2014/10/24

中国瀋陽付近に現れた黒い雲

10月17日早朝の気象衛星ひまわり7号の赤外画像を見ると、中国の渤海湾北岸から瀋陽方向に帯状に黒いものが見えた。
最低気圧870hPa
この日の朝4時~9時までの赤外画像を動画にしてみると、この帯状の物体は北の方向に少し広がりを見せている。しかし、8時の画像では周囲との濃淡が薄くなり、9時の画像では見えなくなった。この黒い物体が消えてしまったのかと、今度は可視画像を見ることにした。残念ながら可視画像は太陽光の反射を観測しているので、夜明けまでは観測できない。秋分を過ぎたこの時期では次第に夜明けが遅れ、8時30分の画像でやっと渤海周辺が見えるようになり、夜明け前まで帯状に広がっていた黒いものの部分にぼんやりした白い雲が見えた。9時の画像ではもう少しはっきりと見えるようになった。この夜明け前まで、見えていた黒いものは背の低い雲であった。
中国瀋陽付近に現れた黑い雲

赤外画像は地球表面の温度を測定しているので、雲があれば雲の頂上部分の温度を捉えており、雲が無ければ、地表面や海面の温度を捉えることになる。一般的に雲の出る高さでの地球大気は上空ほど低温となる。このため、上層の雲は低く、画像では白く見え、低い雲は地表に近いので上層雲に比べると暗く写る。地表面の温度は太陽が射している時間帯では温度が高くなり、夜間になると低温となるため、赤外画像で見ると、昼間は黒く、夜になると白くなる日変化を捉える。海面の日変化は小さいので、陸地部分と海洋部分では、温度分布が逆転することもこの画像で見られる。この日の0時と12時の画像を並べてみる。周りが海に囲まれている朝鮮半島の部分を見ると、はっきり日中は大陸側が黒く、夜間は海洋側が黒くなっている様子が見える。この温度分布の変化が海陸風を生んでいるのである。

今回、中国東北区に見られた黒い雲は、夜明け前、地表面が冷やされ、地表に接地している大気も冷やされ、接地面よりやや高い所と気温が逆転する現象が起こったため、この接地層よりやや高い部分の広がった霧か層雲の温度が地表面の温度より高くなったため、周囲より黒く見えたものである。しかし、朝日が射し始めると地表面温度が上昇したことで、この逆転現象が解消され、9時には見えなくなったものである。

中国瀋陽付近に現れた黑い雲_2

執筆者

気象庁OB 市澤成介

気象庁OB
市澤成介

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