2015/05/29

口永良部島の噴火を捉えたレーダー画像

鹿児島の口永良部島新岳が、29日09時59分に爆発的噴火が発生した。この様子は、監視カメラの映像がテレビ等で流されている。

ここでは、この噴火の様子を捉えたレーダー画像を速報的に紹介する。
気象庁HPに掲載された高解像度ナウキャストでは、この噴火による噴煙の広がりが観測されていた。爆発的噴火は9時59であるが、その1分後の観測では、まだ噴煙の広がりは観測されていない。しかし、10時5分の観測では、島の南部に中心部に強い強度のエコーとその周りに円形をしたエコーが見られる。加えて、西側に弱いエコーが流されているように見える。これは、噴煙が東よりの風に流されているようで、10分後には西海上への広がりがはっきり見られた。一方、10分の画像では東南東方向にも広がりが見られる。こちらの広がりは高い層の風に流されたものと見られる。この時間でも、噴煙の中心付近には強いエコーが確認でき、噴火が続いていると見られる。
しかし、10時15分の画像では、中心部の強いエコーは無くなっており、噴火は一端収まっているように見える。噴煙の拡散の方向は南東方向で、その後、次第に薄くなっていく様子が見えている。25分には島から離れて、10時30分の画像では見えなくなっていた。薄くなっているのは火山灰の拡散と落下したことによると見られる。

口永良部島噴火を捉えたレーダー


この火山灰を流した風の様子を見るために屋久島のウインドプロファイラの観測資料で見た。ウインドプロファイラは、電波を使って、上空の風を連続的に観測できる装置である。これによると、噴火時の10時には高さ1kmで東風6m/sの風で、この東風は1.5kmまでであった。その上の2kmの高さでは北北西の風3m/sにかわり、3kmの高さで西北西の風8m/s、4kmの高さで西北西の風9m/sとなっていた。これより高い層の風は得られていないが、天気図を見ると9km付近では北西の風が吹いていた。

気象庁が発表した火山観測情報では、噴煙は火口縁上9000メートル以上までに達したとしており、1.5km程度までの下層では噴煙は西に流されたが、その上は東南東から南東に流されたと見て良いだろう。

火山噴火を捉えるには、気象衛星画像も活用するが、レーダーで見られたように、短い時間に噴煙の量が減少しているため、気象庁HPの画像では確認できなかったが、今年7月7日に運用を開始する「ひまわり8号」であれば、解像度が倍となり、観測間隔は2.5分間隔となって、今回紹介した高解像度のレーダー画像より短い時間変化を捉えることができるので、この噴火の詳細な変化を捉えていたと思う。今はまだ、試験観測中であるが、サンプル画像の一つとして、是非公開して頂きたい。


【追記】

気象庁がさっそくひまわり8号の画像を公開しました。10分間隔の観測画像です。
http://www.jma-net.go.jp/sat/data/web89/himawari8_sample_data.html

屋久島の上を通って噴煙が東へ流されていく様子が判ります。
カラー画像ですから灰色の噴煙は雲と識別できます。