載しているレーダー画像を使って、噴火が始まった12時前から15時までの5分刻みのエコーを動画にしてみた。当日は中部地方では雨が降るような条件でなかったが、噴火の後、御嶽山付近に小さいエコーが見られた。噴火により水蒸気と噴石、火山灰が上空へ運ばれ、これがレーダーに写し出されたものである。その範囲は狭く、特に中心部は強いエコーが出たり出なかったりしており、噴火が強弱を繰り返していたことがわかる。
また、エコーがわずかに東へ広がった時間もあり、噴出した火山灰が上空の風に流されていることを示していた。


火山の観測には気象衛星も活用されている。今回の噴火につて気象庁HPに掲載されている可視画像でその様子が見られたか調べてみたが、この日の中部地方は概ね晴れていたが、北アルプス、中央アルプスなどの山岳部では、山頂部分に雲が発生しており雲と噴煙との区別は出来なかった。解像度の高い画像で見ればその違いも識別できるかも知れないが、一般のものが見ている画像では無理であった。しかし、画像の濃淡や明暗の階調を調整したところ、かすかに噴煙が流される様子が見えたような気になった。それほど微妙であるが、注意深く追って見ると、わずかに東に線状に広がる薄いものが見られた。この先に、降灰があったとのニュースがあった山梨県がある。図には御嶽山の位置を黄色の円で囲んで、東に広がった噴煙の流れと思われる薄い灰色の筋を赤色枠で囲んでみた。そんな様子が見られると思って見て欲しい。各の中心よりやや下に次第に東に広がっている。14時00分の画像でわずかに東へ延び始め、14時30分、15時00分と東へ広がっている。枠の南に延びる雲の列が2つあるが東から南アルプス、中央アルプスの山頂部分を覆っている雲で、噴煙はその北の端の部分を東に伸びている。

御嶽山噴火を捕えた気象レーダー


まだ、噴火活動は続いている。こんな中で警察、消防、自衛隊関係の方々の救出活動が続いているが、この方々を危険にさらすことの無いよう、監視もしっかりとしていただきたい。また、今回の噴火で山体に積もった火山灰は、まとまった雨が降ると泥流となって山体を流下する恐れがある。最新の天気予報によると、しばらく雨は予想されていないが、山の天気は変わりやすいので、天気予報をはじめ気象情報にも十分注意していただきたい。

執筆者

気象庁OB 市澤成介

気象庁OB
市澤成介

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