2015/12/22
日本スーパーバンタム級チャンピョン、いっしもとぉ~やっすたかぁ~!
12月21日(月)に行われたプロボクシング、日本スーパーバンタム級王座決定戦で、私が応援している石本康隆選手(香川県高松市出身)がやってくれました! 日本タイトルのチャンピョンベルトを獲得してくれました!
よくやった、石本! おめでとう、康隆!(*^▽^)/★*☆♪
前チャンピョン小國以載選手(角海老宝石ジム)が世界タイトル挑戦のためにタイトルを返上したことによって空位となった日本スーパーバンタム級王座決定戦が、昨日(12月21日)、東京の後楽園ホールで行われました☆(゜o(○=(゜ο゜)o
赤コーナーは同級1位の久我勇作選手(ワタナベジム)、25歳。久我選手は25歳の若さながらも、幾多のハードマッチメイクを勝ち抜いてきた生粋の叩き上げのボクサーです。死のグループと呼ばれた2013年のB級トーナメントで優勝&MVP獲得。続くA級トーナメントも制する等、勝負どころでの爆発力と決定力の高さからMR.トーナメントと評される若手の成長頭です。これまで13戦して11勝(7KO)1敗1分け。11勝のうち7勝がKO勝ちという数字が久我選手のハードパンチャーぶりが窺えます。着実に勝利を重ね、14戦目にして、トップランカー(ランキング1位)に昇りつめ、この試合が初のタイトルマッチでした。
対する青コーナーは、この試合が35戦目となる同級2位の石本康隆選手(帝拳ジム)、34歳。石本選手は名門の帝拳ジムの中にあって決して輝く存在ではないものの、勝ち負けを繰り返しながら苦労人と言うべきキャリアを積み重ねてきた選手です。初のタイトル挑戦は2012年に遡ります。最強後楽園を勝ち上がって臨んだのは、当時連続5回防衛中で天下無双状態の芹江匡晋選手(伴流ジム)。しかし、初のタイトル挑戦という雰囲気に飲み込まれ、芹江選手のフィジカルの前に惜敗。
一時は引退も示唆したのですが、その後大きな転機が訪れます。2013年4月6日、元世界チャンピオンのウィルフレド・パスケスJr.選手(プエルトリコ)からダウンを奪い、判定により勝利し、数ある地域タイトルの中でも由緒正しいWBO世界スーパーバンタム級インターナショナルのチャンピオンベルトを獲得するというマカオの奇跡を巻き起こし、石本選手は一躍全世界から脚光を浴びることになります。私が石本選手と知り合ったのがちょうどその頃のことで、東京日比谷の東京會舘で行われた東京香川県人会の場で偶然同じテーブルの隣同士の席に座ったのが最初でした。その時、とてもプロボクサー、しかもWBO世界スーパーバンタム級インターナショナルチャンピオンとは思えない石本康隆選手の礼儀正しさと人柄の良さに惹かれ、それ以来、彼を応戦することにしたのでした。
その後、2014年5月31日、マカオで行われたIBF世界スーパーバンタム級王者への挑戦権を賭けたクリス・アバロス選手(米国)との一戦に8ラウンドTKOで敗れ、もうちょっとで手が届くところまで来ていた世界タイトルマッチを逃してしまいました。マカオまで応援に行った人の話を聞くと、1ラウンドでいきなりダウンを奪われたり、圧倒的な実力差を感じさせる敗戦だったようで、当時33歳という年齢を考えると、「これで引退か…」と私を含め周囲の多くの人が正直思ったのでした。ですが、彼は反対に確かな手応えを感じたようで、さらに夢を追い掛けて現役を続行することを決意。そして、満を辞して臨んだ昨年末(2014年12月6日)、小國以載選手との間で行われた日本スーパーバンタム級王座決定戦では、決して折れない心と技術という粘り強いボクシングを見せ、どちらが勝ってもおかしくないという試合展開になりましたが、僅差の判定で惜しくも敗戦。日本タイトルにあと一歩が届きませんでした。
おちゃめ日記:「日本スーパーバンタム級タイトルマッチ」
そこでも「もう、さすがにこれで引退か…」と思わせてくれたのですが、さらに現役を続行を決意。今年(2015年)4月4日には宇津見義広選手(ヨネクラジム)、8月7日には古橋岳也選手(川崎新田ジム)をどちらも判定で破り、日本ランキングも2位に上昇。めでたく今回の日本スーパーバンタム級王座決定戦への出場権を得ることができました。特に8月7日の古橋岳也選手との一戦に勝利したのは大きかったですね。その時の古橋選手はチャンピオンの小國以載選手の初防衛戦に挑み敗戦した後の再起の試合でしたが、日本ランキングは1位。その時の石本選手の日本ランキングは5位でした。この試合に勝利したことで石本選手のランキングが2位に上昇したのが大きかったですね。空位となったチャンピョンの座を争う王座決定戦は、ランキング1位と2位の選手で争われますからね。
おちゃめ日記:「“Re-START”…イシモ、現役続行!」
おちゃめ日記:「リッチギー石本選手、次は日本タイトル獲得だぁ~っ!」
そして迎えたこの日の試合でした。石本選手にとっては3度目の日本タイトル挑戦です。あと一歩、あと一歩、これまでもう一歩のところまで来ながら、どうしても手が届かなかった日本タイトルです。3度目の正直と言う言葉がありますが、石本選手にとっては是が非でも手中にしたいタイトルでした。34歳という年齢から考えてもこれがラストチャンス。負ければ引退という言葉も現実味を帯びてきます。そうした崖っぷちで臨んだ一戦でした。ちなみに石本選手はこれまで34戦して26勝(7KO)8敗。勝利数のわりにKO勝ちの数が少ないのは、彼が試合巧者な技巧派だということを意味しています。実際、動体視力が人並み外れて高く、相手のパンチをすんでのところでかわすのが優れているのだとか。
両者とも右構えのオーソドックススタイルの選手です。日本チャンピョンのタイトルがかかった試合だけに、壮絶な打ち合いが予想されました。久我選手の若さと勢いが石本選手を飲み込んでしまうのか、はたまた石本選手のキャリアとスキルがものを言い、久我選手を封じ込めてしまうのか…、注目の一戦でした。
この日の後楽園ホールも7試合が組まれ、4ラウンドや8ラウンドの試合が次々と行われます。この日の試合はライト級以下の比較的体重の軽いクラスの試合ばかりで、幾分面白味に欠けます(もちろん、戦っている選手諸君は必死なのでしょうが…)。このところ石本選手の試合の応援のためボクシングの試合を観戦する機会が増え、私もボクシングを観る目が肥えてきた感じで、ボクシングの試合の見所が分かってきた気がします。判定で決着の付く試合ばかりが続き、徐々に石本選手の試合の順番が近付いてきて、胸が高まります。セミファイナルで行われた61kg契約ウェイトの8回戦、高畑里望選手(ドリームジム)と塚田祐介選手(吉祥寺鉄拳8ジム)の試合が2ラウンド、レフェリーストップのTKOで高畑選手が勝って、私は急いで青コーナーの花道へ観客席を駆け下りていきました。この日の試合、私は光栄にも石本選手が入場する際に花道を飾る応援の幟を持つ係を仰せつかっていたので、そのための準備でした。セミファイナルが僅か2ラウンドで終了してしまうとは思ってもいなかったので、気持ちの準備が十分にできていなくて焦ります。と同時に心臓が異様にドキドキします。こんな感じ、ここしばらく経験したことがないくらいのものです。
そして、この日のメインイベント、日本スーパーバンタム級王座決定戦。リングアナウンサーの「青コーナーより石本康隆選手の入場です」という声とともにもう聴き慣れた石本選手の入場曲が大音量で流れ、雰囲気がいやがうえにも高まります。応援の幟を持つ私達もその曲に合わせてジャンプジャンプで飛び跳ねて場を盛り上げます。その幟の中を石本選手が入場してきました。真っ直ぐにリングを見つめながら、気負いのようなものは感じられず、落ち着いた表情です。とは言え、この試合に賭ける気迫が顔に漲っていました。筋肉(皮膚)の張りも血色も良く、コンディションの調整はバッチリのようです。よしっ!頑張れ!!
続いて赤コーナーに久我勇作選手が入場してきました。さすがに日本タイトルのかかった試合です。両選手の大応援団が応援を繰り広げ、リングサイドにいると、鼓膜が割れんばかりです。ふつ青コーナーのリングサイドを見ると、石本選手の帝拳ジムの後輩にあたる現WBC世界ライトフライ級チャンピョン、木村悠選手が石本選手の応援に駆け付けていました。ちなみに、木村悠選手は、今年(2015年)11月28日に宮城県仙台市のゼビオアリーナ仙台でWBC世界ライトフライ級王者のペドロ・ゲバラ選手(メキシコ)と対戦し、2対1の判定勝ちで初挑戦ながら王座獲得に成功したばかりです。
リングアナウンサーによる両選手とレフェリー、ジャッジの紹介の後、「カァ~ン!」という乾いたゴングの音が会場内に鳴り響き試合開始です。私も観客席に戻り、香川県東京事務所の方々を中心とした香川県応援団に交じって声援を送りました。大勢の応援団の中に、歌手の舞子さんの顔も見えます。大きな声で声援を送ったら、歌声に悪い影響が出るのではないか…とちょっと心配になります(余計なお節介ですが…)。
おちゃめ日記:「瀬戸内の幸と讃岐うどんを堪能する会」
余談ですが、石本康隆選手の応援団は、ちょっと後楽園ホールの雰囲気には似つかわしくない一団って感じがしています。この日は平日の試合だったので勤め帰りのスーツ姿が目立ち(私もスーツ姿での応援でした)、また、イケメンの選手なので女性ファンも大勢応援に駆け付けます。地元香川県からも大挙して応援にやって来ますし、遠く福岡からやって来たという人も。中には遠く台湾からこの試合を応援するために帰国したという人もいらっしゃいます。このあたり、石本選手の人柄の良さがそうした人を多く惹きつけるのではないかと思います。ここが他の選手の応援団とちょっと違うところなのではないか…と感じていますo(*⌒O⌒)b
この試合は序盤の入り方が大事だな…と思っていたのですが、試合は開始直後から久我選手がラッシュをかけてきて、虚を突かれた石本選手が防戦一方に回るような感じを受けました。2ラウンドにその久我選手の有効打が顔面をヒットし、石本選手は鼻のあたりから出血。その後は血まみれの試合になります。この出血でかえって石本選手は落ち着きを取り戻したのか、3ラウンド以降はいつもの石本選手の戦い方に戻り、徐々にペースを取り返してきます。手数は久我選手のほうが多いように思えたのですが、石本選手は鉄壁のガードを固め、人並み外れた動体視力でパンチをかわして、なかなか久我選手に有効打を与えません。むしろ、有効打に関しては石本選手のほうが多いくらいになってきました。戦前の予想通り、壮絶な打ち合いといった感じの試合になって来ました。時折、久我選手のパンチで石本選手の身体がよろけます。パンチは石本選手が固めた鉄壁のガードの上からのもので、それ自体は決定打とはなっていないのですが、ガードの上からのパンチでもあれだけよろけるというのは、久我選手のパンチ力が相当のものであることを物語っているように思えます。
10ラウンドで行われる日本タイトルマッチの場合、半分の5ラウンドが終わった段階で、ジャッジの判定の途中結果が場内に知らされるのですが、そこでは2対1で石本選手が優勢との判定です。そうでしょそうでしょ、ほぼ互角の壮絶な打ち合いなのですが、有効打の数では石本選手のほうが勝っている感じがしていたので、この判定には納得です。
後半に入っても、壮絶な打ち合いは続きます。両者とも判定に持ち込もうとは思ってなくて、あくまでもノックオウト(KO)で決着をつけようとしているかのような壮絶な打ち合いです。それまでどちらかと言うと単調な試合が多かったこの日の後楽園ホールですが、さすがにメインイベントの日本タイトルマッチは違います。と言うか、私が石本選手の応援団ではなくて、第三者的に観たとしても、この試合はメチャメチャ面白く、私がこれまで観たボクシングの試合の中でも最も面白い試合ではないか…と感じました。素晴らしい!
試合が終盤に差し掛かって来るにつれて、石本選手の老獪さが目立つようになってきました。疲労を避けるためかクリンチを巧みに使い、離れ際に一瞬の隙をついて有効打を相手の久我選手の顔面に浴びせます。各ラウンドの序盤は敢えて攻勢を抑え気味にして、ラウンドの終盤に一気にラッシュをかけて、ジャッジの印象を自分に有利なものにしているようにも感じられました。これらを巧みにやっているのだとしたら、これまで34戦してきた経験からくる石本選手の老獪さというものでしょう。
あっという間に10ラウンドが終了し、結果は判定に持ち込まれました。手数はほぼ互角。有効打の数からして、おそらく石本選手が勝ったのではないか…と期待して判定結果の発表を待ちました。しばらくして出された判定は、その期待通り3対0の判定で青コーナー石本康隆選手の勝利! これで石本康隆選手は第39代の日本スーパーバンタム級チャンピョンの座に就きました。応援団一同大騒ぎ! 場内が大歓声に包まれますp(^-^)qp(^-^)q
そうした中、石本選手にチャンピョンベルトが巻かれます。ついにこの時が来たか!…って感じです。ずっと応援して来て、本当によかった。
よくやった、石本! おめでとう、康隆!(*^▽^)/★*☆♪
と同時に、ありがとう、石本康隆! 夢を諦めないことの大切さと言うものを、文字通り身をもって表してくれました。
試合後、後楽園ホール近くの居酒屋で祝勝会を開いたのですが、その場所には石本康隆選手のご両親と弟さんも参加し、大いに盛り上がりました。今回は日本タイトルマッチだったので祝勝会もいつも以上に大人数となり、これまでになく盛り上がりました。もちろん、石本選手ご本人も奪取したばかりのチャンピョンベルトを携えて遅れて駆け付け、挨拶をしてくれました。10ラウンドの壮絶な試合を戦った直後で、相当疲れている筈なのに、律義そのものです。顔面に大した腫れは見られなかったものの、相手のグローブがかすってできたと思われる赤い擦り傷が何ヶ所もあり、その擦り傷が試合の壮絶さを物語っていました。それでも応援してくれたファンの皆様のところに駆けつける、そういう律義さと言うか、人柄の良さが、これだけ大勢のファンを惹きつけるのではないか…と思っています。私もチャンピョンベルトを触らせていただき、一緒にカメラに収めていただきました。日本スーパーバンタム級のチャンピョンベルトは思っていた以上に重かったです。
さぁ~、次は年が明けた春に日本チャンピョンとして初の防衛戦に臨みます。その防衛戦に勝ったならば、次はいよいよ世界タイトルへの挑戦も視野に入って来ると思います。
頑張れ!石本!! 私は夢を諦めずに追いかける石本康隆選手を、どこまでもどこまでも応援し続けます!!\(*⌒0⌒)b♪
【追記】
久々に大声を出し続けて応援したので、翌日は声が嗄れてしまい、おとなしくしていました(笑)
執筆者
株式会社ハレックス
前代表取締役社長
越智正昭
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